メンタルヘルスの問題を抱えた人をケアするときのセルフケアの方法

前回のブログで「メンタルヘルスの問題を抱える人をサポートするには?」について書きました。 今回は、そのサポートする人がどのようにしてストレスを溜めないようにするのかを見ていきたいと思います。 精神的に辛い思いをしている人はもちろんですが、周りでその人と関わったり、支える人も正直言ってしんどいです。 ストレスめちゃくちゃ溜まります。 相手に良くなってほしいという気持ちがあるから、元気になれそうな色々な提案をしたり、できるだけひとりにさせないように自分の時間を割いたりします。 でも、相手は、そんなことできないとネガティブな反応ばかりしたり、あなたはいいよね、と攻撃的に八つ当たりしてきたり、あなたの期待と同じ方向に進まないことが多々あります。 もちろん相手はわざとやっているわけではありません。 心に余裕がなく、周りも自分自身も客観的に見ることができなくなっています。 そのことを理解した上でも、ケアする側としては思い通りにいかないことが多いので辛いです。 そういう状況が長く続いてしまうと、ケアする側もイライラや落ち込み、不安な気持ち、眠れないなどの症状から、精神的に壊れてしまうことだってあります。 そうならないためにケアをする人にもケアが必要なのです。 どのようにセルフケアを行えばいいのでしょうか。 ◎ 自分の不調に敏感になる。 誰かのために動いているとき、自分のことを忘れがちです。 もしあなたが常にイライラしたり、気分にムラがあったり、いつもできていることが何故かできなかったり、無力感を感じるなど、いつもと違う感覚があったら、それはあなたの体や心が不調を訴えているときです。 そんなときは、あなたのための時間を優先してください。 相手を思いやるのと同じように、あなた自身を思いやってあげることは大切です。 そうでなければあなたも相手も共倒れです。 体調や心の不調に敏感になって、悪化させないようにしてください。 ◎ 自分のための時間をつくる。 誰かのためを思って時間を割くことは素晴らしいことです。 でも、それが自分のやりたいこと、やるべきことの妨げになったとき、当然ですがストレスの元となります。 さらに、こんなにも時間をとってあげているのに、私のエネルギーを犠牲にしているのに、と相手に対して怒りを感じたり、押しつけがましくなってしまうことにもなります。 人は、自分のニーズが満たされて初めて心に余裕ができ、相手を思いやることができるのだと思います。 あなたがやるべきこと、やりたいことにはちゃんと時間をとりましょう。 ◎ 完璧でなくていい。 相手の辛さを全て受け止め、私が全部何とかしないと、という考えをもっているのなら、それはとっとと捨ててください。 これは、メンタルヘルスの問題を抱える人を支えるときだけでなく、例えば子育てや介護など誰かのケアをするときも同様です。 相手の要望を全て満たす完璧なお世話をすることは不可能です。 私のせいで彼、彼女はいつまでも苦しんでいる、と自分を責めたり、自分の不十分さに自信を失ったり、完璧を目指せば目指すほどあなた自身を追い詰めてしまいます。 全てこなすことは無理だ、だって人間だもの、と自分に言い聞かせましょう。 誰かの力をかりましょう。 やれることだけに集中しましょう。 ◎ 周りに助けを求める。 精神的に辛い思いをしている人は孤独感を強く感じています。 でも、その人のケアをしている人も同じように孤独感を経験しています。 相手と一番近い関係にいるのは自分だから、相手が助けを求めているのは自分だけだから、誰かに相談してその人を巻き込みたくない、と誰にも相談できずにいる人も少なくないと思います。 だけど、助けは求めましょう。 精神的な問題は特に、治ったといえるラインがとても曖昧です。 良くなったと思えば次の日にはものすごく落ち込んでいたり、その人が日々経験する状況によって気分のムラもあり、それらは近くにいる人たちの気持ちも大きく揺さぶります。 だから、もし一人で苦しんでいるのなら、あなたの家族の誰かだったり、親戚だったり、友人だったり、話を聞いてもらいましょう。 あなたの周りの誰かがその状況を知っていると思うだけでも気持ちが楽になることがあります。 ◎ 専門家に相談する。 心の問題はとてもセンシティブで、深く関わっていない人たちからはあまり理解されないこともあります。 