回避行動は本当に良くないことなのか?

結論から言います。 逃げること、避けることは必ずしも悪いことではありません。 それは過度にストレスを抱えないための対策にもなるからです。 ただし、その避け方が上手くできていないと、逆に精神的に良くない結果をもたらすことになります。 まず、回避することとはどういうことなのでしょうか。 自分にとって不快なことが起きそう、きっと嫌な思いをするだろう、と感じる時にその状況を避けるために違う行動をする、もしくは何もしないことを言います。 先程も書きましたが、避けることは悪いことではありません。 PTSDや不安症を抱える人たちは、自分の感情を脅かす場面やきっかけになり得るものに対して特に敏感で、それらを避けようとします。 それは自分を守るため、精神的に完全に崩れてしまわないための防衛本能でもあります。 そういった症状がなくても、過去の辛い経験などが原因でもう二度と同じような辛い目にあいたくない、などの気持ちから特定の物事や人を避けることもあると思います。 ただし、避け続けることで精神的に逆効果をもたらすことも多々あります。 そこで、ストレスになりそうな状況を避ける場合、精神的にマイナスにならないようにするための条件があります。 それは、自分がなぜ避けているのかという理由、その行動による自分への影響を把握し、気持ちをコントロールできている、ということです。 人は、自分でその状況をコントロールできていると感じることで、ストレスフルな状況にも感情を落ち着かせうまく対応できるのです。 では、その状況でのコントロール感覚がないまま、ただ必死に避けようとすることがどう精神的に影響するのでしょうか。 まず、根本的な不安はいつまでも解消されることはありません。 もしあなたが人前で話すことに自信がなく、プレゼンテーションなど、とりあえずそういう状況を避けているとします。 避けることでストレスから自分を守ることはできますが、そういう状況に対して常に緊張や不安を抱え、避けることばかりにエネルギーを使い、常に心が疲れてしまうことになります。 そして挑戦することを忘れてしまいます。 完璧でなくていいのです。 少しずつ練習したりその場に自分を慣らすことでそれが自信になり、不安が軽くなっていきます。 さらに、学校や会社などでどうしてもやらなければならない場合、それを避けようとすると辞める選択しかないかもしれません。 それは自分をさらに追い詰めてしまうことにもなりかねません。 次に、避けることで人とのつながりが失われてしまう恐れがあります。 例えば、人にどう思われるのか常に気にしてしまうため、誰かとの会話を極力避けようとしていると、人との交流が途絶えてしまったり、引きこもりになってしまうこともあります。 心を許せる誰かがいること、深い関係ではない誰かとでも交流することは、ストレスを自然に軽減してくれ、生きる楽しみを増やしてくれます。 完全に孤立してしまうことは、社会で生きていくことに苦しさや辛さを感じることにつながってしまいます。 望んで孤立したい人はあまりいないのではないでしょうか。 そして、嫌な思いを避ける、あるいは少しでも気持ちを上げるために別の行動をとることで、結果的に体に害をもたらしたり、精神的に追い詰めてしまうことがあります。 例えば、過度の飲酒、薬の乱用、無防備な性行為など。 その時は気持ちを良くしてくれるかもしれませんが、その影響でやるべきことをやれずそんな自分を責め立てたり、どうしようもない状況にさらにストレスがかかり絶望したり、と気持ちが軽くなるどころか状況の悪化につながることも少なくありません。 深く考えず、ただがむしゃらに嫌なことを避けようとしている場合、これらのような精神的にマイナスなことが起こり得ます。 そこで話を戻します。 効果的に不快な状況を避ける方法、つまり自分がその状況を避ける理由と避けることによって出てくる影響を知ることが大切です。 そのために自分に問いかけてみてください。 あなたが避けようとしている状況、物事あるいは人は、あなたが精神的に成長しようとする過程のジャマになるものですか? ストレスにはいいものと悪いものがあります。 良いストレス、ユーストレスといいますが、それらは新しい環境で物事を始めようとする時に感じるものであったり、あなたのモチベーションを上げる燃料になったりします。 逆に悪いストレス、ディストレスは、会社をクビになる、大切な人を亡くす、など気持ちが辛くなるものをいいます。 