セルフサボタージュって何?自分自身がつくる目標妨害に対処する方法。

「セルフサボタージュ」という言葉を聞いたことはありますか? 私たちは、欲しいものや目標があると、それを手に入れる為、達成する為に行動します。 しかし中には、目標があるにも関わらずそこから自分自身を遠ざけるような行動をする人がいます。 自分自身の価値をここまでだと限りをつけ、まだ先に行けるはずなのに自分でストップをかけてしまう。 (中には、と言いましたが、実はほとんどの人がそれを経験したことがあるのではないのでしょうか。) このことをセルフサボタージュといいます。 つまり、自分がやろうとしていることに自分自身でジャマをしてしまう自己妨害のことです。 例えば、次の日の朝に大事な仕事の面接があるが前日の深夜まで友達と飲んで寝過ごした、恋人と深い関係になる前にいつも別れ話を切り出してしまう、ダイエットしようと食事を制限した結果辛くてすぐ止めてしまった、任された仕事を完璧にしようとして結局中途半端になってしまった、などやろうと決めたことを達成する妨げとなる行動のことをいいます。 セルフサボタージュをしてしまうには理由があります。 ・変化への恐れ 人は今いる心地の良い状況から抜け出すのを恐れます。 変わろうとすることで何か問題が起きてそれに対応する自信がなかったり、今より良くない状況になったり失敗することが恐いのです。 逆に、成功への不安というものもあります。 成功とは誰もが欲する輝かしいもののようですが、実際に成功という場所に行くと、責任もリスクもそこで維持するプレッシャーも、そうでなかった時より重くのしかかってきます。 どちらにせよ、目標を目指す過程で、「私にはできない、やっぱり止めよう。」と守りに入り元の自分に戻ろうとするのです。 ・過去の経験 過去に親や保護者によるネグレクト、拒否された経験や虐待などによるトラウマは自分自身に価値を見出す感覚を養うことを妨げます。 自分には価値がないと思うことは、私なんかが成功なんてできるわけがない、と何かを目指そうとしても途中でもしくは始めからあきらめてしまうことにつながります。 その結果、セルフサボタージュの行動をとってしまうのです。 ・不安定な愛着 保護者との愛着形成もセルフサボタージュに影響します。 イギリスの精神科医のジョン・ボウルビーが提唱した愛着理論には4つの愛着タイプがあります。 そのうちの一つである回避型は、子どもの必要な時に保護者がおらず不快な気分を長い間放ったらかしにされ、いたとしても義務的にお世話をするので子どもは愛情を感じることができない、という環境で形成されるとされています。 このように育った子どもは、生きていくためには自分ひとりで何とかしなければいけない、と周りの人たちを信頼することができません。 その結果、親しい関係になった相手にも心を完全に開くことができず、より深い関係を築こうとする時に、きっと裏切られる、結局はひとりで生きていかなければいけないんだ、とその関係の先に進むことをやめようとします。 それが意識的もしくは無意識にセルフサボタージュ行動を起こす原因となるのです。 このように、様々な理由でいつの間にかそのような行動をとることが自然になり気付かないことも多くあります。 しかし、自分の得たいものとその道を自分でつぶしてしまうその行為は私たちのやる気を失わせ、達成できなかった自分とそうさせてしまった自分に嫌気がさし、私はその程度の人間なんだと自己価値と自己肯定感を下げてしまいます。 できれば止めたい行動ですよね。 どうすればセルフサボタージュを止めることができるのか見ていきましょう。 1.自分のことを知る。 何かに行き詰まった時や設定した目標にいつもたどり着けないと感じた時は、あなたがどういう行動をとっているのか、を観察してみてください。 それらを知ることでどうして上手くいかないのか、その原因を知ることができます。 原因を見つけ出しそれらと向き合うことが、あなたを妨害する行動を止める大きなポイントとなります。 例えば、良い人間関係をつくりたいのにいつの間にか人が離れていってしまうと感じている場合。 あなたはもしかしたら誰かの批判をよくしているのかもしれないし、相手に気持ちを上手く伝えることができず疲れて自分から距離を置いてしまっているのかもしれません。 