だからあなたが相談しても期待している反応を必ずしも得られるとは限らず、余計に苦しくなってしまう場合はあります。 家族や親戚、友人に相談しても状況が変わらない、もしくはそういう人がいないなら、あなた自身がカウンセリングを受けることをお勧めします。 話す相手が精神的な問題の専門的な知識を持っていて、あなたの考えや悩みにフォーカスしてくれるという点で、安心感がうまれ、ストレスを軽減する方法が見つかる可能性が高くなります。 あなた自身のメンタルヘルスを良い状態で維持するために専門家と話をすることもひとつの方法です。 精神的に辛い思いをしている誰かを支えているあなた自身も、相当な精神的エネルギーを使っています。 自分のケアを忘れずにあなたが壊れてしまわないようにしましょう。

辛い時のやる気の出し方(後半)

前回の記事「辛い時のやる気の出し方(前半)」で、やる気が出ない原因、外発的動機づけと内発的動機づけについて書きました。 今回も引き続き、精神的にしんどいときのやる気の出し方を見ていきたいと思います。 ◎考えるより動く。 だからぁ、動けないんだよ! って思いますよね。 休む時は思いっきり休むのもひとつです。 でも冒頭でも書いたように、やる気というものは自然にわいてくるものではありません。 行動していない時間が長いほど、脳はそれを素直に受け止め、この人は行動できないのだと解釈してあなたに思い込ませます。 だから、私たちに「動け」と脳が指示する必要もないのです。 つまり、やる気を出させるような指示をすることはありません。 しかし、脳はただ勘違いしているだけなのです。 動けることをあなたの脳にインプットし、脳に新しいネットワークをつくることが再びやる気が出るきっかけになります。 これを神経可塑性といい、脳が経験によって変化適応し成長し続ける能力です。 これは、今の習慣や行動、考え方などを良いものに変えられるということなのです。 やる気が出ず動けずにモヤモヤと考え続けることから少しだけ離れて、何も考えずにとりあえず体を動かしてみましょう。 あなたにとってできそうなことは何ですか? ぐーーーっっと背伸びをする、机をきれいにふく、外に一歩だけ出てみる、洗濯をする、料理をする、など少し体を動かしてできそうなことをしてみてください。 そうすることで、あなたの脳はあなたが動けないという勘違いに気付き、体を動かすモードになり、あなたはやる気を少しは感じることができるでしょう。 ◎自分の生き方は自分で決める。 誰かに何かをやれと言われた時って、特にやりたくないと思っていなかったことでも、やりたくなくなりませんか。 人は人から言われたことに対して中々やる気は出てきません。 人はみんな違うので、誰かのタイミングで指示されたり、誰かの目線や考えですべきことを提案されても、気持ちはついていかないのです。 結局は自分がどうしたいかは自分で考えなければいけません。 もちろん、誰かからアドバイスをもらったり、自分のやりたい事を見つけるために誰かの考えや経験を聞くことは大切です。 ただ、考えましょう。 誰もあなたの人生を生きてはくれないし責任もとってくれません。 どれだけあなたを愛していてもあなたの代わりになりたいと思ってくれていたとしても、難しい話です。 あなたはどんな生き方がしたいですか? どんな自分になりたいですか? やりたいことを見つけるのは簡単ではないですが、どんな自分になりたいのかを考えることはできます。 それが明確な目標になったら、そこへ向かうための行動をとるやる気になります。 ◎セルフケア。 精神的に辛い時、セルフケアを忘れないでください。 気持ちに余裕がないときほど、自分に対してのケアを怠りがちです。 セルフケアには「身体面」「感情面」「精神(スピリチュアル)面」「社交面」のカテゴリーで考えるとわかりやすいです。 体調はどうなのか、どんな気持ちでいることが多いのか、自分の価値観や信念を理解しているのか、人との付き合いはどうなのか、を観察してみてください。 そして、それらをあなたの理想になるように、つまり気持ちがリラックスできる状態を目指してケアをしてください。 詳しくは「セルフケアの方法」へ。 ◎自分に優しくする。 辛い経験をしたりストレスがたまってくると、自分に対して悲観的な見方をするようになることも多いです。 