気分のムラが激しいのはなぜ?

さっきまで楽しいと感じていたのに、急にイライラしてきたり、悲しくなって涙が出てきたり、自分の気持ちにアップダウンを感じることはありませんか? そしてそれらがコントロールできなかったり、どうしてそれが起きるのか自分でもわからなかったりすると、さらに精神的に追い込まれることにもなります。 あなたにとって良いこと、嫌なことが混在する日々の生活の中では、気分にムラがあることは自然なことです。 色々な出来事に私たちの気持ちは影響を受けているのです。 ただし、あまりに極端に気持ちが変化したり、いつもと違った気分の浮き沈みで行動が振り回されている場合、生活や人との関わりにも悪影響がでてきます。 そういう時には、どうしていつも以上に気分にムラがあるのか、まずその理由を知ることが大切です。 理由を知ることで、それぞれに合ったやり方で対処していくことができます。 ◎ 生活の変化によるストレス 例えば引っ越しや転職、結婚や大切な人との別れなど、普段の生活に変化があると、多かれ少なかれストレスを感じます。 その変化がワクワクするものであっても不安に感じるものであっても、です。 新しい生活を始めることで、いつもと違う気を張ったり慣れないことが多く思い通りにいかなかったりと、精神的な負担がかかるものです。 新しいことに挑戦していこう、楽しみだ、と前向きに思う反面、上手くいくかな、失敗したらどうしよう、などの不安な気持ちがより顕著に出る生活が変わる場面では気分のムラが激しくなることが考えられます。 ◎ 慢性的なストレス 自分で感情をコントロールしようと思っていても、ストレスになる原因に上手く対処できていないと、やはりそれらによって感情は揺さぶられます。 ストレスがあるところに、さらにストレスを感じる事が起きたり、その状況が長い間続いたりすると、より気持ちは不安定になり、感情をコントロールすることはなおのこと難しくなります。 気持ちが明るくなることがあったとしても、ストレスの原因になるものを解決できずにいると、そのせいでまたイライラしたり不安になったり、気持ちの浮き沈みが起こるのは不思議ではありません。 ◎ 精神的な問題 躁うつ病やうつ病などの気分障害や、境界線パーソナリティ障害、アルコール・薬物依存症などの精神的な病気に、激しい気分の浮き沈みがみられることがあります。 躁うつ病の症状には、気分が異常に高揚している躁病エピソードと、反対に何に対してもやる気を失い気分が極度に落ち込むうつ病エピソードがあり、その気分のムラは非常に激しいです。 うつ病の症状に躁病エピソードはありませんが、持続的に落ち込んでいる状態の中で、昨日は少し気分が良かったのに今日は悲しくてベッドから出られない、などの気分の浮き沈みがあります。 境界線パーソナリティ障害は、環境の変化や人との離別を極端に恐れ、そうなるかもしれないと感じたたけで、人が変わったように相手に対する態度を変える特徴があります。 自分の思うように一緒にいてくれる人には、初めの頃は良く接するものの、その相手が十分に自分のことを思っていないと感じると、相手に突然怒りを向けるなどの激しい感情の変化がみられます。 アルコール・薬物依存症では、お酒や薬の影響で気分が激しく高揚したり、またそれらが手に入らない時に禁断症状で異常にイライラしたりどうしようもなく不安になったりと、気分のアップダウンが起こります。 ◎ ホルモンの変化 私たちの気持ちを揺さぶる原因はストレスや精神的な問題だけでなく、体の変化にもあります。 子どもから青年の体に成長していく思春期は、気持ちを前向きにしてくれるセロトニンというホルモンの分泌が他のどの年代よりも少ない時期だと言われています。 その為、イライラすることが多く、怒りっぽくなってしまいます。 女性の場合、エストロゲンという女性ホルモンの変化が起こる月経前や出産後、閉経後、更年期などの時期に気持ちの浮き沈みが起こりやすくなります。 エストロゲンは幸せホルモンのセロトニンの分泌を促す役割をしており、上記に挙げた時期はエストロゲンが減少する為、気持ちが落ち込みやすくなるのです。 男性の場合、アンドロポーズと呼ばれる男性更年期に男性ホルモンのテストステロンが減少することで、イライラや癇癪などを特徴とした気持ちの浮き沈みが起こります。 ◎ ダイエット(栄養不足) バランスの悪い食生活は私たちのメンタルヘルスにもマイナスの影響を与えてしまいます。 食べ物と精神面は関係ないだろう、とツッコンでいる方もいるかもしれません。 でも、食べ物が私たちの脳を動かす源であり、記憶力や認知力、そして感情のコントロールに関わっているのです。 そして、体をつくる上でも必要な栄養素はあり、それらが不足すると力がわいてこず、病気にさえなり得ます。 体の不調があるとそれはやはり精神的に辛くなる原因であり、気持ちも沈んでしまいます。 例えば、ダイエットなどで過度な糖質制限をして低血糖になってしまったら、血糖値を上げようとアドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。 そしてそれらが必要以上に分泌された場合、イライラしたり怒りっぽくなったりします。 ナショナル・カウンシル・フォー・メンタル・ウェルビーイングによると、亜鉛、鉄分、ビタミンB、マグネシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸の栄養不足によって、不機嫌やエネルギー不足の原因になるそうです。 食生活が私たちの気分に影響することを知り、バランス良く食べるようにしましょう。 ◎ 寝不足 睡眠不足や睡眠の質が悪い日が続くと、私たちの気分はマイナスの影響を受けます。 それは、睡眠を適切にとることによって機能する前頭葉の働きが鈍くなってしまうことにあります。 前頭葉は、感情の処理を行う偏桃体を見張る役目をしていて、過度に感情的にならないように抑制をしています。 その前頭葉の働きが鈍くなってしまうと、偏桃体の抑制も鈍くなり、ストレスに対する感情の反応も強く出てしまうことになります。 そのため睡眠不足になると、感情的になりやすくなるのです。 気分にムラがあるのは様々な理由があります。 まずその理由を知って、できるだけその気分に振り回されないようにして余計なストレスを減らしましょう。

