私たちは生きている中で難しい状況に直面したり、プレッシャーやストレスに胃が痛くなることも少なからずあります。
それは誰にも必ず起こることで、避ける事はできません。
悪いストレスは私たちの心にダメージを与え、その結果、人によっては、うつや不安症、その他の精神的な問題が出てきてしまいます。
この“人によっては“が今回のポイントです。
同じような状況で同じような経験をしても、精神的な問題につながることなくむしろそれを原動力にする人もいれば、落ちるところまで落ち込み、動くことができなくなってしまう人もいます。
その違いは一体何なのでしょうか。
それは、回復力と適応力です。
心理学(英語)ではレジリエンス(Resilience)、といいます。
私が回復力と適応力と言ったのは、ストレスフルな状況にいかに柔軟に適応できるか(適応力)、そして自分のもっているスキルでどのようにその状況を対処していくか(回復力)がキーポイントで、それらは別のものだと思うからです。
ここではまとめてレジリエンスという言葉を使いたいと思います。
アメリカのフィラデルフィアで小児科医をしている、ケネス・ギンズバーグ医師は、子どもたちのレジリエンスを育むためのポイントと親の役割を7つのCで表現しています。
あくまで子どもたちに向けたものですが、私はこれを読んだとき、大人にも必要なことで実践できるのではないか、と感じました。
育児方法、子どもらしい環境で育つことができなかったなどの様々な要素を考えると、レジリエンスを完璧に育むことは簡単ではありません。
それは普通なことで、私は心の弱いダメ人間だ、と責める事はありません。
今からでも少しずつレジリエンスを築くことができるのです。
では、ケネス医師のいう7つのCをみていきましょう。
1.Competence (能力)
自分の置かれている状況をうまく対処できる力のこと。
自分の判断を信じ、それがどのような結果であれ責任をもって対処する、といった経験を繰り返すことで、この能力は育まれます。
親の役割としては、子どもに新しいことを学ばせるための経験をさせる事です。
子どもが失敗してしまうからかわいそうだと、やろうとしている事をやめさせてしまうと、失敗から学んで立ち直る機会をとってしまうことになり、この力は養われません。
この力が足りていないと思うあなたは、新しいことに挑戦してみましょう。
失敗しそうだな、こわいな、という気持ちがじゃまをしているなら、失敗しても今の生活や自分へのダメージが最小限に抑えられるものを探してみましょう。
よく言われることですが、失敗は悪い事ではありません。
失敗を経験することで、学ぶ機会が増え、自分の能力は知らない間に高められていくのです。
2.Confidence (自信)
1の能力と同じく、責任をもって物事を判断していく経験を繰り返していく事で自信がついてきます。
自信がつくことで、自分の判断をより信じられるようになり、難しい状況でも堂々と対応できるようになります。
自分に自信がなく、人の意見に何も言えず我慢していたり、プレッシャーで押しつぶされそうになっていませんか。
自信をつけさせるために大人はこどもを褒めるとき、「上手に絵が描けたね、〇〇君は天才だ!」と全体の仕上がりをまとめて褒めることがあります。
しかしこう言う褒め方だと、曖昧で、自信につながる個人の強みがわかりづらくなってしまいます。
具体的に何がどう良かったのかを伝えてあげると、自分のできたところがわかり、それが自信につながっていきます。
例えば、「〇〇君の色使いはすごくきれいだね。ここの青色が特にきれいに塗れてるね。」など。
大人のあなたは、あなた自身が褒めてあげましょう。
何かに挑戦した結果失敗してしまったとしても、失敗ばかりに目をやらず、その経過であなたは何を発見できたのか、自分の中での成長は何かなかったのか、などその過程の中で何を得られたのかを具体的に考えてみましょう。
そして、次何かをする時、今の自分ではすこーしだけ難しいかな、でもやれそうかな、というレベルのものに挑戦してみましょう。
そういうものを成し遂げた時に自信がつき、やれることも増え、適応力も上がっていきます。
3.Connection (つながり)
無条件の愛情を受けることによって心のつながり、安心感を育てることができます。
その心のつながりは、人を信じて大丈夫なんだ、私は愛されているんだ、私には価値があるんだ、と思える大切な要素です。