それを踏まえて、あなたが避けようとしている状況で、あなたはどちらのストレスをより強く感じますか? もしディストレスしかないのであればそれは避けてもいいのではと私は思います。 もちろん乗り越えたい辛い状況、避けられない苦しい時間は誰もが経験することで、それはゆっくりでも受け止めていくしかありません。 でももし事前に避けられるのであれば、そうすればいいと思います。 逆に、少しでもユーストレスの要素があるのであれば、少し考えてみましょう。 それをこなすことでストレスを感じ、少しは嫌な思いをするかもしれないけど、その先に成長できるもしれない可能性があるのなら、避けずに挑戦してみる価値はあります。 避けることで守れるもの、挑戦することで得られる対価などを考え決断してください。 そしてもう一つ、回避方法で別の行動をとるときの自分を振り返ってみてください。 不快な気持ちを避けるためにまたは気持ちを上げるために、結果的に心身に悪影響のあることをしていませんか? その行動で不安やストレスは解消され、長期的に良い気持ちを維持することができますか? そうでないのなら、その行動を変えましょう。 誰かに気持ちを聞いてもらう、運動をする、好きな音楽を聴く、お気に入りの場所に行く、など長期的にも自分の心と体に良い影響になる行動を模索してそれと取り換えてください。 シンプルですぐにできることなら尚更良いです。 不快な気持ちになりそうな状況を避けることは自然で本能の行動でもあります。 ただし、その理由や影響も考えずひたすら避け続けることは、私たちを精神的に追い詰めることにもなり得ます。 回避行動をとるのなら、それをしっかりと把握して、自分自身の行動と感情をコントロールできるようにしましょう。

先延ばしの習慣を変える5つの方法。

学生時代、試験前になるといつもはやらない部屋のそうじや食器の片づけをしたりして、勉強を後回しにしていた記憶はありませんか? また、今やらなければいけない仕事を締め切りギリギリまで始めず、直前になってどうしていいかわからなくなっていませんか? 何かを先延ばしにすることは、おそらく私たち全員が経験のあることだと思います。 その理由として多く言われているのは、時間の使い方が上手くできていないこと、面倒くさがりの性格、があります。 しかし、やらなければいけないことを慢性的に先延ばしにする原因には、感情面が関わっていると、多くの心理学者たちが提唱しています。 例えば、やらなければいけない課題を完成できなかったらどうしようという不安、責任が重くてその課題をやることを楽しめない(辛い)、そんなことをやって意味があるのかという疑問、などのマイナスな感情がその行動を遅らせます。 そして、そのマイナスな感情に上手く対応できないと、別のことをして気持ちを上げようとします。 その結果、やらなければいけないことを先延ばしにしてしまうということです。 課題を先延ばしにすることは自分が不快な気持ちにならないようにする守備行為ですが、それは長く続きません。 やらなければならないことができていない状況は、それをして不快な気持ちになるよりもストレスがかかります。 そして、その課題をしていない自分に対して恥ずかしいとか情けない気持ちになります。 イギリスのデュラム大学心理学科の教授フーシャ・シロワ博士によると、慢性的に先延ばしにする行為はうつ病、不安症、ストレスと強く関わっていると報告しています。 さらに、免疫低下にもつながり先延ばしの習慣がない人よりも体調を崩しやすいのだそうです。 1997年にアメリカの心理科学という専門誌でダイアン・タイスとロイ・バウマイスターが報告した研究で、論文の提出期限に遅れて提出した学生たちは、その期限までもしくは期限当日に提出した学生たちよりはるかにその出来は悪かったそうです。 課題を先延ばしにすることで、終わらせなければいけないプレッシャーやストレス、時間の余裕のなさから、その質はどうしても悪くなってしまう、ということです。 多くの研究でも言われているように、物事を先延ばしにする習慣は精神的にも身体的にも、そして仕事や学業にもマイナスの影響があります。 もしあなたが先延ばしによって苦しんでいるなら、その習慣を変えて無駄なストレスを減らしませんか。 具体的に何をすれば、今ある課題を今から始めることができるのか見ていきましょう。 ◎ 先延ばしにする原因を知る。 面倒だから、時間が足りない、などの理由で先延ばしにしているのなら、モチベーションを上げる方法を見つける、もしくは時間の使い方を学ぶことが大切です。 でももし先延ばしの原因が感情面にあるのなら、それが一体何か探ってみてください。 