気持ちを外に出すことは大切?

人に迷惑をかけてはいけない、周りの意見を尊重しないといけない、こんなことを言ったって仕方がない、などの理由で感情を抑え、自分の中に抱え込むことありませんか? ある程度の感情は自分の中で処理できるかもしれません。 でも、あまりに自分を抑え込んでしまうと、それがストレスになり精神的に崩れる原因になり得ます。 幼い子どもがどのように感情を表現するか想像してみてください。 子どもは言葉の意味や使い方が大人に比べて圧倒的に少ないのでうまく表現できません。 そのため、思い通りにいかないことがあると、泣いたり叫んだり物に当たったりします。 これは実は大人にも当てはまることがあります。 上手く自分の気持ちを言葉で表現できなかったり、押し殺したりしていると、それがイライラになります。 そして、そのイライラが蓄積された結果、自分や人を傷つけたり、物を壊したり、行き場のない感情を何かにぶつけようとします。 しかも、子どものそれとは違い、大人の場合、その行動は複雑で被害も大きくなります。 だから、気持ちを外に出すことは大切なのです。 上手く気持ちを表現することは、次のような精神的にプラスの効果をもたらしてくれます。 ・自分を客観視することができる。 自分の気持ちを声で発して耳で聞くことで、改めて自分がどう感じているのかを知ることができます。 私はこう思っているんだ、と改めて知ることは自分を客観視することにつながります。 客観視することは一歩引いて自分を見ることで、自分の価値観や求めているものなどを新しく知る、もしくはより深く理解することができます。 その結果、冷静に状況を観察し、感情に左右されない判断や解決法を考えることができるようになります。 ・心の知能指数、「EQ」を高められる。 EQ (Emotional Quotient)とは自分自身の感情をうまく処理でき、周りの人たちの気持ちも汲み取り、自分や周りの行動の意図をそれぞれの気持ちから理解できる能力のことをいいます。 EQが高いとストレスに対して強くなったり、良い人間関係をつくれたりする傾向があります。 EQを高めるためには自分の気持ちを理解することは必須です。 どのような状況でどのような気持ちになり、どうしてそのような気持ちになるのか。 それらを頭でわかろうとするだけでなく、言葉にして表現できるかが、本当に理解しているかの証明になります。 自分自身の感情を知って心の知能指数を高めましょう。 ・人間関係を深められる。 正直に自分の気持ちを誰かに話すことで、自分に心を許しているんだ、自分を信頼して気持ちを打ち明けてくれているんだ、と相手は感じ、あなたへの信頼感を築くきっかけにもなります。 そして、あなたが正直に話すことで、相手も正直な気持ちを話しやすくなります。 お互いが自分の気持ちをオープンに話せることは深い関係を築く上で必要で大切なことです。 ・気持ちが楽になる。 気持ちを外に出すことで、とにかく気持ちが軽くなります。 モヤモヤ考え込んでいるときの体の緊張感がスッとなくなります。 深刻に話さなくても、会話の中で軽く伝えるように誰かに話すだけでも効果があります。 こういった良い点があるにも関わらず、気持ちを閉まっておく判断をさせるのはなぜでしょう。 それは、マイナスな感情を外に出すということは弱さをみせること、外に出すことで余計に辛くなったり状況が悪化するのでは、などの思い込みがあるからです。 しかし、先ほども書いたように、気持ちを抑え込もうとすると、暴飲暴食、無防備な性行為、飲酒や薬物の乱用など、短期的な解決法に走りがちになり、後でより苦しい思いをする結果になります。 辛い気持ちを口にしたところで状況は悪くならないし、気持ちは軽くなります。 不快な気持ちを外に吐き出すことは弱さをみせることかもしれません。 でもそれは誰もが経験する感情であり、人間らしさだと思います。 いつもしっかりしていて仕事もテキパキできる人が、ふと辛い気持ちを口に出した時、あ、この人も人間なんだな、とホッとすることありませんか? 弱さを見せずに壊れてしまうより、弱さを見せてそこから元気になった方が断然良いと私は思います。 でも、普段気持ちをあまり出さない人にとって、そうすることは難しいものです。 どうすれば気持ちを言葉にしていけるのでしょうか。 ◎ 感情に名前をつける。 気持ちを自分の中だけで抑え込んでいるとき、色々な理由があるかもしれませんが、実は自分はどんな気持ちなのかわかっていないのかもしれません。 なんかモヤモヤするな、と思いながらそのまま過ごすことって意外と多かったりします。 そんなときは、あなたはどういう気持ちになっているのかを探ってみてください。 例えば、友人がいつもと違う態度で不快な気分になったら、いつもは楽しく話している友人に冷たい態度をとられた、私はそれに傷ついて悲しい、というように。 ただ、感情を説明しようとすると、ぴったり当てはまる気持ちを見つけるのが意外と難しかったりします。 その場合は、以下の気持ちを表す言葉を参考にしてあなたに合う気持ちを探してみてください。 不安 嬉しい 悲しい 恥ずかしいContinue reading “気持ちを外に出すことは大切?”