メンタルヘルスの問題を抱えた人をケアするときのセルフケアの方法

前回のブログで「メンタルヘルスの問題を抱える人をサポートするには?」について書きました。 今回は、そのサポートする人がどのようにしてストレスを溜めないようにするのかを見ていきたいと思います。 精神的に辛い思いをしている人はもちろんですが、周りでその人と関わったり、支える人も正直言ってしんどいです。 ストレスめちゃくちゃ溜まります。 相手に良くなってほしいという気持ちがあるから、元気になれそうな色々な提案をしたり、できるだけひとりにさせないように自分の時間を割いたりします。 でも、相手は、そんなことできないとネガティブな反応ばかりしたり、あなたはいいよね、と攻撃的に八つ当たりしてきたり、あなたの期待と同じ方向に進まないことが多々あります。 もちろん相手はわざとやっているわけではありません。 心に余裕がなく、周りも自分自身も客観的に見ることができなくなっています。 そのことを理解した上でも、ケアする側としては思い通りにいかないことが多いので辛いです。 そういう状況が長く続いてしまうと、ケアする側もイライラや落ち込み、不安な気持ち、眠れないなどの症状から、精神的に壊れてしまうことだってあります。 そうならないためにケアをする人にもケアが必要なのです。 どのようにセルフケアを行えばいいのでしょうか。 ◎ 自分の不調に敏感になる。 誰かのために動いているとき、自分のことを忘れがちです。 もしあなたが常にイライラしたり、気分にムラがあったり、いつもできていることが何故かできなかったり、無力感を感じるなど、いつもと違う感覚があったら、それはあなたの体や心が不調を訴えているときです。 そんなときは、あなたのための時間を優先してください。 相手を思いやるのと同じように、あなた自身を思いやってあげることは大切です。 そうでなければあなたも相手も共倒れです。 体調や心の不調に敏感になって、悪化させないようにしてください。 ◎ 自分のための時間をつくる。 誰かのためを思って時間を割くことは素晴らしいことです。 でも、それが自分のやりたいこと、やるべきことの妨げになったとき、当然ですがストレスの元となります。 さらに、こんなにも時間をとってあげているのに、私のエネルギーを犠牲にしているのに、と相手に対して怒りを感じたり、押しつけがましくなってしまうことにもなります。 人は、自分のニーズが満たされて初めて心に余裕ができ、相手を思いやることができるのだと思います。 あなたがやるべきこと、やりたいことにはちゃんと時間をとりましょう。 ◎ 完璧でなくていい。 相手の辛さを全て受け止め、私が全部何とかしないと、という考えをもっているのなら、それはとっとと捨ててください。 これは、メンタルヘルスの問題を抱える人を支えるときだけでなく、例えば子育てや介護など誰かのケアをするときも同様です。 相手の要望を全て満たす完璧なお世話をすることは不可能です。 私のせいで彼、彼女はいつまでも苦しんでいる、と自分を責めたり、自分の不十分さに自信を失ったり、完璧を目指せば目指すほどあなた自身を追い詰めてしまいます。 全てこなすことは無理だ、だって人間だもの、と自分に言い聞かせましょう。 誰かの力をかりましょう。 やれることだけに集中しましょう。 ◎ 周りに助けを求める。 精神的に辛い思いをしている人は孤独感を強く感じています。 でも、その人のケアをしている人も同じように孤独感を経験しています。 相手と一番近い関係にいるのは自分だから、相手が助けを求めているのは自分だけだから、誰かに相談してその人を巻き込みたくない、と誰にも相談できずにいる人も少なくないと思います。 だけど、助けは求めましょう。 精神的な問題は特に、治ったといえるラインがとても曖昧です。 良くなったと思えば次の日にはものすごく落ち込んでいたり、その人が日々経験する状況によって気分のムラもあり、それらは近くにいる人たちの気持ちも大きく揺さぶります。 だから、もし一人で苦しんでいるのなら、あなたの家族の誰かだったり、親戚だったり、友人だったり、話を聞いてもらいましょう。 あなたの周りの誰かがその状況を知っていると思うだけでも気持ちが楽になることがあります。 ◎ 専門家に相談する。 心の問題はとてもセンシティブで、深く関わっていない人たちからはあまり理解されないこともあります。 だからあなたが相談しても期待している反応を必ずしも得られるとは限らず、余計に苦しくなってしまう場合はあります。 家族や親戚、友人に相談しても状況が変わらない、もしくはそういう人がいないなら、あなた自身がカウンセリングを受けることをお勧めします。 話す相手が精神的な問題の専門的な知識を持っていて、あなたの考えや悩みにフォーカスしてくれるという点で、安心感がうまれ、ストレスを軽減する方法が見つかる可能性が高くなります。 あなた自身のメンタルヘルスを良い状態で維持するために専門家と話をすることもひとつの方法です。 精神的に辛い思いをしている誰かを支えているあなた自身も、相当な精神的エネルギーを使っています。 自分のケアを忘れずにあなたが壊れてしまわないようにしましょう。

メンタルヘルスの問題を抱える人をサポートするには?