そうだとしたら、批判するのを止めるようにする、コミュニケーション能力を上げる、などの解決方法があります。 それを実行することでセルフサボタージュを抑え、あなたのゴールに近づく行動をとることができます。 あなた自身への理解を深めることは、あなたをストレスに強くもしてくれます。 その為の時間をつくることはとても価値のあることです。 自然に出てくる行動を意識レベルにもってきましょう。 2.目標が本当にあなたが得たいものなのかを確認する。 これも自分のことを知るうちのひとつですが、あえて別に説明します。 というのも、セルフサボタージュはあなたの価値観とやっていることのズレによって出てくる行動で、本当にあなたのやりたい事や得たいもの、あなたの価値観を知る必要があるからです。 もしあなたのもっている目標がそれらを基にしていなければ、セルフサボタージュ行動は止められません。 社会でもてはやされる人物像はメディアやSNSなどを通して、私たちに大きく影響します。 それによって私たちの目標がつくられることも自然なことです。 でも、本当にそれがあなたのものでなければ、すぐにつまづいてしまいます。 だって面白くないですから。 誰かの夢や目標を課せられることもあるでしょう。 でもやらされているという感覚では、「やりたくない」と思う自分が、意識的もしくは無意識にそれに反する行動をします。 今持っているあなたの「やりたい」「欲しい」が本当にあなたのものなのかしっかり考えてみてください。 3.自分に優しくなる。 あなたが自分の目指す過程をジャマしてしまうことは決しておかしいことではありません。 変化を恐れること、過去の辛い経験がそうさせているので、ごく自然なことで誰にでもあることです。Continue reading “セルフサボタージュって何?自分自身がつくる目標妨害に対処する方法。”

親しい関係に対する不安と上手く付き合う方法

誰かと関係を築いているとき、あの人は本当に私のことを想ってくれているのだろうか、この人とこのまま一緒にいていいのだろうか、私がいなくてもあの人はあまり寂しそうじゃなかったな、という風にあなたは不安を感じたことはあるでしょうか? 人と深く付き合おうとすると、こういった不安な気持ちになるのは自然なことです。 人間は人から拒まれたり、物事が上手くいかないことに恐怖を感じます。 傷つくのは痛いことで、できるだけ避けようとするのが人間としての本能なのです。 だから、多少の不安は一時的なものであれば自然なことで、逆にそれらは私たちを成長させ、精神的にも強くしてくれます。 でも、頻繁に辛くなったり、いつもいつも不安な気持ちでいっぱい、ということになれば話は別です。 その状態ではあなたにも相手にもストレスがかかり、関係性も不健全なものになってしまいます。 もしあなたに思い当たる節があるなら、今もっている関係で次のような行動をしているかチェックしてみてください。 いくつチェックがついたから、というようなテストではありません。 ただ、ひとつでも当てはまり今の関係性に不安ばかりを感じていて日々の生活にも影響が出たり心が辛いのなら、少し立ち止まって不安を軽くするためにできることをしましょう。 ◎原因を知る。 深い関係を築く上で過度な不安を感じてしまうのはそうなってしまう原因があります。 子どものときに親やお世話してくれた大人から受けたネグレクトや虐待、周りから愛されていると感じることができなかった環境、それらによって形成される親への愛着、自己肯定感が低い、拒否されることへの恐怖、全てをコントロールしないと落ち着かない、過去に恋愛関係で予期せずフラれたり浮気されたことのある経験、など人によって様々な理由で今の不安な気持ちを起こさせています。 しかし、これらは潜在的で本人は気付いていないことも多くあります。 あなたがどうしてそんなに不安になってしまうのか、もし考えたことがないのなら、一度振り返ってみてください。 原因を知ることで自分自身への理解を高められ、今の関係性を客観的にみることができます。 客観的にみてみると、ぐるぐると同じ議論を頭の中で繰り返すことを止め、新しい角度から関係性を捉えることができ、不安を解消する方法にたどり着くことが大いにあります。 