それを感じる事によって、自分の言いたい事や気持ちを素直に相手に話すことができます。
それは難しい状況でもストレスをため込まない一つの方法です。
相手に嫌われたくないから、怒られるのは嫌だから、と顔色をうかがって自分の思いを抑えることは後にあなたを苦しめます。
自分が主張しても大丈夫なんだ、という心の安心感を育てるためには、深い人間関係を築くことが必要です。
その為には自分も真剣に相手と接し、自分の心をオープンに相手に見せることが大切です。
もちろん、誰とでも、というわけではないのでそこが人間関係の難しいところですが、人と交流する機会を増やし、この人となら、という人と出会える機会を増やしてみてください。
4.Character (人格)
ここでいうキャラクターは、物事の良い悪いを判断し、自身の価値観を確立し、他人に対して思いやりのある態度をとれる人格のことです。
行動の判断基準になる自分の価値観をもつことで、ストレスのかかる状況でも冷静に物事をみることができます。
ストレスは人間関係からくるものがほとんどです。
そしてそれはあなたの行動によって良くも悪くもなります。
あなたの行動で相手がどういう風に感じるのか、相手はもちろんあなた自身を傷つけてしまわないか、などを考えてから行動することで、この人格は養われていきます。
目先の利益や自己中心的な欲求に振り回されないように気をつけましょう。
5.Contribution (貢献)
日々の生活の中で目標がある、ということは生きる糧になります。
人間は物事の意味を理解したい生き物なので、自分が何のために生きているのか、何に向かって生きているのか、を見出せずにいると、だんだんと心が辛くなっていきます。
この貢献は、自分たちの生きている状況や環境をより良くするために、社会の中で行動を起こすことです。
社会と言っても大それたものでなくても大丈夫です。
家族で、友人間で、など小さな社会の中でできることをやればいいのです。
その経験から、私は役に立っている、貢献している、と感じる事で、自分の行動に責任感もうまれます。
目的があることは私たちをストレスから強くしてくれます。
6.Coping (うまく対処する)
そのままですが、ストレスにうまく対処する術をもっていること。
まず、極めて危険な状況と、失敗したり問題を抱えているがなんとかなりそうな状況を、違うものとして捉えることができることが大切です。
どちらも同じように捉えてしまうと、常に不安に煽られている状況が続き、ストレスに負けてしまいます。
一つだけではなく、幅広いストレス対処法を持つことはレジリエンスを強くする事に繋がります。
何か問題が起きた時、感情的に反応するのではなく(そうしてしまう事は自然なことですが)、どうすればその問題を解決できるのかに焦点を置く、もしくは、運動して汗をかいたり思いきり寝る、好きな音楽を聴く歌う、など健康的なストレス発散方法を実行しましょう。
7.Control (コントロール、制御)
私たちは、自分のするべき事、やりたい事をコントロールできていると感じれないと多大なストレスを感じます。
例えば、常に時間に追われていたり、プレッシャーを感じていたり、自分ではどうすることもできないと感じる状況など。
そういったストレス状況が続くと、どうせ私が何をしようと関係ない、と投げやりになってしまい、悲観的で受動的になり、レジリエンスが弱くなってしまいます。
そうなってしまった時にコントロール感を取り戻すためには、成功体験をつくる、もしくは気付くことが必要です。
例えば、忙しくてやりたい事が思うようにできない時は、なんとか休みを入れましょう。
(それができないのはどこかに問題があるので見直しましょう。)
空いた時間にやりたい事をやり、気持ちをリフレッシュさせ、「やりたい事をして気持ち良く過ごせた!」という「できた!」という経験をつくりましょう。
また、過去にあなたが達成したことや、日々の中であなたの思うようにできている事柄を思い出してください。
どんな小さなことでもそれはあなたのコントロール感覚につながっていきます。
以上が7つのCを使ったレジリエンスを強くする方法です。
全てのCを一度に築くことは簡単ではないですが、一つずつ見直し改善していくことで、ストレスのある状況に適応し、そこから上手に立ち直れるココロをもてるようになると私は思います。
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