原因を見つけてそれを対処することで、先延ばしグセを減らすことができます。 例えば、周りの過度な期待があり失敗することが恐いという不安から、中々始めることができない、としましょう。 ではどうしてあなたは失敗することがそんなに恐いのでしょうか。 もちろん失敗することは、恥ずかしい、悔しいなどの不快な気持ちになることもあり、それが恐くて避けたくなるのは自然なことです。 でも失敗は当たり前にあるもので、過度に恐怖を感じているならその原因があるはずです。 それが何なのかを理解することは、それに対処するためにどうすればいいのかを考えることにつながります。 過去の辛い経験によって自己肯定感が低い、自信が持てない、周りに評価されるのが恐いなど、感情面での原因を探ってみてください。 そして、その原因がわかったら、まずそれを解決するためにできることをしていきましょう。 ◎ やらなかった後の自分の気持ちやその状況を想像してみる。 研究でも報告されているように、先延ばしにして思うように課題をこなすことができなかったり、できてもその出来が悪いと、余計にストレスを感じることになります。 他のことをして先延ばしにしてその時のストレスは減らすことができても、それはその時だけのもの。 その課題をしなかった後悔や自分に対する嫌悪感がふくらみ、結果が良くなくてさらに自信をなくしてしまい、次の課題もやりたくない、避けたい、という気持ちから再び先延ばしにしてしまう、という悪循環になってしまいます。 だから、やらなければならないことをする時、ある程度のストレスを感じたとしても、やらなかった後の気持ちや状況、それに伴うストレスを想像してみてください。 そして、逆にやり遂げた時の自分の気持ちや状況も想像してみてください。 今始めてやれるだけやった時の自分、先延ばしにして後で苦しんでいる自分、どちらになりたいかはあなたが決めてください。 ◎ 課題の意義を見つける。 自分自身が楽しめそうにない、興味がわかないようなことは、人間誰もやりたくありません。 でもやらなければいけないことはあり、それらをいつもいつも投げ出すことはできません。 なぜなら、その結果あなたや周りの人たちが苦しむことになることも大いにあるからです。 会社で決められたレポートをいつも遅れて提出していると、昇進は望めないどころか減給処分になるかもしれません。 子どものおむつを替えてあげないとバクテリアに感染して病気になってしまうかもしれません。 協力しなければいけない場面で自分の役割だけ遅れていると、周りからの信頼をなくすかもしれません。 楽しくないことでもやらなければいけないのなら、その中でもあなたがやる意義を見つけるようにしましょう。 気が乗らないことでも、それをやることであなたにとっての成長はありませんか? それをやることで新しい知識を得たり、知らない人と関われたり、信頼を得たり、将来の役に立つことにつながったりするかもしれません。 どうせやるなら、どうすれば楽しめるのかを考えましょう。 終わった後に自分にごほうびを用意しておくのもありです。 何か意義を見つけることは先延ばしにするクセを抑えてくれるはずです。 ◎ 大きな課題を小さな段階に分ける。 大きく複雑な課題を目の前にすると、自分にできるのかという不安でやる気をそがれることがあります。 でも、私たちはできそうなことならやろうとします。 なので、もしあなたがやろうとしている課題が、できるのか不安になるようなものだとしたら、それをできるだけ小さな段階に分けてみましょう。 例えば、あなたが学生で論文をこなすためには、いきなり文章を書き始めようとしても何をどこから書いていいのかわかりません。 まず論文全体の骨組みを考える、次にその構成の中身(ポイント)を考える、そのポイントに沿ってリサーチする、リサーチしたものをまとめていく、それらをその構成に当てはめていく、序章から書き始める、ポイント1を書く…、など論文完成まで細かく分けることで、これならできるかもという気持ちにさせてくれ作業にとりかかりやすくなります。Continue reading “先延ばしの習慣を変える5つの方法。”

親しい関係に対する不安と上手く付き合う方法