辛い過去があってまたそれを掘り返すのは勇気のいることですが、それらが原因で今のあなたをジャマしているのなら今後もジャマをし続けます。 あなたのペースで考える時間をつくってみてください。 ◎相手に正直に気持ちを打ち明ける。 嫌いになってほしくないから、良い雰囲気を壊したくないから、と相手の顔色をうかがってあなたの気持ちを抑えていませんか? それは相手があなたの気持ちを無視しているのではなく、あなた自身があなたを無視していることに気付きましょう。 深い関係をつくるということは、あなたの意見を無理に抑えて相手の機嫌をとることではありません。 あなたが気持ち良くあなたの思うことを相手に伝えることができ、相手もそれをわかろうとすること、そしてその逆も然りです(相手の正直な思いを心で聞くこと)。 だから、ああだこうだと考え過ぎず、正直に話しましょう。 その結果、嫌な思いをするかもしれません。 でも本当に相手を思いやっているのなら、時間をかけてでもちゃんとした会話ができるはずです。 もしそうでないのなら、その時はその関係性をどうするべきか考える時です。 素直な気持ちを伝えて嫌な圧力をかけてきたりあなたの心を踏みにじるようなことをしてくるような相手とこの先ずっと一緒にいる意味は何ですか? また、深い関係になっていくことに不安を感じているのなら、それを相手に伝えましょう。 相手の気持ちを決めつけたり、私たちは合わないとひとりで答えを出して、話し合いもろくにせずに関係をやめるのは相手の気持ちをも無視していませんか? 今のパートナーと別れたとしても、また違う関係が始まれば同じところで行き詰る可能性が高いです。 あなたの声はあなたが外に出してあげましょう。 (※話をして身体的暴力の可能性がある場合は家族や友人、もしくは公的機関など安全なところへ避難しましょう。あなたが頑張って話をする必要はありません。) ◎コミュニケーション能力を高める。 自分の気持ちを言いたくても相手にうまく伝えられるか自信がない、結局相手に言いくるめられるのがオチ、というような不安もあると思います。 まして今まで常に気持ちを押し殺してきた相手に初めて本音を言うというのは相当緊張することです。 その対処法のひとつとして、コミュニケーション能力を向上させましょう。 コミュニケーション能力のひとつにアサーティブネスというものがあります。 これは日本語で“自己主張”という意味ですが、相手の意見も尊重しつつ自分の意見もちゃんと伝えるコミュニケーションのことをいいます。 アサーティブになるにはポイントがいくつかあり、それらは「コミュニケーション能力を高める方法。パート3。~アサーティブネスって何? ~」に詳しく書いているので参考にしてください。 そのポイントの中のひとつである「私は~だと思う。」という“I” statement (アイ・ステートメント)を使うことは、相手に流されてしまいそうな状況に特に大切なものです。 「私は~」と口頭に置くことで、あなたは違うかもしれませんが私はこう思います、と相手とあなたを区別でき、相手を尊重したままあなたの意見を言うことができます。 もちろん、その考えがぶれていては相手に言い負かされてしまうので、あなたがどのような気持ちを相手に伝えたいのか、しっかりと考え、揺らぐことのないようにしましょう。 そして、事前に何度も練習しましょう。 いきなり本番では緊張で言いたいことが言えない可能性があります。 ひとりでもいいし気の知れた友人に付き合ってもらってもいい。 何でも練習した方が本番は上手くいく可能性は高くなります。 ◎ひとりでいる時間をつくってみる。 誰かと長く一緒にいるとひとりでいる機会も少なくなり、次第にひとりでいる自信がなくなり、そうなることが恐くなることがあります。 もしくは、ひとりでいることが寂しいから誰かと一緒にいる人もいるでしょう。 どちらの場合でも、相手がいないと困ってしまいます。Continue reading “親しい関係に対する不安と上手く付き合う方法”

コミュニケーション能力を高める方法。パート3。~アサーティブネスって何? ~