あなたの周りに心の問題を抱えている人はいますか? それがあなたの家族や大切な人で、助けになりたいと思っているけど、どう支えていいのかわからずにいませんか。 なんとか力になりたい、という気持ちで寄り添うことができていればその人はそれだけでもきっと力強く思っているはずです。 ただ、それが押しつけがましくなっていたり、相手のパーソナルスペースを考えなかったり、と良いと思ってやっていることが、ありがた迷惑になっていることもあります。 もちろん、こうするべきだという正解はありません。 それぞれの関係性や考え方、その他にも色々な要素がある中での支え方があります。 それらを考慮した上で、今から書くポイントを参考にしてみてください。 ◎あなたの目線で良い悪いを判断しない。 自分ではない誰かの話を聞くとき、自分の価値観や考えを比べて聞くことって自然だと私は思います。 そうすることによって、この人は自分と違った考えで面白いな、逆に変だな、と感じて意見を交換できたりします。 お互いへの理解を深める点でそれは良いことだと思います。 ただ、精神的に参っている時、人はあなたのことを深く知りたいという欲求は持っていません。 あなたの意見を素直に受け止めるほどの心の余裕もありません。 むしろ、あなたがその人の気持ちに対して意見をしてしまうと、自分は情けない奴だと逆に追い詰めてしまう事にもなります。 そこから議論に発展する場合もあり、相手が心を閉ざす原因にもなりかねません。 相手を励まそうと言葉をかけることが効果的な時もありますが、まずは勇気を振り絞って話してくれている相手の話を相手の目線で聞くことに専念することで、相手はホッと安心します。 ◎アクティブリスニングを使う。 相手の目線に立って話を聞くことは大切なことだと書きました。 その姿勢をアクティブリスニングや積極的傾聴といい、相手に安心してもらえるだけでなく、あなたが相手に気持ちを話してほしいときや、相手をより深く理解する上でも効果的な方法のひとつです。 あなたが話を聞いている時、 相手の話の文脈とその話し方にギャップはないか、 相手の気持ちをいったん受け止めて聞いているか、 相手にあなたが真剣に聞いてくれていると伝わっているか、 などを確認してください。 さらに詳しくは「コミュニケーション能力を高める方法。パート2。~アクティブリスニングとは?~」を参考にしてください。 ◎ メンタルヘルスについて理解を深める。 相手が何に苦しんでいるのか、どうしてそのような症状になるのか、わかっているのとわからないのとでは、全然違います。 相手に対してあなたがどうして良いかわからないというストレスレベル、相手が理解されていると感じるレベルが違ってきます。 相手から聞いたことや、あなたが感じる相手の症状から、どういう気持ちになったり、どういう行動をとりやすくなるのか、調べてみると合点がいく瞬間があるはずです。 そしてそこからあなた自身どうすればいいのか、何も知らないときよりは動きやすくなるでしょう。 ただし、専門家に相談や診断を受ける前に、絶対この精神病だ、などと決めつけるのはやめましょう。 ◎ 専門家のサポートの選択肢があることを話す。 精神的に辛い思いをしている人が見ている世界はとても狭くなっています。 ネガティブな考えに囚われて、自分だけ暗闇に取り残されたようです。 そして、最悪の選択を選ぶこともあります。 そんな時にもし少しでもその辛い状況から抜け出せる方法があればそれに挑戦したいと思うかもしれません。 その選択肢として、カウンセラーなどの専門家に相談できることを提案してみてください。 ただし、強要はダメです。 その選択肢があるということを知らせるだけです。 本人には心の準備やそのタイミングがあり、無理やり行っても効果がないことの方が多いからです。 選択肢が他にもあることを知らせるだけでも気持ちが楽になることがあります。 ◎セルフケアを怠らない。 精神的に辛い思いをしている誰かと関わるとき、あなた自身がしんどくなるのは自然です。 精神的に追い詰められているとき、周りからみたらその人は自己中心的なふるまいをしているように感じたりします。 どれだけ相手を元気づけても、気持ちを軽くする方法をあなたなりに伝えても、相手は中々実行できないので、それに付き合うのもあなたのストレスになったり、人の話に耳を傾けない頑固な人だと感じてイライラすることもあります。 さらに、マイナスな感情のパワーはとても強く周りを巻き込んでしまいます。 だから、あなたの時間、あなたのやりたいことは無視しないでください。 必ずセルフケアを忘れずに行ってください。 あなたがリラックスしたり楽しめることをして、ネガティブなパワーに圧倒されないようにケアをしてください。 次回のブログでさらに詳しく「メンタルヘルスに問題を抱える人を支える人たちのセルフケアの方法」を書きたいと思います。 あなたの大切な人が精神的に辛い時、どうにかしたいと思うのは自然で、あなたの優しさでもあります。 相手に寄り添って話を聞く、その辛い気持ちによってどんな影響があるのかを調べる、選択肢を増やす、自分のケアを忘れない、など今あなたにできることを考えてみてください。 その姿勢が相手に伝わるだけでも、相手の気持ちは少しでも軽くなるはずです。

ストレスが体に与える影響とは?

前回、ストレスと痛みの関係について書きました。 ストレスは体の様々な部位で痛みを感じる原因となり、心と体が密接につながっていることがわかりました。 今回は、ストレスが私たちの体に与える影響を見ていきたいと思います。 前回のブログでも書きましたが、アメリカ心理学会によると、慢性的な精神的ストレスは、筋骨格系、呼吸器系、心血管系、消化器系、神経系、生殖器系、内分泌系に影響するそうです。 ◎ 筋骨格系 ストレスを感じると、私たちの筋肉は緊張でこわばります。 これは、あなたにとっての脅威から身を守るために自然となる攻防体制です。 少しの間の緊張感であれば問題ないのですが、慢性的に体がこわばっているとリラックスすることができず、首や肩に力が入り頭痛や腰痛に発展してしまいます。 ◎ 呼吸器系 ストレスを感じると呼吸が早くなったり、酸素が足りないような上手く呼吸ができない感覚に陥る時ありませんか? それらは「闘争・逃走反応」といって自分を守るために闘う、もしくは逃げる準備をしていて、その為に酸素がいつも以上に必要になるからです。 ストレスが一時的に弱まり落ち着きを取り戻すと、私たちの体もリラックスしようと働き、呼吸も通常通りに戻ります。 しかし、元々ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(以前は慢性気管支炎と呼ばれていた)などの呼吸器系の病気を持っている人たちがストレスを感じると、その病状が悪化する可能性が高いと言われています。 そういった症状を持っていなくても、呼吸が苦しい、このままでは倒れてしまうかもしれないという感覚はパニック障害を引き起こすことがあります。 パニック障害はその時だけでなく、特に呼吸に問題がないときでも「次にパニックになったらどうしよう」「息ができなくなったらどうしよう」など不安な気持ちでさらにストレスを抱えてしまうことにもなります。 ◎ 心血管系 びっくりするようなことや、一時的にプレッシャーを感じるような急性のストレスは心臓の鼓動を速くし、心臓の筋肉をぎゅっと引き締めます。 そして、その心臓の働きを支えるために血液の量が増える一方で、コルチゾールなどのストレスホルモンにより血管は収縮するので、一時的ですが血圧が高くなってしまいます。 例えば、運転中に人が急に飛び出してきて急ブレーキを踏んだとき、仕事の締め切りがギリギリで間に合うのかわからないと感じるとき、など。 そういったチャレンジングな出来事が過ぎると、バクバクしていた心臓は正常の速さに戻り、血圧も元に戻ります。 しかし、慢性的なストレスになると、そういった状態が繰り返されることになり、高血圧、心臓発作、脳卒中の危険性が高まると言われています。 ◎ 消化器系 ストレスを受けると消化器系と脳の伝達がうまくいかなくなり、痛みや膨満感、その他の不快な症状が現れることがあります。 消化器系は「第二の脳」と呼ばれるほど、脳と密接な関係にあります。 消化器系の臓器には数百万もの細菌が住んでおり、それらは体の健康、そして脳(=心)の健康に影響を与えるのです。 インド、ハイデラバードで消化器専門医を務めるラフル・ドゥバッカによると、それらの細菌が変化しバランスが崩れたり、消化器官内での炎症、消化器官と脳との伝達経路で起こる何らかの障害などが、私たちの心にもダメージを与えるそうです。 さらにそれが不安症やうつ病に発展することもあるそうです。 消化器官の不調が心に影響を与えるように、精神的なストレスも消化器官にマイナスの影響を与えます。 例えば、通常バリアとして機能している腸の壁の粘膜に穴が開いてしまい、腸内にある未消化の食べ物や毒素が血管に漏れてしまうリーキーガット症候群という症状を引き起こすこともあります。 (※ストレス以外にも過度の飲酒、栄養素の欠如などその原因は他にもあります。) リーキーガット症候群の症状として、膨満感、腹痛、気分のムラ、元気が出ない、肌の不調、などがあり、さらに心に負担をかけてしまいます。 このように、消化器系は心の健康と深くつながっており、お互いに影響し合いやすい関係と言えます。 ◎ 神経系 私たちの自律神経は交感神経と副交感神経に分かれています。 ストレスを感じるようなことが起きると、交感神経は体内のエネルギーを分散させ、ストレスや脅威に対して闘うため、もしくはそれらから逃げるための「闘争・逃走反応」の準備をします。 その過程で分泌されるアドレナリンとコルチゾールの働きで鼓動が速くなったり、腕や足の血管の拡張や血糖値の上昇などが起き、緊急事態(=ストレス)に対応しようとするのです。 ストレスや脅威を感じる状況がおさまると、副交感神経が体をリラックスさせ通常の体の状態に戻してくれます。 ただし、長い期間繰り返されるようなストレス、つまり処理できないストレスを常に感じていると、自律神経もストレス反応を繰り返すことになり、体は疲れ切ってしまいます。 そしてその体の疲れは気持ちも弱くしてしまうことになり、ストレスへの対応がさらに難しくなります。 ◎ 生殖器系 アメリカ心理学会によると、前年にストレスを感じる出来事を2つ以上経験した男性の精子は、ストレスを感じる出来事がなかった人たちのそれよりも、生命力が弱く、その大きさや形が正常なものが少ないのだそうです。 女性の場合、ストレスによって、月一度の月経が無くなったり、そのサイクルが毎回違うなどの月経不順を起こしたり、月経前症候群の症状がいつもよりひどくなることがあります。 また、受精する力、妊娠中の健康、産後環境への適応などにストレスはマイナスの影響を及ぼすそうです。 ◎ 内分泌系 ストレスを感じたとき、内分泌系はグルココルチコイドという副腎皮質ホルモンの分泌を促します。 その中の一つのコルチゾールというホルモンは、ストレスホルモンと呼ばれ、ストレスに負けないように体内のエネルギーをつくる役割をします。 コルチゾールは視床下部と下垂体と副腎皮質系の3か所がコミュニケーションをとって分泌され、ストレスに対応しようとます。 そして、その働きによって体中のストレス症状が引き起こされるのです。 この記事でもふれた、筋肉の緊張、「闘争・逃走反応」、血管の収縮、生殖器への影響など、体全体のストレスによる症状にそのホルモン分泌が関わっています。 また、コルチゾールには抗炎症作用があり、外からの細菌やウイルスを排除する免疫機能が引き起こす熱や腫れなどの炎症を抑える働きをしてくれます。 このように、コルチゾールは私たちの体には欠かせないものなのですが、その分泌量が常に高い状態になってしまうと、ストレス症状が続くことになり、体に負担がかかってしまうことになります。 インドにあるカウベリー病院の情報によると、ストレス状態が数日で終わるならまた元の健康状態に戻してくれますが、数週間以上の長い間ストレスを感じ続けるとコルチゾールの分泌が過多になり、倦怠感、免疫系の病気、うつ病などに発展する可能性があるそうです。 精神的ストレスの影響は体のあらゆる部分でみられます。 あなたが感じる体の異変は精神的なものが原因かもしれません。 体がいつもと違う不快な状態が長く続くと、それが心の疲れにもつながることになり、悪循環をもたらしてしまいます。Continue reading “ストレスが体に与える影響とは?”