誰かと関係を築いているとき、あの人は本当に私のことを想ってくれているのだろうか、この人とこのまま一緒にいていいのだろうか、私がいなくてもあの人はあまり寂しそうじゃなかったな、という風にあなたは不安を感じたことはあるでしょうか? 人と深く付き合おうとすると、こういった不安な気持ちになるのは自然なことです。 人間は人から拒まれたり、物事が上手くいかないことに恐怖を感じます。 傷つくのは痛いことで、できるだけ避けようとするのが人間としての本能なのです。 だから、多少の不安は一時的なものであれば自然なことで、逆にそれらは私たちを成長させ、精神的にも強くしてくれます。 でも、頻繁に辛くなったり、いつもいつも不安な気持ちでいっぱい、ということになれば話は別です。 その状態ではあなたにも相手にもストレスがかかり、関係性も不健全なものになってしまいます。 もしあなたに思い当たる節があるなら、今もっている関係で次のような行動をしているかチェックしてみてください。 いくつチェックがついたから、というようなテストではありません。 ただ、ひとつでも当てはまり今の関係性に不安ばかりを感じていて日々の生活にも影響が出たり心が辛いのなら、少し立ち止まって不安を軽くするためにできることをしましょう。 ◎原因を知る。 深い関係を築く上で過度な不安を感じてしまうのはそうなってしまう原因があります。 子どものときに親やお世話してくれた大人から受けたネグレクトや虐待、周りから愛されていると感じることができなかった環境、それらによって形成される親への愛着、自己肯定感が低い、拒否されることへの恐怖、全てをコントロールしないと落ち着かない、過去に恋愛関係で予期せずフラれたり浮気されたことのある経験、など人によって様々な理由で今の不安な気持ちを起こさせています。 しかし、これらは潜在的で本人は気付いていないことも多くあります。 あなたがどうしてそんなに不安になってしまうのか、もし考えたことがないのなら、一度振り返ってみてください。 原因を知ることで自分自身への理解を高められ、今の関係性を客観的にみることができます。 客観的にみてみると、ぐるぐると同じ議論を頭の中で繰り返すことを止め、新しい角度から関係性を捉えることができ、不安を解消する方法にたどり着くことが大いにあります。 辛い過去があってまたそれを掘り返すのは勇気のいることですが、それらが原因で今のあなたをジャマしているのなら今後もジャマをし続けます。 あなたのペースで考える時間をつくってみてください。 ◎相手に正直に気持ちを打ち明ける。 嫌いになってほしくないから、良い雰囲気を壊したくないから、と相手の顔色をうかがってあなたの気持ちを抑えていませんか? それは相手があなたの気持ちを無視しているのではなく、あなた自身があなたを無視していることに気付きましょう。 深い関係をつくるということは、あなたの意見を無理に抑えて相手の機嫌をとることではありません。 あなたが気持ち良くあなたの思うことを相手に伝えることができ、相手もそれをわかろうとすること、そしてその逆も然りです(相手の正直な思いを心で聞くこと)。 だから、ああだこうだと考え過ぎず、正直に話しましょう。 その結果、嫌な思いをするかもしれません。 でも本当に相手を思いやっているのなら、時間をかけてでもちゃんとした会話ができるはずです。 もしそうでないのなら、その時はその関係性をどうするべきか考える時です。 素直な気持ちを伝えて嫌な圧力をかけてきたりあなたの心を踏みにじるようなことをしてくるような相手とこの先ずっと一緒にいる意味は何ですか? また、深い関係になっていくことに不安を感じているのなら、それを相手に伝えましょう。 相手の気持ちを決めつけたり、私たちは合わないとひとりで答えを出して、話し合いもろくにせずに関係をやめるのは相手の気持ちをも無視していませんか? 今のパートナーと別れたとしても、また違う関係が始まれば同じところで行き詰る可能性が高いです。 あなたの声はあなたが外に出してあげましょう。 (※話をして身体的暴力の可能性がある場合は家族や友人、もしくは公的機関など安全なところへ避難しましょう。あなたが頑張って話をする必要はありません。) ◎コミュニケーション能力を高める。 自分の気持ちを言いたくても相手にうまく伝えられるか自信がない、結局相手に言いくるめられるのがオチ、というような不安もあると思います。 まして今まで常に気持ちを押し殺してきた相手に初めて本音を言うというのは相当緊張することです。 その対処法のひとつとして、コミュニケーション能力を向上させましょう。 コミュニケーション能力のひとつにアサーティブネスというものがあります。 これは日本語で“自己主張”という意味ですが、相手の意見も尊重しつつ自分の意見もちゃんと伝えるコミュニケーションのことをいいます。 アサーティブになるにはポイントがいくつかあり、それらは「コミュニケーション能力を高める方法。パート3。