私はこんな人間だからどうせ何をやってもうまくいかない、これ以上失敗をして傷つきたくない、というように自分を批判し何かに挑戦することを恐れるようにもなります。 その結果、やる気なんて出ません。 自分自身を責めたり失敗を恐れているのなら、まず自分に対するその態度を変えましょう。 自分自身の批判をやめて優しく接してください。 きっとあなたは十分すぎるくらい自分の弱い部分を感じ、責めてきたでしょう。 だから次は優しくしてください。 「誰も完璧な人なんていないし、みんな悩みはある。失敗したっていい、考えて実行していることが大切なんだ。今できないことはあって悔しいけど辛いけどそれは仕方がない。でもだからこそ、今の自分を良くするためにできることを自分のペースでやればいいんだ。」 というような言葉をあなた自身にかけてあげてください。 あなたの大切な人が悩んでいる時、どんな言葉をかけてあげるか想像しながら。 ◎専門家に相談する。 精神的に辛い時はひとりでは考えが整理できないのは自然なことです。 この記事を読んでもしっくりこない、私にできると思えない、こんなことしたってどうせ良くならない、と感じているなら、カウンセラーやその他の専門家に一度相談することをお勧めします。 その一歩を踏み出すことも勇気のいることだと思います。 でも第三者に相談することで、これ以上辛い思いをしないように、少しでも楽に生きれるようになるきっかけになるかもしれません。 気持ちが辛い時、エネルギーがわかずやる気が出ません。Continue reading “辛い時のやる気の出し方(後半)”

子育てバーンアウトとは?~5つの対処法~

どれだけ眠くても、体調がすこぶる悪くても、仕事でめちゃくちゃ忙しくても、「もうやーめた!」とできないのが子育て。 特に産まれて間もない赤ちゃん、ひとりでは何もできない状態の頃の子どもは放っておけば死んでしまいます。 成長しても大きなけがをしたり、学校で問題を起こしたり、反抗期があったり、と親たちの悩みや心配のタネは消えません。 子どもが産まれてからは、ほとんどがその子どものことを中心に考えて行動することがやはり多くなります。 自分たちのことが思うようにできないのは当たり前な世界に突入します。 それでもやはり我が子はかわいいので、その成長を見ると心が癒されストレスも軽減されます。 ところが、子育てをしていてかわいいなー幸せだなーという報われる気持ちになるような経験やポジティブな感情より、子育てによる心の負担の方が大きくなってしまった場合、子育てバーンアウトに発展する可能性があります。 ベルギーの研究者のイザベル・ロスカムとモイラ・ミコライザックは、子育てバーンアウトとは、心身的に疲労困憊している、子どもとの心の距離を感じる(愛情を注げない)、自分は親としての役割を果たせていないと感じることだと定義しています。 心身的に疲れがたまってしまうと、物事をいつも通りに考えることはできません。 そして、些細なことでもイライラします。 (月経前症候群(PMS)がある女性はさらにどうしようもなくイライラします。) しかもそのイライラをどこにもぶつけられず、どうして私はこんなんなんだと悲しくもなります。 子どもに対してもかわいいと感じる気持ちが薄れ、さらに悲しくなり、親としての自分を疑い、自分自身を強く責めてしまいます。 その結果、不安症やうつ病などに発展することも珍しくありません。 とても辛い状況です。 バーンアウトに発展してしまう傾向としては、完璧主義、周りからのサポート不足、夫もしくは妻(パートナー)からのサポート不足、人に助けを求めるのが苦手、共働き、経済的な不安などがあります。 他にもそれぞれ個人の悩みもあると思います。 それらのストレスが大変な子育てにさらに負担をかけてしまい、日々の課題を自分でコントロールできているという感覚をなくして、気持ちが追い付けなくなってしまうのです。 こんなに大変なことをこなしているのに、すごく頑張っているのに、どうしてこんな気持ちにならないといけないんだ!! と叫びたくなります。 人を育てること、当たり前にしてるように見えますが、軽い気持ちではもちろんできません。 ものすごいことなのです。 でもその分、子育てから得られるもの、心を満たしてくれるものがあるから頑張れます。 そのバランスが崩されないようにその対処法をもつ、また、崩れているなら今からとり直しましょう。 ◎ネガティブな気持ちになるのは自然なことだと知る。 子育てでイライラしたり怒ったり悲しくなったりするのは当たり前のことです。 だって今まで生きてきた環境が一瞬で変わり、やりたいことができず、どんな小さなことも最後まで終わらせれない事がたくさんあるのです。 そんなことが長い間続けば、そりゃ叫びたくもなるし泣きたくもなります。 ネガティブな感情が沸いてきたからといって、それが少し行動に出たからといって、あまり気にし過ぎることはありません。 それが人間です。 だから、こんな気持ちになるなんて親失格だ、とか思わないでください。 その感情も子育ての一部です。 ただし、もしそれらが子どもへの暴力になってしまう恐れがある、もしくは暴力をふるってしまったり、世話を放棄する(ネグレクト)ようになってしまったら、絶対にそのままにせず周りの誰か、もしくは専門家に相談してください。 それは頑張っているあなたが追い詰められているサインです。 あなたもあなたの子どももその状況から逃げ出してください。 ◎完璧主義をやめる。 親は子どもに嫌な思いをさせてはいけない、自分の子どもはこうあるべきだ、など自分の中で完璧で理想的なプランを立て子育てに挑む人も少なくないと思います。 人は完璧にはなり得ません。 そして物事は思い通りには進みません。 仮に世界の全人口の理想が思い通りに進んだとしたら、混乱し無秩序な世界になってしまい共存は不可能でしょう。 できるだけこうしたい、こうしてあげたい、という理想を持つことは大切ですが、全てはそうならないことを踏まえて柔軟に対応する姿勢をもつことはもっと大切です。 そうでないと、「完璧な親」「完璧な子ども」になれなかった時、自分や子どもを責め立ててしまうことになります。 つい大声を出して注意してしまったけど毎回そうではないしちゃんと話をすれば大丈夫、人前で泣き止ますことができなかったけど今日の機嫌の悪さはどうしようもできなかったので仕方がなかった、など思い通りにいかなかった時でもこういう事もある、こんなもんだ、というように理想と現実の間に余裕をつくっておきましょう。 完璧よりも柔軟な気持ちの対応が親も子どもも疲れずに済みます。 ◎セルフケア 子育ては褒められません。 どれだけ頑張っているのかのフィードバックももらえることも、日々の中ではほとんどないと思います。 もちろん子どもたちから「ママ、パパ、いつもありがとう。」なんて言われるとそれはもう最高のリワードですが。 でもそれもよくあることではありません。 だから、自分に対して自分がケアすることはとても大切です。 たまには、いや時々、んー毎日でも自分にご褒美をあげてください。 好きなケーキを食べる、親に子どもを預けて買い物に行く、家事をいったん放棄、友人と電話する、旅行に行く、などあなたの心が癒されることを探してやってみてください。 自分の心のケアは子どもの心のケアにもつながります。 親が余裕なくギスギスしていると子どももそれを感じ、ギスギス、イライラしてしまいます。 いつも、は難しいかもしれませんが「まずは子ども」から「まずは自分」に切り替えることも時には必要です。Continue reading “子育てバーンアウトとは?~5つの対処法~”

大切な人を失った子どもをサポートする方法。

あなた自身のお子さん、もしくはあなたが親しくしている小さいお子さんが大切な誰かを失った時、どう接して良いかわからないことありませんか? 誰かを亡くしたときの小さな子どもと大人の反応は違います。 特に幼い子どもたちは「死」というものをまだちゃんと理解していないことがほとんどです。 しかし、喪失感が全くないわけではありません。 周りの空気やお葬式などから心で特別な何かを感じ、ストレスを感じます。 子どもたちが大切な誰かを亡くしたストレスを上手く対処できなければ、遊ぶ気力を失くす、眠れなくなる、食欲がなくなるというようなことが長く続き、精神面にダメージを受け続けることにもなります。 そのため、大人は子どもたちをしっかりとサポートすることが大切です。 まず、子どもたちが大切な人の死に対してどのように反応するのかを頭に入れておきましょう。 ここでは、0か月~6、7歳ぐらいまでの子どもたちの平均的な反応をみていきたいと思います。 ◎実年齢(普段の行動)より幼い行動に出る。 ◎亡くなった人の名前を呼んだりしてその人を探す。 ◎いつもよりイライラしたり癇癪を起すことが多い。 ◎睡眠パターンがいつもと違う(よく眠れなかったり、悪夢をみてうなされたり、ひとりでは寝れなかったり、など) ◎食欲がなくなる。 ◎あなた(親)や兄弟が同じように亡くなってしまわないか、何度も繰り返し聞く。 ◎大切な人が亡くなったのは自分のせいだと思い込み自分を責める。 これらの反応の中でも年齢によって、そしてひとりひとりの性格や過去の経験などによって、個人差はあります。 その為、普段と様子が違ったりすることが特に判断する材料になるでしょう。 それでは親として、また、その子どもの保護者として、どのようにサポートすればいいのでしょうか。 ◇わかりやすい言葉で何が起きたのかを話す。 幼い子どもの「死」の理解はまだ曖昧で、アニメや絵本などの影響から人は生き返ることができると思っていたり、「死んだ」後でもまた会って話すことができると思うことも少なくありません。 そこで、できるだけシンプルでわかりやすい言葉を使って「死」を説明してあげましょう。 「悲しい話をするよ。あなたのおじいちゃんは死んじゃいました。死んじゃうってことは、おじいちゃんの体はもう動かなくて、もう会うことも話すこともできないってことなんだよ。」というような。 「お空に行っちゃった。」や「これからずっと離れ離れだよ。」などの曖昧な言葉は混乱させてしまうので、ちゃんと子どもに説明するときは使うのを避けるようにしましょう。 ◇反応を抑制しようとしない。 大切な人を亡くした時に子どもたちがみせる反応は、様々です。 それらによって、周りの大人がイライラしてしまったり、動揺したりすることもあると思います。 でも、彼らはそれぞれのやり方で、大切な人の死を受け止めその悲しみや辛い気持ちを整理しています。 そしてそれは自然な課程で、悲しみを乗り越えるために必要なことなのです。 だから、大人として優しく受け止め見守ってあげることが大切です。 泣いてわめくなら落ち着くまで抱っこしたりそばにいてあげる、ごはんをいらないというのなら無理やり食べさせない、など、大人がどっしりと構えて対応しましょう。 そして、子どもが大切な人の死を受け止めるまで時間をあげ、焦らず待ちましょう。 ◇気持ちを吐かせてあげる。 まだ幼い子どもは自分の気持ちを上手く言葉で表現できません。 だからこそ怒りや苛立ち、意欲の低下など色々な反応をするのですが、大人がサポートしながら、子どもに気持ちを出させることはできます。 例えば、「○○君、おばあちゃんにもう会えなくなって寂しい?」「またお父さんに抱っこしてもらいたいね。」「嫌な気持ちありますか?」など、気持ちを汲み取って代弁してあげることで、子どもはそれに対して「うん。」「ううん。」という返事や、泣いて気持ちを外に出すことができます。 ◇自分のせいにしていないか確認する。 子どもたちの中には大切な人が亡くなった原因は自分にあると思う子たちもいます。 本人と関係が近ければ近いほど余計に感じるかもしれません。 そういう様子が少しでもありそうなら、「お父さんが亡くなったのはあなたのせいだと思ってる?」と率直に聞いてみてください。 そして、死因をしっかり説明し、子どものせいではないことを伝えてあげてください。 例えば、「お父さんの体の中に悪い細胞がいて、その細胞たちが体の中の大切な部分を壊してしまったんだよ。そのせいでお父さんは死んでしまったんだよ。だから○○のせいじゃないんだよ。」など。 ◇できるだけ普段の生活を過ごさせる。 誰かを亡くしたことで子どもの生きている世界がガラッと変わるくらい動揺することがあります。 この世界は恐いことが起きるんだ、と不安な気持ちも出てきます。 その為、少しでも普段の生活をそのまま続けることが、「大丈夫だよ、今まで通り楽しいこともあるし、私に頼っていいんだよ。」というメッセージを子どもに送ることができます。 そうすることで子どもは安心感を取り戻すことができます。 あなたが無理するのも子どもに無理させるのも禁物ですが、できるだけ普段の生活ルーティンを維持しましょう。 ◇セルフケア。 最後に、忘れてはいけないのはあなたの気持ちです。 子どもの悲しみを感じてサポートしないとと、あなた自身の感情を無視しないようにしましょう。 子どもに気を遣い疲れてしまう事もあると思います。 子どもの前だとしてもあなたの悲しみを出すことは決して悪いことではありません。 逆にそうすることで、子どもは悲しい時は泣いていいんだ、落ち込んでいいんだ、と感じることができます。 もちろんバランスは大切で、辛い気持ちを子どもにぶつけたり、大人同士の問題などを持ち出したりして、子どもの気持ちの負担にならないようにしましょう。Continue reading “大切な人を失った子どもをサポートする方法。”