その痛みはストレスが原因かも? 

私たちは体の調子がいつもと違うと、どこか悪いのかなと病院で診てもらうことがあります。 その際、何らかの原因があって薬を処方されたり、さらに検査をしたりと、診察により対処法がとられます。 原因がわかる時はそれに対処する方法をとれる、つまり体調不良を治すことができるのですが、原因がわからないことがあります。 (それぞれの体調の問題によって治すことが難しいものもあります。) その中に、痛みという不調があります。 どれだけ検査をしても、何人かのお医者さんたちに診てもらっても、異常はないと言われその痛みを和らげることができない。 その場合、痛みの原因は精神的ストレスからきている可能性が高いです。 その痛みを感じる人があなたの家族やあなたの友人であるとき、体に異常がないと言われてるんだから大丈夫だろう、と鈍感になってしまうかもしれません。 そして、「頑張れ。大丈夫。」など励ましのつもりで言葉をかけてしまうこともあるでしょう。 しかし、ストレスが原因の痛みを感じている本人にとっては、そういった言葉が逆にプレッシャーになりさらにストレスを感じ、痛みが悪化することにもなり得ます。 なので、痛みの原因が精神的ストレスであることがあり得るということを覚えておきましょう。 アメリカ心理学会によると、慢性的な精神的ストレスは、筋骨格系、呼吸器系、心血管系、分泌系、消化器系、神経系、生殖器系に影響するそうです。 体のほとんどの場所ですね。 ストレスの脅威は大きいと改めて感じます。 ストレスによる影響で痛みを感じる部位はその中でも筋骨格系、心血管系、消化器系、神経系が特に痛みと関わりがあります。 それぞれの部位に与える影響は、アメリカ心理学会の記述を基にできるだけわかりやすく書きたいと思いますので、次回のブログで参考にしてください。 今回は、体に痛みを感じた時、その原因が何なのかを特定するためにどうすればいいのかを書きたいと思います。 ◎ 痛みを感じる状況を観察する。 あなたはどのような時に痛みを感じますか? その状況、時間や場所などにパターンはありますか? 例えば、毎朝家を出る時に胃が痛くなる、過去の失敗を思い出すと頭痛がする、特定の人と話すたびに胸が締め付けられる感じがする、家では大丈夫なのに学校や職場だと首や肩の痛みを強く感じる、など、ストレスが原因で痛みを感じる状況には共通点があることが多いです。 もし特定のパターンがあれば、その状況であなたが感じるストレスが強く、対処しなければいけないというサインです。 知らないふりをして、無理をしていつも通り過ごしていては、いつか心身ともに疲れ果ててしまいます。 体が不調だと感じたら、ちゃんと状況を観察してその痛みの原因を探りましょう。 そして、そのストレス要因をどのように対処すればいいのか考えましょう。 ◎ 痛みを感じ始めた時期に何があったか振り返る。 あなたが痛みを感じ始めた時期はいつ頃からですか? その時期に大きくストレスを感じるような出来事はありませんでしたか? 日々の小さなストレスが積み重なりそれが体調不良、痛みにつながることがあります。 その一方で、たったの1度でも強くストレスを感じる経験は、辛い気持ちを長く抱え続ける原因になり、それが痛みに発展することも珍しくありません。 例えば、大切な人との死別、両親の離婚、強姦、虐待、恋人からの暴力、信頼していた人からの裏切り、などの経験があります。 何がきっかけで痛みを感じるようになったのかを知ることは、その痛みの原因が精神的なものであるとわかることでもあります。 そして、その原因を自分自身で理解することで、対処法を考えることにつながっていくのです。 ◎ 専門家に相談する。 お医者さんに異常がない(=治療法はない)と言われても、痛みがまだ続くなら、心療内科や精神科、カウンセラーなどの精神的な専門家に相談してみましょう。 カウンセリングは、あなたの気持ちや状況などを話す場であり、思っていることを外に出すことで頭の整理ができ、あなたの抱えている問題やその原因を探ることができます。 そして、カウンセラーと一緒にその問題に取り組み、対処法を考えていけるので一人で混乱している状況から抜け出しやすくなります。 ケガや体内の異常があれば目で見ることができますが、ストレスは見ることができません。 体に異常がないから大丈夫だと軽視せず、痛みを感じるのなら精神面も考慮してみてください。