今回は4つのコミュニケーションのタイプを紹介します。 人とのコミュニケーションを円滑にするためには、自分のコミュニケーションスタイルを知ることが大切です。 コミュニケーションスタイルには、4つのタイプがあります。 あなたがどのように人とコミュニケーションをとっているのかを知り、どのタイプがストレスを感じず、うまくコミュニケーションをとることができるのか見ていきましょう。 まずはタイプ別にみていきましょう。 あなたはどのタイプに当てはまりますか? ◇受け身型 自分の意見は置いといてまず相手の主張を聞き入れようとするタイプ。 相手に好かれたい、という気持ちが強かったり、人とぶつかることを嫌う為に自分の意見を押し殺してしまいます。 その結果、常に他人の決定に従うことに疲れ、フラストレーションを感じたり、人と一緒にいることを避けたりすることがあります。 この受け身タイプの人の特徴は、自己肯定感が低め、人に頼りがち、悲観的、不安になったり、自分にはできないと物事をあきらめがち、と言われています。 ◇攻撃型 自分の意見を強く表現するタイプ。 相手への配慮はあまりなく、乱暴な言葉で相手に自分の要求を押し付ける事が多く、周りは萎縮してしまいます。 横柄、相手より優位に立っていたい、相手を黙らせることで自己肯定感を上げる、などの特徴があります。 ◇作為型 表と裏の顔がある間接的タイプ。 一見受け身タイプのように相手に賛同したりしますが、実は自分の意見が一番大切。 相手に直接意見を言う事はなく、陰で不満を言ったり、態度で相手に察してもらおうとするタイプ。 例えば自分が嫌なことを頼まれた時にため息をついたり、イライラした態度をみせてしまったりします。 このタイプの人は、皮肉ではっきりせず、その為周りの人が離れていく傾向にあります。 ◇アサーティブネス型 アサーティブネスとは日本語で「自己主張」、「積極性」などの意味があります。 このタイプは相手を尊重しつつ自分の意見も大切にする自己表現型のコミュニケーションをとります。 相手の話を聞き、自分の意見も正直に相手に伝え、できるだけウィンウィンになるような提案を出しながら、お互いにとって最適なところに落ち着くように会話をもっていこうとします。 アサーティブにコミュニケーションをとる人は、自信があり開放的、人の話もよく聞き、妥協する事も必要だと考えます。 以上が主なコミュニケ―ションタイプですが、どのタイプが人と話す上でお互いがストレスをあまり感じないものか、もうおわかりだと思います。 アサーティブネス型は、お互いが勝ち負けを感じるようなことなくコミュニケーションがとれ、言いたい事を一番うまく伝える事ができます。 ではどのようにすればアサーティブネス型になれるのでしょうか。 まずは自分がどのタイプなのかを判断してください。 相手の意見にいつもイエスと言っているか、自分の意見と違うものには声を荒げて反対してしまっているか、言いたいことが直接言えず陰で文句を言っていることがよくあるのか、など日々の人との会話を振り返ってみましょう。 もし自分で判断できない場合、誰か正直に答えてくれる家族や親しい友人に聞いてみるのもありです。 自分がどのタイプかわかったら、次はアサーティブネス型に改善する為のコミュニケーションのノウハウを研究しましょう。 ◎相手の話を聞く。 まずは相手の話を聞きましょう。 人は自分の話を聞いてもらえないとフラストレーションがたまります。 途中で話を遮ったりすると全て言い終わっていないもどかしさで、こちらの話を聞くことよりも自分が話す次の機会をうかがったりして聞く姿勢にならず、お互いに言いたいことが伝わらなくなります。 まずは相手に話をしてもらい、気持ちを発散してもらいましょう。 ◎相手の話に理解を示す。 私たちが話を聞いてもらっていると感じる時は、相手が自分の話を理解しようとしていると感じる時、です。 これはアクティブリスニングの方法でもありました。 相手の話をあなたの言葉に言い換えて返してあげたり、非言語サイン(姿勢、アイコンタクト、表情など)を使って聞いていると、「この人は真剣に話を聞いてくれている」と心が落ち着き、相手もあなたの話も聞こうという姿勢が強くなります。 