大切な人を失った悲しみとの付き合い方 ~実践編~

前回、キューブラー・ロスの悲しみの5段階モデルについて説明し、大切な誰かやものを失った時に私たちがどのように反応するのかを理解することでそのショックを軽減できるかを書きました。 今回は実践編で、大切な誰かや何かを失ったことによる悲しみを癒す方法を紹介したいと思います。 ◎自分の感情をありのままに感じる。 キューブラー・ロスのモデルでもあるように、大事な人やものを失う、もしくは失ったと気付いた瞬間から私たちはいくつもの感情を経験し、それに伴う行動をします。 こんな気持ちになるのはおかしなことだ、周りに迷惑をかけてはいけない、とそれらの感情に気付かないふりをして気丈に振るまったことありませんか? 辛いニュースを受け入れられず、怒って人に当たったり、何かにすがりつこうとしたり、誰とも話をしたくなくなったりすることは、自分を守る心理が働いて自然に起こる事です。 自然に起こる感情を無理やり押し込むことは、その時もものすごく苦しいし、後になって現実を受け入れるのがもっと辛くなってしまい、悲しみから抜け出すことが難しくなってしまいます。 自分を否定せず、周りを過剰に気にせず、湧き出てくる感情をありのままに認め、感じて処理してください。 ◎信頼ある友人や家族に気持ちを話す。 辛い、悲しい気持ちをあなたの外に出しましょう。 あなたを理解してくれてる人、深い間柄の友人や家族がいなければカウンセラーや他の心の専門家にあなたの気持ちを聞いてもらいましょう。 自分の気持ちを素直に正直に吐き出すことで頭の整理ができ、深い悲しみも少なからず和みます。 そしてまた、人に話すことで自分の気持ちに気付き、自分の感情をありのままに処理するのを助けてくれます。 ◎自分を許す。 誰かや何かを失った時、あの時こうしていれば、どうしてあんなことをしてしまったんだろう、などというような後悔や自責の念にかられることもあるでしょう。 そう思うことは普通のことです。 でもその後悔をずっと背負い、いつも負い目を感じていては心にかかる負担はかなり重くなります。 私たちは超能力者ではありません。 あなたに予想できることは限られています。 しかもその予想が実際に起きることは多くありません。 誰かや何かをなくすこと、特に急な事の場合、をどこまで予想できるでしょうか? できなかったことややってしまったことは仕方のなかったことなのです。 長い間責め続けて自分を苦しめないでください。 自分を許してあげましょう。 ◎儀式をする。 儀式といっても大それたものではありません。 失った相手へのあなたの想いを手紙に書く、お墓参りに行く、亡くなった人の共通の友人や知り合いで集まって故人の話をする、相手の好きだった場所に行く、恋人と別れたならその人の写真を燃やす、相手の好きだった歌を聴く、など。 その時間を特別にとることで、相手と再び心でつながり、あなたの気持ちの整理がしやすくなります。 ◎亡くなった人との新しい関係をつくる。 悲しみを乗り越えるということは、なくした人やモノを忘れることではありません。 今のあなたの生活の中で、その人やモノはあなたにとって新しい存在になっていきます。 亡くなった人、なくしたモノのことは忘れよう、ではなく新しい関係をつくっていきましょう。 そのために想像してみてください。 あなたの気持ちをもし相手に伝えたとしたら、相手は何と返してくれるでしょうか。 相手と会話をする時間をとってみてください。 そうすることで、その人やそのモノに対する前向きな気持ちが出てき、悲しみも弱まります。 ◎セルフケア。 かけがえのない誰かや大切なモノを失って深く傷ついているあなた自身に気付きましょう。 十分に辛い思いをありのまま感じたら、疲れきった自分をいたわってあげてください。 いつもと違うように世の中が見え、普段の生活がままならない事もあると思います。 