辛い時のやる気の出し方(前半)

体調が優れないとき、嫌なことがあって元気がないとき、何もしたくなくなりませんか。 やらなければならないと頭ではわかっていても、どうしても動けないでいる。 やる気が出ない。 やるべきことをやれていない自分に嫌気はさすし、周りからは怠惰な人だと思われて余計に悲しくなる。 でも、体調が悪いときはもちろん、精神的にしんどいときは、休んでいたいものです。 やる気がでない原因には、うつ病や不安症、疲労感や倦怠感、バーンアウトなどの精神的に追い詰められている状態や自分には何もできないという自分に対する疑念などがあります。 そのような時には、今は動けないからやる気が出たら動こう、とやる気がわいてくるのを待っていたりします。 しかし、やる気というものは待っていてもあちらからやってきてくれるものではありません。 だから、いつになってもやる気が起こらずに動けないでいる自分に、やるべきことができていない状態に、さらに失望し無力感にさえなることも少なくありません。 なんとかやる気を出して動くことは、辛い状態をさらに悪化させないようにして気持ちを少しでも楽にするためにも大切なことです。 もしあなたが今辛い状況でやる気が出ずにさらに苦しんでいるのなら、少しでも何かをやり始める為に何ができるのか見ていきましょう。 ◎外発的動機づけと内発的動機づけを知る。 外発的動機づけ?内発的動機づけ? なんのこっちゃ、と初めて聞いた時、私は思いましたので説明します。 外発的動機づけとは、報酬を受けたり罰を避けるためなど、その行為を心から「やりたい!」というよりも、やることによって得られるもの、もしくは不快なことを避けるために動いているときに使います。 例えば、仕事は好きではないけど給料のために働いている、良い点数をとるために勉強する、本当は断りたいけど嫌われたくないから友達から誘われたら嫌なことでもする、親と口論したくないから言う通りの選択肢をする、など。 内発的動機づけとは、その行為自体が楽しく気持ちを満たしてくれるものなので、「やりたい!」と思ってその行動をとるときの動機のことです。 例えば、美味しいと言われることに喜びを感じているので飲食店で働いている、地元の人との交流が楽しいので色々な国にバックパッカーで旅をする、歴史に興味があるので勉強をする、など。 例をみると、外発的動機づけはマイナスなイメージ、内発的動機づけはポジティブなイメージになってしまっていますが、外発的動機づけもやる気を出す上でもちろん大切な要素です。 どれだけ充実した仕事でもお給料がなければ実際問題生きていけません。 何かをやり遂げて褒められることがないよりも、誰かに「よくやった!」と褒めてもらう方が達成感や次に進む活力は全然違います。 だから、外的要因は大切です。 ただし、それが内発的動機づけ要因よりも強くなる、もしくは内発的動機づけがない状態では、そのやる気を維持することは難しくなってしまいます。 それは、外発的動機づけに私たち自身の気持ちが入っていないからです。 気持ちを無視して報酬目的や脅威を避けるためだけに何かをし続けていると、「本当はあんなことがしたいのに」「毎日楽しくない」「私にはこれをするしか能がない」などという思いでストレスが知らない間にたまってしまいます。 今あなたがしている勉強や仕事が誰かに言われて仕方なくやっていたり、お金のためだけにやっていることなら、それを辞めて新しい気持ちが満たされる何かを見つける方が良いと思います。 勉強や仕事を辞めてもすぐにぶっ倒れることはないですが、ストレスを感じ続けることで精神的に壊れてしまう可能性は大です。 精神的に倒れてしまうと、やる気を出すどころか、立ち直ることも簡単ではありません。 もちろん、他に目標があってその為に今は給料の良いところでお金を貯めているだけだ、などの自分で決めた期間や過程であれば多少は問題ないと思います。 ただ、そうであってもストレスはやはり溜まるので自分のコントロールできる範囲で行い、内発的動機づけ、自分の心を満たしてくれるようなことも行うことは大切だと私は思います。 鬱鬱した気持ちや倦怠感などで辛い時は、自分が何をしている時に時間を忘れて楽しんでいたのか、気持ちがリフレッシュされていたのか、などを思い返してみてください。 そしてそれをあなたのペースでやってください。 何も思い浮かばなければ、とりあえずやってみてもいいかな、と思えることをしてみてください。 もしかしたら新しく夢中になれる何かが見つかるかもしれません。 そうすれば、そこから色々な方向にやる気がでてきます。 他のやる気を出すための方法は次回のブログに続きます。