~アサーティブネスって何? ~」に詳しく書いているので参考にしてください。 そのポイントの中のひとつである「私は~だと思う。」という“I” statement (アイ・ステートメント)を使うことは、相手に流されてしまいそうな状況に特に大切なものです。 「私は~」と口頭に置くことで、あなたは違うかもしれませんが私はこう思います、と相手とあなたを区別でき、相手を尊重したままあなたの意見を言うことができます。 もちろん、その考えがぶれていては相手に言い負かされてしまうので、あなたがどのような気持ちを相手に伝えたいのか、しっかりと考え、揺らぐことのないようにしましょう。 そして、事前に何度も練習しましょう。 いきなり本番では緊張で言いたいことが言えない可能性があります。 ひとりでもいいし気の知れた友人に付き合ってもらってもいい。 何でも練習した方が本番は上手くいく可能性は高くなります。 ◎ひとりでいる時間をつくってみる。 誰かと長く一緒にいるとひとりでいる機会も少なくなり、次第にひとりでいる自信がなくなり、そうなることが恐くなることがあります。 もしくは、ひとりでいることが寂しいから誰かと一緒にいる人もいるでしょう。 どちらの場合でも、相手がいないと困ってしまいます。Continue reading “親しい関係に対する不安と上手く付き合う方法”

不安を和らげる5つのリラックス方法

不安な時、私たちの体は緊張していて固まってしまっています。 「人の目を気にしない5つの方法」でも言ったように、心と体はつながっていて、硬くなった体をほぐすことで心の緊張もほぐすことができます。 ここで紹介するリラックス方法は練習すればするほど不安を和らげる効果があります。 忙しくてやってられない、と言う方もいると思います。 でも、不安な気持ちは私たちの生活を妨害します。 そうなる前に不安を和らげるテクニックを身につけましょう。 1.深呼吸 4・7・8 深呼吸はどこでも手軽にできるリラックス方法です。 まず、ゆったりとした楽な姿勢で座ってください(立ったままでもできます)。 次に、おなかの上に、両方の手のひらをかぶせるように優しく置いてください。 そして、鼻から空気を4秒間数えながらゆっくり吸い込みます。 この時に吸い込んだ空気でお腹がふくらんでいくのを感じます。 鼻から空気を吸い込んだらそこで7秒間息を止めます。 そして最後に口から8秒間かけて口から息を吐きます。 この時、口笛を吹くようなイメージで息を優しくゆっくり吐き出していきます。 そして、息を吐くと同時におなかのふくらみがなくなっていくことを感じましょう。 これを数回もしくは3~5分程続けます。 深呼吸は、寝る前に行うことで眠りに入りやすくなる効果もあるので、心が落ち着かず寝にくい方は一度試してみてください。 2.誘導イメージ法 このリラックス法は、あなたにとってポジティブで落ち着く場面を想像することで気持ちを和らげるものです。 不安な時に想像することはネガティブなことが多く、それがさらに不安を煽ってしまいます。 起こってもいないのに。 なので、逆に良い事や気持ちを落ち着かせる場所を想像して、リラックスしましょう。 まず、あなたが心地良いと思う場所を想像してください。 例えば、透き通った海が目の前に広がる真っ白な砂浜を歩くあなたの姿。 鳥の鳴き声が心地良く響き渡るマイナスイオンたっぷりの森林の中。 もしくは冬の寒い朝にベッドの中でふわふわの毛布にくるまれている。とか。 想像できたら、あなたの感覚全てを使ってその想像の世界を感じてください。 あなたの周りには何が見えますか?また、遠くには何がありますか?(視覚) どんな音が聴こえますか?強い音ですか?それともかすかな今にも消えそうな音ですか?(聴覚) あなたは何か食べたり飲んだりしていますか?もしそうならそれはどんな味ですか?(味覚) あなたの体はどんな風に感じていますか?寒いですか?それとも暑いですか?(触覚) どんなにおいがしますか?そこの空気の香りはどんなものですか?(嗅覚) その心地良い場所をとことん想像してみてください。 3.プログレッシブ・マッスル・リラクゼーション(進行性筋弛緩リラクゼーション) この方法は、緊張状態を自ら作り出してからリラックスすることで、リラックス状態がいかに心地良く緊張状態との差があるかに気付くものです。 この方法でリラックスすることで、不安な時、無意識に体がこわばっていることに気付き、そこで意図的に力を抜けるようになります。 やり方は、まずあなたの楽な姿勢で座る、もしくは寝転んでください。 