例えば、近所の人が「あなたのところの犬がうるさくて毎晩眠れない、いい加減にして!」と言ってきたとします。 「大切な睡眠のじゃまをしてしまっていたんですね。申し訳ありません。」と、一度相手の言っていることを受け止め、相手への理解を示しましょう。 ◎自分がどう思っているか伝える。 人にはそれぞれ事情があります。 こちらの事情やそれによる考えを言わずに気持ちを抑えているばかりでは、会話も一方通行になり、コミュニケーションをとれたことにはなりません。 何よりも気持ちを抑えていてはストレスもたまります。 正直にあなたの気持ちを相手に伝えることは、コミュニケーションをとる上で必要なことです。 その際、できるだけ上手く伝えるためのポイントがあります。 まず、あなたが相手の話を聞いている時と同じように、姿勢、アイコンタクト、声のトーン、などの非言語サインを上手くつかうこと。 姿勢は偉そうに見える角度でもおどおどした背中を丸めたものでもなく、しっかりとしたまっすぐな姿勢です。 アイコンタクトは相手の目をしっかり見ることで、気持ちの強さが伝わります。 しかし、文化によってはそれが失礼になってしまうところもあるので状況に応じて調整してください。 声のトーンは、感情的になると声を荒げてしまいがちで、相手の顔色を伺いすぎると弱くなりがちなので、強すぎず弱すぎずの落ち着いたトーンを出すように心がけてください。Continue reading “コミュニケーション能力を高める方法。パート3。~アサーティブネスって何? ~”

コミュニケーション能力を高める方法。パート2。~アクティブリスニングとは?~

アクティブリスニングとは日本語で積極的傾聴といい、カール・ロジャーズとリチャード・ファーソンが提唱した言葉で、「相手が伝えていることを、相手の立場に立ってわかろうとすること」と定義されています。 これは、話し手の経験をその人の視点から理解しようとし、さらにそれを相手に伝えることで、話し手が耳を傾けられ理解されていると感じられるようにするコミュニケーションスタイルです。 少しわかりにくいかもしれませんが、この後に詳しく説明していきます。 ロジャーズとファーソンによると、アクティブリスニングは、自分自身や他人に対する態度を変えることなので、個人の人格を変えるのに最も効果的であるとしています。 また、この特別な方法で話を聞いてもらった人は、感情をコントロールできやすくなり、物事に対して守りに入る姿勢が減り積極的になるそうです。 アクティブリスニングのスキルを身につけることは、相手だけでなく自分自身にもメリットがあります。 人は接した人の振るまいと同じことをする傾向があります。 例えば、誰かがあなたに笑いかけるとあなたもそのように返すことがありませんか? 誰かが怒っていたらあなたもイライラしてきたりしませんか? 同じように、相手の話をちゃんと聞くことで、その人もあなたの話をちゃんと聞こうとしてくれる可能性が高いです。 その結果、お互いが気持ち良くコミュニケーションがとれ、さらに相手への理解が深まってより良い関係を築くことができるのです。 アクティブリスニング、試してみる価値がありそうですね。 では、どのようにアクティブリスニングを実践するのでしょうか。 次のことを頭に入れて会話をしてみてください。 1. 話し手の総合的な意味を聞き取る。 ロジャーズとファーソンによれば、メッセージには、「内容」と「内容の根底にある感情や態度」の2つの要素があるそうです。 たとえば、夫があなたに、”お風呂掃除、終わったよ “と言ったとき、あるいは “めちゃ汚かった風呂の掃除がやっと終わったよ~ “と言ったとき。 あなたは、前者の表現に対して、「まだ違うところの掃除もしてくれそうだな」と感じ、別の部屋の掃除をお願いするかもしれません。 一方、後者の表現では、夫は掃除にとても疲れていて、これ以上家事をしたくないのかなと、次の掃除を頼むのをためらうかもしれません。 このように、話し手がどう表現するか、聞き手がどう受け止めるかによって、内容は同じでもメッセージの意味が違ってくるのです。 いずれにせよ、アクティブリスニングでは、自分が言いたいことをそのまま伝えるのではなく、相手の気持ちを聞き、それを一旦認めてみましょう。 