辛い過去に囚われないようにする方法(前半)

私たちは様々な経験を経て自分自身の考えをつくり、行動をします。 それらの経験全てが良いことだけではありません。 辛い思いをする経験は、多かれ少なかれ誰にでもあります。 それによって今苦しんでいたり、自分を好きになれずにいる人も少なくないでしょう。 周りには「そんなことでいつまで悩んでいるんだ」とあなたの辛さを理解されないかもしれません。 でも「辛い」とは人それぞれ違います。 自分ではない誰かに忘れろと言われたところで、「はい、もう悩みません」とできるほど簡単な問題ではありません。 悩むのは自然なことなのです。 ただ、その辛い過去に縛られないようにするためには自分で対処しなければいけません。 辛い経験から今の自分が好きになれなかったり、やりたい事があっても行動できなかったり、人とうまく付き合えなかったり、など苦しんでいるのならそこから抜け出そうとしてみましょう。 そうしようと頑張ったけどできなかった、という人ももう一度、いや何度でもやってみてください。 あなたをそれだけ苦しめている経験を乗り越えることはそんなに簡単ではありません。 だからこそ、根気が必要なのです。 もちろん疲れる事もあると思いますが、そんな時は休みながらあなたのペースで進んでいってください。 ではどのように過去の経験によってつくられた辛い気持ちに対処していけばいいのかみていきましょう。 ◎客観視する。 物事を客観視することは、その起きていることに対して自分の感情を入れずにありのままをみるということです。 そうすることによって、その物事を違う解釈で捉えることができ、気持ちを落ち着かせてくれます。 しかし、その客観視する方法を間違ってしまうと逆効果になることが、2010年のアイドゥック・オズレムとクロス・イーサンの研究で報告されています。 彼らによると、逆効果になる客観視は「セルフ・イマ-シング」といって、過去の辛い経験を思い出すときに自分の目線でからしかみれていない状態だそうです。 そうなると、辛い経験をただ同じように頭の中で繰り返してしまい、辛い気持ちもさらに重くなってしまいます。 逆に効果的な客観視は「セルフ・ディスタンシング」で、自分とその経験との間に気持ちの距離をおくことだと言っています。 第三者目線からその経験をみることによって、その物事の新たな事実や意味に気付くことができ、その経験による不快な気持ちを軽減できるそうです。 効果的に「セルフ・ディスタンシング」をするためには、ただ辛い経験を思い出すのではなく、その出来事を演劇、あなたは観客、という感覚で想像することで距離をとりやすくなるのでは、と思います。 目を閉じて想像してみてください。 あなたが経験した辛い状況が舞台の上で起こっています。 それをあなたは舞台から離れた席で観ています。 ここまで想像できましたか? できたら次に、自分に質問してください。 それはどんな状況でしょうか? 舞台にいるあなたやその状況にいる人たちはどんな気持ちでしょうか? どうしてそのような状況になったのでしょうか? など、その経験とあなたや関わった人たちの気持ちを第三者目線から観察してください。 実際に経験したときの気持ちと比べて今の気持ちはどうでしょうか。 その経験の受け止め方が多かれ少なかれ違っているはずです。 ◎辛い経験は内省力を上げる、と知る。 内省とは、自分の価値観や行動、考え、それぞれの状況で起こる感情などを振り返り、自分とはどんな人間か、を深く理解しようとすることです。 2019年のキャサリン・ヴォーズ、ジェニファー・エイカー、ライア・カタパノの研究で、辛い経験は人生の意味を考えさせてくれる機会になると述べています。 辛いことがあった時に比べて、楽しいことや嬉しいことがあった時に「どうしてこのようなことが起きたのだろう」と深く考えることは、少ないのではないでしょうか。 自分にとって不都合な事、不快なことがあった時ほど、「私が何かしたのだろうか」「どうしていつも同じようなところでつまずいてしまうのか」と自分自身やその状況をを振り返ることが多いと思います。 それは一見マイナスな考えのように聞こえますが、その状況や自分を振り返ることは私たちの精神面にとってとても大切なことです。 なぜなら、自分を知ることで、それまで以上に自分の考えからくるひとつひとつの行動の意味を理解し、辛い状況でもどうすればいいのか、自分にとって最適な行動とは何なのかがわかってくるからです。 つまりストレスがかかる出来事があった時にそれに対して冷静に対処できるということです。 そしてその結果、ストレスにも強くなります。 辛いことがあって自分や誰かを責めたり、後悔することは自然な事です。 しかし、それだけではなくその経験は自分を省みる機会だと捉えることで、これからの人生も変わってきます。 次回のブログは「辛い過去に囚われないようにする方法(後半)」です。 辛い過去との向き合い方について引き続き書いていきたいと思いますので、参考にしていただければと思います。