次に、体の筋肉を順番にひとつずつ、力を入れて緊張させて約10秒間そのままの状態を保ち、その後一気にその力を抜きます。 その後、リラックス状態のまま約10~20秒過ごします。 そして、次の筋肉に移動します。 筋肉の順番は足の方から始め、頭の方に徐々に進んでいくイメージです。 どのように力を入れるかそれぞれの部位で簡単に説明します(↓)。 足:力を入れてつま先を曲げる。 ふくらはぎ:膝から下の足を上げつま先をピンと前に出すように力を入れる。 太もも:二つの太ももを押し合うようにして力を入れる。 おなか:おなかの中心にフンッと力を入れる。 背中:肩甲骨を背中の中心に近づけるようにして力を入れる。 肩:グーッと縮こませながら耳の方まで持ち上げる。 腕:こぶしを作りその力を腕を通して肩まで送るようにする。 手:またこぶしを作り指にも力を入れる。 顔:顔のパーツを中心に持ってくるイメージで力を入れる。 全身:最後に全身に力を入れる。 それぞれ全て約10秒間緊張させた後、ダランッと一気に力を抜きましょう。 このリラックス法は15~20分ほどでできるものです。Continue reading “不安を和らげる5つのリラックス方法”

人の目を気にしない5つの方法

人からどう思われているのか、自分の行動や見た目は周りの目にどううつっているのか、私が何かすれば、変な人とか嫌な奴、ってきっと思われるに違いない。 人が集まる場では異常に心臓がバクバクしてうまく呼吸ができていないように感じる。 恥ずかしい思いをするぐらいなら、人前では何もしない方がましだ。 このようなことを考えたこと、もしくは経験したことはありますか? これは、恥ずかしがり屋の性格だから、と思いがち思われがちですが、こういった経験が、あなたの日々の生活に支障をきたしたり、あなたに多大なストレスを与えているのなら、心の問題が起きているのかもしれません。 人と関わる公共の場で、周りから悪く思われるのではないかと極度に不安な気持ちになったり、その不安の為にそういった場を避けたりしている状況が6か月以上続いていると、社交不安症の可能性があります。 社交不安症は、精神疾患の診断・統計マニュアル第五版(DSM-5)の不安症のカテゴリーに分類され、精神病として扱われています。 日本では対人恐怖症といわれることもありますが、対人恐怖症は正式な疾患名ではありません。 (注意:診断は自己判断ではなく専門家(精神科、心療内科)に相談してください。) ここで言いたいのは、恥ずかしがり屋だからと自分を納得させようとせず、極度の不安で苦しんでいるなら、カウンセラーや心理士、精神科医に相談するほどのものであるということです。 相談するほどのことではないが、人にどう思われているかがものすごく気になる、その不安のせいで思うように行動ができない、常にびくびくしている、などと悩んでいる人は少なからずいると思います。 ここでは、そういった悩みが少しでも軽くなるように、人と関わる際の不安に対処する方法を5つ紹介したいと思います。 1.ドキドキする気持ちは心が準備している証拠だと言い聞かせる。 人前に出たり、新しい人たちと交流する、などの苦手な場に行かなければいけない時、不安でたまらなく心臓がドキドキします。 そんな時、そのドキドキを、不安だから、嫌なことが起こりそうだから、という解釈をやめ、これから難しいことに挑戦するのに心が準備しているんだ、と考え直してみてください。 いわゆる「武者震い。」 日本には良い言葉がありますね。 苦手なことをする時、できるかどうかわからない時、そんな時に不安になるのは当たり前のことです。 誰でも緊張し、ドキドキします。 それを嫌なサインと捉えると、怖気づいてその場を避けてしまい、結果、後悔をしたり自分を責めてしまうかもしれません。 逆に、ドキドキするのは自然なこと、これは私にとってのチャレンジなんだ、と解釈すれば、少し楽になり逃げ腰にならずにすむのではないでしょうか。 2.人の気持ちを勝手に予想しない。 私たちはみんな共通して人の心はよめません。 さらにあなたに対する誰かの気持ちを予想して毎回的中させるなんてもってのほかです。 大預言者ノストラダムスでも無理ですよ。 しかし、私たちは想像力が豊かな為どんどん妄想をふくらまし、その結果、勝手に落ち込んでしまいます。 あなた以上にあなたのことがわかっている人はいないのです。 誰かが私のことを悪く思うだろう、と予想して決めつけることをやめましょう。 3.セルフトークを良いものに変える。 「人前でスピーチするなんて、私には絶対無理だ。」 