「次は寝室を掃除して。」と言うのではなく、「そんなに大変だったんだね、お疲れ様!」「もうしばらくやりたくないよね。」というように、相手の気持ちを汲んであげましょう。 このように、相手が自分のことを理解してくれていると感じることで、疲れていても、自分がやったことに価値があると感じ、次の仕事に取り組む元気がわいてくるかもしれません。 メッセージには2つの要素があることを理解し、相手が本当に伝えようとしていることは何かを注意しながら聞き、それに対して表現方法を考えることが大切です。 2.         話し手の気持ちに応える。 ロジャーズとファーソンは、メッセージの内容の重要性は時として、その根底にある感情に遠く及ばない、と述べています。 つまり、内容だけでは直接わからない感情部分がコミュニケーションを円滑にする上で一番大切なポイントとなる、ということです。 声の抑揚、姿勢、表情、手の動き、目の動き、呼吸など、非言語的なサインは、言葉以上に多くのことを教えてくれますので、相手の言葉だけでなく、非言語的なサインにも注視してみてください。 そして、話し手が本当は何を伝えたいのかを理解しようとし、それに応じてあなた自身も非言語的サインを使ったり質問をしたりして相手が気持ちを出しやすくしましょう。 3. 聞いている、ということを相手に伝える。 人は、あなたが本当に相手の話を聞いているかどうか、意識的か無意識的か、心のどこかで感じてしまいます。 耳で聞くだけでは、話を聞いていることは伝わりません。 うなずいたり、相手の目を見たり、姿勢を相手側に少し傾けるなど、非言語的なサインで聞いていることを示しましょう。 また、相手が話したことを一度あなたの言葉で言い替えて伝えてみましょう。 例えば、「彼女にフラれて落ち込んでいる」と言われたら、「信頼していた相手(=彼女)と離れる事になる(=フラれる)のはものすごく辛いね(=落ち込んでいる)、彼女に会いたいよね(=落ち込んでいる)。」と言ってあげます。 そうすると、相手は自分の気持ちをわかってくれてるんだと感じます。 もしそれが相手の意図と違っていれば、相手はちゃんとわかってもらいたくて、さらに深い部分の気持ちを話してくれるかもしれません。 そして聞き手は正しく理解することができます。 相手が自分の意見を聞いてもらえたと感じることで、嫌な気分であっても、誰かがわかってくれているんだと大きな安心感を得られます。 そういう風に大切な誰かが少しでも楽になることは嬉しいことで、聞き手側のストレスも軽くしてくれます。 あなたの話を真剣に聞いています、と相手に伝えることはアクティブリスニングの「核」であり、信頼と良好な関係を築く上で大きな役割を果たすものです。 4.オープンクエスチョンを使う。 オープンクエスチョンとは、自由に答えてもらう質問形式のことです。 (ちなみにその逆が、「はい。」「いいえ。」だけで答えてもらうクローズクエスチョンといいます。) 例えば、「どこに行ってたのですか?」「お休みの日は何をして過ごしているのですか?」「どうしてそう思われたのですか?」など相手によって答えが様々あるような質問です。 これらのような質問をすることで、あなたが相手に興味をもっていることを示し、相手はこの人はちゃんと聞いてくれている、と感じることができます。 そしてあなた自身も相手の気持ちや状況をよく理解でき、関係性を深めることにもつながります。 ロジャーズとファーソンによると、アクティブリスニングのスキルを身につけるのは簡単ではないと言っています。 それは、話し手に心から興味を持ち、その立場になって物事を見る必要がある反面、私たちは本来、自分の見たいもの、聞きたいものだけを見たり聞いたりするのに慣れているからです。 しかし、コミュニケーションを円滑にしたい、相手に心を開いてもらいたい、自分の話を聞いてもらいたい、と思うのであれば、そのスキルを身につける価値はあります。 普段の会話の中で、アクティブリスニングを実践してみましょう。Continue reading “コミュニケーション能力を高める方法。パート2。~アクティブリスニングとは?~”

コミュニケーション能力を高める方法。パート1:6つの会話の落とし穴とは?