安心感を求める確認行動への3つの対処法

私たちには未来のことなどわかりません。 私たちには人の気持ちを間違いなく読み取る力はありません。 私たちには自分の行動が100%正しかったと証明することはできません。 こんなわからないことだらけの世界にいるのに、私たち人間は物事に意味を見出さないと気持ち悪く感じます。 だから、何かに挑戦するときに誰かに「大丈夫、あなたならできる」という言葉に励まされたり、間違った行動をとってしまったのではと感じた時「あなたは悪くないよ」と言われたらホッとしたりします。 物事が曖昧な状況だと私たちは安心したいのです。 安心したら気持ちも軽くなるし、新しいことに挑戦することもできます。 だから人として、不安な時に他の誰かや第三者に確認をすることはとっても自然なことです。 ただし、その確認行動が同じことで何度も何度も繰り返される、自分を信じることができなくなって誰かの助言がないと行動できない、確認行動のせいで日々の行動にマイナスの影響がある、とういような経験があれば注意が必要です。 何度も確認することで、それに付き合っている相手は同じことを繰り返し言うことに疲れてしまいます。 そしてそれは自分自身の生活にも支障をきたしてしまいます。 例えば、自分の言ったことが間違っていたのではという懸念が消えず仕事に集中できない、私は病気なのではという思いから情報収集をするために睡眠時間を削り本当に体調が崩れてしまう、など。 過度に確認行動をすることは私たちの精神面、そしてそれに伴う生活や体の健康にも良くない影響があります。 そもそも確認行動は安心感を得るための行動ですが、実は逆の効果があるのです。 曖昧な物事を明確にするためにその行動をとるので、常に曖昧なことばかりに目を向けていることになります。 そしてその結果、不安な気持ちがどんどん膨らんでくることになります。 なぜなら、曖昧なこと、特にこれから起こることに関しては、この世で誰一人として正確に言い当てることは不可能だからです。 たまたま話していたことが現実になることはあるでしょう。 でも全てのことを言い当てる人はいません。 だから、確認して少し安心しても確固たる証拠がないため、「本当に大丈夫かな」とまた同じことで不安になってしまうのです。 ではどうすれば、過剰な確認行動を減らすことができるのでしょうか。 ◎ 不確かな状況を受け入れる。 これから何が起こるかわからなくて不安だ、周りが自分に対してどう思っているのか気になって仕方がない、というような気持は決して心地良いものではありません。 でも、先程も書いたように、私たちは不確かな中で生きていて、全てを確実に言い当てることは不可能です。 だからある程度の心地悪さは受け止めるしかないのです。 そしてそれらをその状況を打破するための良いエネルギーに転換していきましょう。 新しいことに挑戦するのは不安だけどきっと自分の今後の糧になる、というような言葉をまず自分にかけてあげてください。 そうすることで、不安をモチベーションに変えることができます。 そしてその後で、緊張をほぐずために誰かに話を聞いてもらいましょう。 ◎ 過度な確認行動は安心材料にはならないことを知る。 誰かに確認したり情報を収集することで安心感は多少得ることができます。 が、何度も何度も同じことで確認し、周りや自分自身が疲れてしまっては本末転倒です。 安心したはずなのにまたすぐに不安になってしまうのは、欲しい言葉が得られなかったり、自分や未来に対して疑いの気持ちが強くなり過ぎている、ともとることができます。 その状況では誰にどれだけ確認しても不安は残るままです。 だから、あなたがなぜそこまで不安になっているのかを深く考えてみましょう。 あなたがあなた自身を疑ってしまう原因は一体何なのでしょうか。 どうして今から起きることは悪いことばかりだと考えてしまうのでしょうか。 どういった言葉を誰にかけてもらいたいのでしょうか。 それらを理解することが不安を解消する一歩となり、確認行動を減らしていくことができるようになるはずです。 ◎ 不安で誰かに確認したくなったらリラックス。 不安な気持ちになるとどうしても誰かに大丈夫と言ってもらいたい気持ち、わかります。 ただし、何度もそれを繰り返しそうになったらちょっとストップ。 不安な気持ちを体をリラックスさせて緩めましょう。 体をリラックスさせるには、深呼吸、誘導イメージ法、プログレッシブ・マッスル・リラクゼーション、マインドフルネス、体を動かす、などがあります。 その場ですぐできてお勧めなのは深呼吸。 ゆっくり息を吸ってゆっくり空気を吐き出すことで、血の巡りを良くして体の緊張感をほぐしてくれます。 そしてそれが気持ちの緊張感も緩めて、不安や焦りなどを軽くしてくれます。 それは少しの時間かもしれませんが、その時間があるのとないのとでは自分の気持ちのコントロール感覚が全く変わってきます。 試してみてください。 確認行動は私たち人間にとって自然にしたくなる行動です。 ただし、それが行き過ぎると精神的にマイナスの影響を与えてしまいます。 そのことに気付いてその行動をさせる原因を知り、バランスの良い確認行動で不安を軽くしましょう。

自己肯定感を高める5つのステップ

「自己肯定感」という言葉は今ではよく耳にしますよね。 自己肯定感は、人間関係や日々の課題に取り組む姿勢、そして私たちのメンタルヘルスに密接に関係しています。 自己肯定感とは性格や外見、失敗や成功経験などの色々なエリアでの自分を総合した自己評価のことです。 自分に対する見方が肯定的であれば自己肯定感は高く、逆に否定的であれば自己肯定感は低いと言われています。 自分を認めて肯定的に感じている方がやっぱり気持ちが良くていいですよね。 自己肯定感が低いと自分のことを良く思っていないので、何をしても自分を批判する傾向があります。 失敗したときはもちろん自分を責め立て、何かうまくやり遂げた時でさえも「ラッキーなだけだった」と自分の実力を認めてあげることはほとんどしません。 さらに、自己肯定感が低いと自分の意見に自信が持てません。 だから他人の意見ばかりに頼ることになり、その人がいないと何も決めることができなくなってしまいます。 結果、自分の存在意義に疑問を感じ、人生に意味を見出せなくなることもあります。 このような状態が続くと、怒りやイライラ、不安や後悔などで感情的になり、自分や周りの誰かを身体的・精神的に傷つけてしまうことも起こり得ます。 こういう観点からも自己肯定感を高めることは私たちが健康的に生きるために大切なことなのです。 ただ、注意しなければいけない事もあります。 自己肯定感が高過ぎると、自分の良いところばかり誇張し自分の弱点や間違いを見逃す、あるいは「ごまかす」傾向があります。 その結果、自分の意見を最も重要視するために、他人の意見に耳を傾けないナルシストになってしまう可能性もあります。 なので、何事もバランスです。 極端に高いところを目指すのではなくバランスの取れたところで現実的に自分の評価をしましょう。 それを踏まえた上で自己肯定感を上げるために何ができるのか順に見ていきましょう。 1.自己肯定感が低い原因を探る。 どうしてあなたは自分を低く評価してしまうのでしょうか。 その原因は色々あります。 親の要望に応えることができなかった、褒められたり気を配られる経験がなかった、親からの身体的・精神的暴力を受けた、社会的地位が低い、重い病気と闘っている、うつ病などの精神的な症状がある、経済的に苦しい、などなど。 原因はひとつではなく複数のものが重なっている場合もあります。 あなたの自己肯定感が低い原因を探ってみてください。 そしてその原因がどれほどあなたの気持ちに影響しているのかも。 その気付きによって、不安になったり自分に厳しくなったりする意味がわかり、今後の対処もしやすくなります。 2.自分に対する考えは単なる意見であることに気付く。 あなたはどんな人ですか? 人といても盛り上げられないのでみんなから良く思われていない人? 得意なことがないので常に人と比べて劣等感を感じてしまう人? 何をするにも人の顔を伺ってしまう臆病でずるい人? まずあなたのあなたに対する見方を書き出してみて下さい。 そして、それらがあなたの意見なのか事実なのかを考えてみてください。 私たちが自分の中で思っている事は、ほとんどが自分の意見です。 それらによって私たちは悲しくなったり怒ったり喜んだり、またその意見を基に行動しているもしくは回避しているのです。 何をどう考えるのもあなたの自由です。 が、気をつけなければいけないのは、それらがあなたをマイナスの闇に連れて行ってしまう可能性があるということです。 意見とは曖昧なものでそれが勘違いや思い込みであることも多いのです。 勘違いや思い込みで嫌な気持ちになるのって無駄ではないでしょうか。 あなたに対するその思いは事実ですか、それとも意見ですか? 3.考え方を修正する。 あなたのあなたに対する思いが意見で、それがあなたを苦しめているのなら、その意見を変えましょう。 あなたの意見に確固たる証拠はありますか? あるのならそれらはどういった経験ですか? 逆にあなたの意見に反する経験や思いはありませんか? あなたが辛くなる考えには極端な意見が多くあります。 その考えを客観的に振り返り、その極端な部分を修正しましょう。 また、もしそれらが証拠に基づいた事実に近いものだとわかったなら、それらを受け止めることも必要です。 ただし、そこからまた色々な考えがでてくるはずです。 その考えが極端なものにならないように、さらにその思いを観察してください。 より詳しくは「マイナス思考を変える方法。」を参考にしてください。 3. 自分の良いところを素直に認めてあげる。 自己肯定感が低いと自分に厳しくなります。 「あの時私が失敗したせいでチームは負けた、みんな私を恨んでいるだろう」Continue reading “自己肯定感を高める5つのステップ”