でも、ごはんを食べ、お風呂に入り、人と話をする、などいつもやっていたことを少しずつしていくことは悲しみを癒すためにも大切なことです。 また、体を動かしたり、どこか旅行に行ってゆっくりしたりするのも気持ちをリフレッシュさせるのに効果的です。 ◎癒えるには時間がかかることを知る。 大切な人やモノを失くしてすぐに元の元気を取り戻せる魔法のような方法はありません。 心が癒えるには時間がかかります。 今までその人と一緒に過ごした時間やプライドをもってやってきた仕事への情熱などを考えれば当然のことです。 辛いですが、ひとつひとつできることから始め、元の生活パターンに自分を持っていく事からまず考えましょう。 もちろんあなたのペースで。 気持ちはゆっくりとついてきます。 辛い現実を前にすれば大きな悲しみを受けるのは自然な事です。 しかし、それが複雑になりあなたがそれを経験する前の生活に戻れないでいる状況は好ましくありません。 そうならないように、あなたの気持ちを素直に受け止め、そこからできることを始めましょう。

セルフケアの方法

私たちは社交的な生き物です。 他人のことを自然と気にかけます。 他人の幸せに責任を感じる人もいるでしょう。 友達が困っていたら、その問題を解決してあげたいと思い、励ましたり、助けが必要かどうか聞いたり、一緒にいてあげたりするでしょう。 それは、人間が本質的に持っている美しいものだと思います。 しかし、私たちは自分自身のケアとなると、どうも苦手です。 なぜなら、日々の肉体的・精神的活動による疲れを振り返る時間を忘れがちだからです。 例えば、会社が設定したノルマを達成するために、毎日早朝から深夜まで働いていると、睡眠時間や食事、友人や家族と過ごす時間など、自分の健康を維持するために必要なことが疎かになってしまいます。 自分自身を振り返る時間を持ち、今している事が自分のコントロール下にあると感じられれば問題ありません。 しかし、やらなければならない仕事を、いっぱいいっぱいで無理して推し進めてているようではいけません。 ストレスは知らず知らずのうちに蓄積され、結果的に肉体的・精神的な健康問題を起こす可能性があります。 喜びや楽しさを感じるものがないと、燃え尽き症候群、虚無感や孤独感、自分のやっていることの意味を見失ってしまうかもしれません。 そんな風に感じている方は、自分のこころの健康を管理するために何ができるか、つまり、セルフケアについて考えてみてはいかがでしょうか。 セルフケアは、「身体面」「感情面」「精神(スピリチュアル)面」「社交面」の4つのタイプに分けられます。 まずは「身体面。」私たちの心と体は強く結びついています。 ですから、身体的要素をケアすることで、健全な心を育むことができるのです。 ちょっとした散歩やストレッチ、ヨガなどの運動をすることで、身体的にも精神的にもリラックスすることができます。 「感情面」のケアは身体にも影響を与えるため、自分自身を良く思い、楽しい気持ちになったり充実感を味わうことが大切です。 喜びやリラックスした心を持つと、体もその心地よさを実感します。 ゆっくりお茶を飲んだり、好きな音楽を聴いたり、何もしないでぼーっとしているなど、自分が心地良くなれることを考え、実践してみましょう。 「精神(スピリチュアル)面」のケアは、宗教的なものに限らず、自分自身の価値観や信念を尊重することも含まれます。 それぞれの信じている考えや価値観は、その人の人生に意味や目的を与え、それが生きるモチベーションとなり、どのような人生にしたいかという方向性を示してくれます。自分の価値観や信念が何であるかを改めて知り、それらが今やっている事と矛盾がないかどうかを確認してみましょう。 最初に述べたように、人間は社交的な生き物で、「社交面」のケアも重要です。人と関わりをもつことは、人間の基本的欲求です。 友人や家族との時間をもち、自分がどうしているか、相手がどうしているか、などの会話をしたり、一緒に好きなことをしたりしましょう。 人と一緒にいたいという欲求を満たすことができ、感情面の欲求を満たすことにもつながります。 セルフケアは軽視されがちですが、私たちのこころの健康のためには必要なことです。 自分のケアに何が足りないかを意識し気付くことでストレスの軽減にもつながり、日々の生産性や満足度を向上させることができます。