コミュニケーション、それはたくさんの人たちの悩みの元となる課題だと思います。 うまくコミュニケーションがとれたら、きっともっと楽に生きれるだろうな、人間関係ももっとスムーズにいくだろうな、仕事でのパフォーマンスも良くなるだろうな、など考えたことのある人は多いのではないでしょうか。 ここでは、そのコミュニケーション能力を高める方法をシリーズで書いていきたいと思います。 今日はまず、コミュニケーションにおける落とし穴もしくは私たちが勘違いしているポイントを書いていきたいと思います。 コミュニケーションをとる上での間違った考えは、その妨害になります。 それらを正しく理解することでコミュニケーションの向上につながるので、まずそれらを知ることから始めましょう。 落とし穴1:相手は自分の言いたいことを理解している、と思っている。 私たちの自分の考えや意見は、当たり前ですが自分にとってはとても明確です。 でもそのために、相手に伝わるように言う努力を忘れ、自分本位に説明してしまったり、相手の知らないような言葉を使ったりしてしまいます。 そうなると、相手側は、この人は何を言いたいんだろう、よくわからないな、とあなたの言っていることを理解できず終わってしまいます。 その上、難しい言葉ばっかり使って気取ってるのではないか、などと受け止められることもあるかもしれません。 誰も悪くないのにこの結果は悲しいですよね。 相手にはあなたの考えは見えないし、必ずしもいつもわかってくれるとは限りません。 自分の言いたい事を伝えるには、相手の目線にたってわかってもらおうとする努力が必要です。 そして、相手の表情や受け答えを見て、話し方を変えたり、強調したいところを繰り返したり、時には相手に聞いてみたりして、一方的な伝え方になっていないかを確認しましょう。 落とし穴2:実は人の話はあまり聞いていない。 私たちは周りの環境や自分自身の状態によって、人の話を実はあまり聞いていない、もしくは聞けていない事があります。 テレビや車、他の人の話声など、様々な音に気をそらされたりしています。 もしくは考え事をしていたり、体調があまり良くなく、会話に集中できなかったり、ということもあります。 そういう場合、言うまでもないですが、相手の話をちゃんと理解していないでしょう。 これは自分だけがそうでなく、相手にもあてはまることで、気が散っている相手に話をしても聞いていない可能性が高い、ということを頭に入れておきましょう。 一度言ったのだからわかるだろう、という感覚でいると、相手に伝わっていないとわかった時、イラっとしてしまうので。 落とし穴3:相手が自分の意見に賛同しないと伝えている内容を理解していない、と解釈する。 自分のアイディアや意見に過剰な自信があるためか、全ての人がきっと同意するだろう、と思い込んでしまうことがあります。 その為、相手がそれに同意しないと、内容をわかっていない、と勘違いしています。 しかし、みんながみんな同じ意見を持っているわけではありません。 ただ単に違う意見をもっていたり、賛同できないだけで、内容はちゃんと理解している事が多いので、その場合は相手の意見を聞く姿勢をとることが大切です。 落とし穴4:「ノー。」と言ってはいけない、と思っている。 相手の誘いや何かを頼まれた時、本当は嫌だ、もしくは無理な状況なのに、ついつい「はい、大丈夫です」と答えていませんか? 大前提ですが、私たちには「無理です。」と言う権利があります。 もちろん断る時の言い方は乱暴にしないようにすることは大切ですが、無理をして相手の都合に合わせていたら、相手に対して嫌な気持ちをもってしまったり、自分を責めてしまいます。 