SNSはメンタルヘルスに良いのか悪いのか?

Facebook、Instagram、TikTok、Twitter この中で知っている言葉ひとつでもありましたか? 知ってて当たり前、と思われる方がほとんどだと思います。 そうです、これらは多くの人が利用している、もしくはしたことのある人気のソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSの名前ですよね。 SNSは誰かとコミュニケーションをとるツールとして今では世界中の人口の約半分の人たちが利用しています。 それはそれは便利で役に立つツールです。 世界中の人たちと一瞬で繋がれるし、遠く離れた家族や友人の様子がわかり、世の中で何が起きているのかすぐに把握でき、社会問題や自分が大切だと思うことを主張することができます。 誰かと繋がっていると感じられるし、辛い時は誰かのコメントで元気が出たりする。 企業なら自分たちの商品を低コストで大きく広める事も出来ます。 この時代、SNSは私たちの生活から切り離すことはできないと思います。 ただ、便利で楽しい面がある一方で、やはりマイナスな面もあります。 最近では私たちの精神的な健康に対する問題もよく言われています。 SNSを利用することと不安症とうつ病の症状は関連性がある、と多くの研究で報告されています。 海外に旅行で楽しんでいる写真、友人たちの仲良さそうな写真、恋人と幸せそうに寄り添っている写真など、あなたがいいな、と思うイメージを見ると、自分への物足りなささを実感してしまいます。 それらの写真が全て現実ではない、良いところだけを見せようとしているだけだとわかっていてもやはり「私はダメだな、みんなみたいに輝いてないな」などと自分に足りていないものに目をやってしまったりします。 その結果、落ち込んで自信をなくしたり、将来への不安をつのらせてもおかしくありません。 ネット上のいじめや誹謗中傷などもニュースでよく耳にするのではないでしょうか。 また、特に10代の若者に多いと言われていますが、SNSを常にチェックしていないと落ち着かない、とSNSに依存してしまうこともあります。 英語でFOMO(Fear Of Missing Out)、「取り残されることへの恐怖」ともいいますが、 友人たちがどんなことをしているのか、流行に乗り遅れていないだろうかという不安から常に人の投稿が気になってしまうのが、そのひとつの理由です。 もうひとつの理由として、自分の投稿したものに対して、「いいね」やリツイートなどの良い反応をみると、私たちの脳は幸せホルモンのドーパミンを分泌します。 そして、またその幸福感を得たくて、頻繁に投稿しようとそのことばかり考えてしまう。 その結果、やらなければいけないことを怠ったり、睡眠時間を削って物事に集中できなかったり、と毎日の生活に支障が出てきます。 SNSを利用することでいち早く役立つ情報を得ることができ私たちの人間関係も大きく広がります。 ただ、利用する際、どのようなマイナスな面があるのかを理解しておくことは、精神的に辛くならない為に大切なことです。 その上で、どのようなことに気をつければいいのかを具体的にみていきましょう。 ◎実際に人と会う時間をつくる・増やす。 SNSをして過ごしている時間の方が誰かと実際に会っている時間より多くなっていませんか? コロナの影響で今までは中々人と会い辛い期間が続いていましたが、感染症法上での位置づけが変わり、今後はまた以前のように気にせず人と会えます。 私たちは人と実際に会うことでオンライン上で交流するよりもはるかに多くの情報を得ることができます。 その情報は例えば非言語コミュニケーションで、相手の姿勢や手のしぐさ、細かい表情などから相手の言いたいことをより正確に感じ取ることができます。 その結果、コミュニケーションもスムーズになり、お互いの信頼関係も深まりやすくなります。 さらに、握手やハグなどのスキンシップは人間同士の絆を深める愛情ホルモンのオキシトシンの分泌を促します。 オキシトシンは不安な気持ちやストレスを軽減させてくれるホルモンでもあります。 実際に大切な人と会うことで、その関係性を深めるために、そして絆の強い関係を持っているありがたさとそれによる幸せな気持ちを感じるために、実際に人と会う時間を意識してみませんか。 ◎人と比べない。 誰かの「輝いている」投稿を見て、自分には足りないところを顕著に感じてしまう。 そして、自分はダメだと深みにハマっていってしまう。 人と比べる行為は自然なことですが、自分を蔑んでしまうのならその無意味な行為を止めましょう。 私たちはみんな違います。 比べることはできません。 だから無意味なんです。 物足りなさを感じるのならその正体は何なのか探ってみてください。 友達と楽しそうにしている投稿を見てため息が出るのなら、深い人間関係を欲しているのかもしれません。 ゴージャスな食事をしている写真を見て嫉妬心を感じるのなら、今の経済状況に不満があるのでしょう。 誰かの投稿と自分を比べて落ち込み続けるのではなく、その物足りなさを埋めるためにどうすれば良いのか考える方がいいと私は思います。 そうすることで、実際に行動し今の物足りない自分から抜け出すことができるのではないでしょうか。 ◎睡眠の質に気をつける。 睡眠の質は体の健康にはもちろん、心の健康にも深く関係しています。 寝る前にスマホを見てたらもうこんな時間、ということはよくあると思います。 SNSはその人の嗜好や興味のありそうなものを過去の履歴と紐づけて表示するので、エンドレスに見てしまい、止めることが難しい人も多いと思います。 でも寝る時間はちゃんと確保しましょう。Continue reading “SNSはメンタルヘルスに良いのか悪いのか?”