「私のこんな悪い顔色をみせたら嫌がられるに決まっている。」 「すぐに顔が赤くなる私を見てみんなおかしいと思っているはずだ。」 不安な時、私たちは何もかもを悪い方ばかりに考えてしまいます。 そして、それを何度も心でつぶやいたり、口に出したりして、知らない間に自分をそういう人間にしてしまっているのです。 これをネガティブセルフトークといいます。 「私たちは私たちの考えたようになる。」という言葉もあるように、これらは損する考え方です。 自分を悪く言ってしまうと、脳がそう認識してしまい、過度に緊張してそれが失敗につながったり、自信を奪ったり、回避したりと、そのネガティブなメッセージに伴う行動をとろうとします。 つまり、そういう自分にあなた自身がしてしまうのです。 だからやめましょう。 嘘でも自信がなくても、言葉だけは明るいものにしましょうよ。 誰も聞いていないのに自分を悪く言って責め立てる必要ってありますか? 明るい言葉、ポジティブセルフトーク、を使うと気持ちが変わります。 行動が変わります。 新しいメッセージを受け取った脳が伝達の配線を組み直し、「できない」から「できる」に切り替わってくれるからです。 極端に変えろとは言いません。 むしろネガティブセルフトークが極端なんです。 あなたがこれなら信じられるかな、というようなものに変えてみてください。 例えば、「人前でスピーチするなんて、私には絶対無理だ。」を、「人前でスピーチするなんて難しいし、緊張してうまくできないかもしれない。でも私の言いたい事をみんなに聞いてもらえるチャンスでもある。ちゃんと練習すればきっと大丈夫。」というようなものに。 あなたの頭にある、そのいっぱいのネガティブセルフトークをポジティブなものに変える練習をしてみてください。 4.マインドフルネス・リラクゼーションテクニックを使う。 マインドフルネスとは今の一瞬一瞬に心を向け、今起きていることをありのままに受け入れることです。 不安な気持ちは、過去の経験と未来の出来事に対するネガティブな予想からつくられます。 今起きている事に集中することで、不安な思いを考え込む時間とそのストレスを軽減してくれます。 「マインドフルネスって何?」に活動例を載せているので、詳しく知りたい方はチェックしてみてください。 これに加え、気持ちをリラックスすることも不安を軽減するひとつの方法です。Continue reading “人の目を気にしない5つの方法”

闘争・逃走・凍結反応

人は危険を察知した時、闘争か逃走か凍結で我が身を守るようになっています。 闘争は文字通り、危険な状態に対して闘う姿勢をとる、つまりファイティングポーズをとることを言います。 逆に逃走は危険な状態から逃げて身を守ることを言います。 凍結は一旦動きを止め、次の段階でどうすれば自分を守れるか観察して準備している状態です。 その結果、手に汗をかいたり、心臓がばくばくと速く打ったり、髪の毛が逆立つような感覚になったり、身体のあらゆる部分のいつもと違う感覚に気付きます。 この反応はストレス反応ともいい、自分の意思に関係なく起きるようになっています。人間の生き残る本能的な部分がそうさせているのです。 これらの反応でさらに緊張したり、パニックになったりするかもしれません。 でも実はこれらの反応は身体が自分を守るための準備をしているのです。 私たちをさらに混乱させるための反応ではありません。 身体がいつもと違う反応をしたら、それはあなたがファイティングポーズをとっている証拠。 もしくはそこから逃げろとメッセージを送ってくれてるのです。 パニック発作を経験された、もしくは経験されている方は特に覚えてほしいことです。 パニック発作が起きた時、空気が足りないように感じ息ができないと感じたり、気絶してしまいそうな恐怖感に襲われます。 そして酸素を得ようと、何度も息を吸い、呼吸が著しく速くなります。 しかし、呼吸が速くなることで酸素の量は変わりません。 血中の二酸化炭素の量を減らすだけなのです。 その為、苦しさは変わらず、より頭を混乱させてしまうことになるのです。 それはとてつもない恐怖です。 だからこそ覚えていてほしいのが、それらの反応は自分を守るためのストレス反応であるということ。 それらは決して命の危機を示すものではないということ。 名前通り、心がパニックになりそう感じてしまいますが、危険な症状ではない、と何度も言い聞かせましょう。 そして、酸素をたっぷりと体内に取り入れるイメージで深呼吸をしましょう。 身体と心を落ち着かせることがそれ以上のパニック悪化を抑えてくれます。