また、時間や体力に限りがあるため、相手の要望に応えられないまま、相手に迷惑をかけることになってしまうこともあります。 できないのなら無理強いしないことです。 できないことを断る、ということは自分のためでも相手のためでもあります。 敬意をもって断りましょう。 落とし穴5:コミュニケーション能力は生まれつきの才能である、と思っている。 コミュニケーション能力は生まれつき備わっているもの、と勘違いしがちですが、実際は、経験を重ねて自分で磨いていくものです。 自分は口ベタだから、コミュ障だから、と何も変えようとせずにいれば、うまくなるはずはありません。 うまく話せる人は、会話でどんな言葉を使うか、どんな表情をするか、相手の話をよく聞くようにするなど、コミュニケーションについて研究しているのです。 そして実践し、失敗しながら経験を積んでいます。 自分にはできない、と決めつけず、どうすればコミュニケーションを上達させられるのか調べ、少しずつでもいい、実践してみましょう。 落とし穴6:同じ言い方で全ての人に同じように伝わる、と思っている。 例えば、お医者さんが学会で専門的な言葉を使いますが、患者さんが同じように専門用語で病状の説明をされて、問題なく理解する人は少ないと思います。 また、同世代の友達に話すように自分の親や祖父母と会話をしても、普段生活の中で共有しているもの(例えば聴いている歌やスポーツ、流行りのものなど)や言葉が違ってくるので、すんなり伝わらないかもしれません。 それはまた、親から子供に対しても同じです。 会話をする相手が自分にとってどういう相手なのか、どう言えば一番伝わりそうなのか、ということを考え、その都度変えることが、うまくコミュニケーションをとるために必要なことです。 コミュニケーションにおける色々な落とし穴、それらを頭に入れて、無駄にストレスを感じる事を減らしましょう。

また会いたくなる人の特徴

55:38:7 これらの数字は一体何を示しているのでしょう。 それは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した、人間がコミュニケーションにおいて相手を判断する情報源の比率で、55%が視覚、38%が聴覚、そしてたったの7%が言語、という驚きの論。 しかし確かにそうなんです。 メールなど文章でやりとりをすると、相手の表情や言い方をこちらで勝手に解釈し、バイアスがかかって誤解を招くことも少なくはありません。 文字だけで相手の真意を理解しようとするからです。 人と対面で話すとき、無表情かつ沈んだトーンで「最近調子いいんだよね。」と言われても、あなたは信じられますか。 このように非言語での会話が、私たちが相手に対してもつ印象に大いに影響しているのです。 この世の中には自然と周りが集まってくる人がいます。 その人たちの特徴の一つが、いかに非言語コミュニケーションをうまく使っているか、にあります。 会話をしている間、どんな表情で相手の話を聞いているのか意識し、相手の話にうなずき、視線を合わせる。 自分が話すときには、相手の心地の良い声の高さや聞き取りやすい速さで話す。 相手との話す距離感も大切にし、相手のパーソナルスペースに踏み込まない。 人は話をしていて安心できる人に心を自然に開き、またその人に会いたくなるのです。 もし自分自身、人との会話が苦手だと感じている方は、顔の表情や声のトーン、相手との距離など普段意識していないところを観察し、相手が安心できるような非言語コミュニケーションをプラスすると苦手意識が弱まり、スムーズに会話ができるかもしれません。