嫉妬心に打ち勝つ方法。~他人の成功編~

人は自分より優れた人をみたとき、その人を羨むことがあります。 「羨ましい」という気持ちは「自分もああいう風に成功できたらなぁ」「私もマイホームが欲しいな」という自分に足りていない要素やいつか手にしたいものを誰かが持っていることで生まれます。 それは私たち人間にとってごく自然なことで、それらを得ようとするモチベーションに転換できるので決して悪い気持ちではありません。 しかし、同じように努力しているのに中々それらを手にすることができなかったり、簡単そうに成功したり欲しいものを手にしている姿をみたりすると、「羨ましい」という気持ちはだんだんと「妬み」に変わってくることもあります。 また、過去の経験や家庭環境などから、自分に自信がない人や自己肯定感の低い人などは、「輝いている」誰かを見たら、あの人は傷ついた経験や苦労をしたことがないからああいう風に成功できるんだ、ずるい、などと思ったりもします。 嫉妬心とは、羨ましい気持ちとは違い、自分の存在が脅かされそうな恐怖や不安な気持ちからくるもので、怒りや不満などのマイナスな感情を抱いたり、それにつながる行動をとってしまいます。 その結果、自分やその対象となる相手にネガティブな影響を与えてしまいす。 日本の独立行政法人、放射線医学総合研究所の研究では、「他人の不幸は蜜の味」を脳の働きから証明しています。 妬むという感情が起きると脳内にある前部帯状回という部位が反応します。 そして、その活動が強い(=嫉妬心が強い)ほど他人の不幸に対して、快感につながるドーパミンの分泌に関連する線条体が強く反応するそうです。 つまり、嫉妬心が強いほど、嫉妬している相手に不幸なことが起きると気持ち良くなるように脳が機能しているということです。 誰かに嫉妬するということは、あなたを人の不幸を喜ぶ人間にしてしまうのです。 すごいなと思う人が失敗する姿はホッと安心感が得られますが、それを心から喜んでしまうのは少し歪んだ感情ではないでしょうか。 さらに、誰かの不幸はそれまであったその人に対する劣等感を軽減させてくれ気持ち良くしてくれる、ともその研究では言っています。 その気持ち良さを味わうために、その人が不幸になるような行動をとってしまう場合もあり、それが犯罪につながることもあります。 そして、嫉妬心をもつことは常にマイナスな感情をもっていることにもなり、その結果、うつ病や不安症など精神的な病気にも発展することもあります。 嫉妬心がでてしまうのは仕方がないときもあります。 でもその気持ちに気付いたらそれ以上強くならないように対策をとることが大切です。 では、どのような対策があるのかみていきましょう。 ◎嫉妬心があることを認める。 特定の誰かを見たらいつも嫌悪感を覚える、イライラする、などの不快な気持ちがでてきているなら、その原因が何か考えてみましょう。 それはただ嫌いな相手だからかもしれませんが、もしかするとあなたの持っていないものをその人が持っていて羨んでいるのかもしれません。 同じように行動したいけどできない自分にもどかしさを感じて、それをできている相手に自分に対する失望感をぶつけているのかもしれません。 誰かに嫉妬していると認めることは、プライドの高い人は特に、恥ずかしいことをしているようで中々難しいことです。 だけど、自分は本当はどう思っているのかを知り、素直にそれを受け止めることが心が楽になるための大切なステップです。 まずは嫉妬しているのかどうなのかを考え、そうであれば「私はあの人に嫉妬しているけどこんな風に思っても仕方がない。でもこれ以上妬まないようになんとかしよう。」と認めて深みに入っていかないようにしましょう。 ◎人と比べない。 このポイントは何度も過去に書いてきています。 嫉妬心は誰かの存在がいないと成り立たず、その人と自分を比べることで出てくる感情です。 まず、誰一人として全く同じ人生をたどっている人はいません。 性格も生まれ持ったものもあり、一つの物事に対する解釈やそれによって起こる気持ちはみんな違います。 どれだけ成功しているように見えても、幸せそうな家族がいたとしても、それはその人にしかわからない悩みやストレスもあります。 あなたがもし同じようなものに執着して求めてそれらを得たとしても、いつもその誰かと比べていたら自分を見失い、何のためにそれらを手にしてこれからどうするのかがわからなくなってしまう可能性もあります。 あなたはどんな人間になりたいのか、何を手にしたいのか、そしてそれはどうしてなのかを考えてみてください。 そして、今の状況であなたがもっているものやありがたいと思えることを探してみてください。 それらに焦点を当てることで人と比べても意味がないことに気付けるかもしれません。 ◎どうして嫉妬しているのか考える。 あなたが嫉妬している相手はあなたが欲しいものをもっています。 それは何でしょうか。 そして、どうしてそれが欲しいのでしょうか。 また、あなたとどういう関係にある人に嫉妬しているのでしょうか。 どうしてその相手に嫉妬心が芽生えてしまうのでしょうか。 お金のない環境で苦労して育ち今も苦しい状況なのでお金持ちを見ると妬んでしまう、自分より先に出世していく後輩をみて自分の存在意義に脅威を感じて出世していく人たちに嫉妬してしまう、などあなたが嫉妬する理由を考えてみてください。 原因がわかったら、そこからくるマイナスな考えを否定してください。 例えば、「あいつはきっと人をだましてお金を稼いでるに違いない。あんなにお金を持っているのに誰にもお金を貸してやらないケチな奴だ。」と嫉妬心から相手に怒りの感情がそういった思いになったとしましょう。 そこで、「私は貧乏だからお金持ちを妬んでしまう、でも彼らもきっとどこかで苦労して今いるところまで来たんだろう。だから人にお金を貸すのを拒んでしまうのかもしれない。私もお金持ちになるためにどうすればいいか考えてそれを実行しよう。きっと私にもできるはずだ。」 というように、なぜ妬んでしまうのかその理由を受け止め、ただ一つの目線で決めつけるのではなく違う方向から相手の立場を理解しようとしてみると、マイナスの考えを否定することができます。 そして欲しいものを手に入れるにはどうすればいいのかを考え始めるきっかけにもなります。 相手への怒りや自分の不甲斐なさに対する悲しみなどを常に感じている状態は精神的にとても辛いものです。 そしてそれらのマイナスの感情はあなたをその場にとどまらせてしまいます。 結果、あなたは自分の欲しいものを得られず、誰かのことを一生妬んで生きていかなければならにことになります。 嫉妬心に気付きそれを「羨ましい」気持ちに戻して、あなたが得たいものをつかむための原動力にしてください。