メンタルヘルスの問題を抱える人をサポートするには?

あなたの周りに心の問題を抱えている人はいますか? それがあなたの家族や大切な人で、助けになりたいと思っているけど、どう支えていいのかわからずにいませんか。 なんとか力になりたい、という気持ちで寄り添うことができていればその人はそれだけでもきっと力強く思っているはずです。 ただ、それが押しつけがましくなっていたり、相手のパーソナルスペースを考えなかったり、と良いと思ってやっていることが、ありがた迷惑になっていることもあります。 もちろん、こうするべきだという正解はありません。 それぞれの関係性や考え方、その他にも色々な要素がある中での支え方があります。 それらを考慮した上で、今から書くポイントを参考にしてみてください。 ◎あなたの目線で良い悪いを判断しない。 自分ではない誰かの話を聞くとき、自分の価値観や考えを比べて聞くことって自然だと私は思います。 そうすることによって、この人は自分と違った考えで面白いな、逆に変だな、と感じて意見を交換できたりします。 お互いへの理解を深める点でそれは良いことだと思います。 ただ、精神的に参っている時、人はあなたのことを深く知りたいという欲求は持っていません。 あなたの意見を素直に受け止めるほどの心の余裕もありません。 むしろ、あなたがその人の気持ちに対して意見をしてしまうと、自分は情けない奴だと逆に追い詰めてしまう事にもなります。 そこから議論に発展する場合もあり、相手が心を閉ざす原因にもなりかねません。 相手を励まそうと言葉をかけることが効果的な時もありますが、まずは勇気を振り絞って話してくれている相手の話を相手の目線で聞くことに専念することで、相手はホッと安心します。 ◎アクティブリスニングを使う。 相手の目線に立って話を聞くことは大切なことだと書きました。 その姿勢をアクティブリスニングや積極的傾聴といい、相手に安心してもらえるだけでなく、あなたが相手に気持ちを話してほしいときや、相手をより深く理解する上でも効果的な方法のひとつです。 あなたが話を聞いている時、 相手の話の文脈とその話し方にギャップはないか、 相手の気持ちをいったん受け止めて聞いているか、 相手にあなたが真剣に聞いてくれていると伝わっているか、 などを確認してください。 さらに詳しくは「コミュニケーション能力を高める方法。パート2。~アクティブリスニングとは?~」を参考にしてください。 ◎ メンタルヘルスについて理解を深める。 相手が何に苦しんでいるのか、どうしてそのような症状になるのか、わかっているのとわからないのとでは、全然違います。 相手に対してあなたがどうして良いかわからないというストレスレベル、相手が理解されていると感じるレベルが違ってきます。 相手から聞いたことや、あなたが感じる相手の症状から、どういう気持ちになったり、どういう行動をとりやすくなるのか、調べてみると合点がいく瞬間があるはずです。 そしてそこからあなた自身どうすればいいのか、何も知らないときよりは動きやすくなるでしょう。 ただし、専門家に相談や診断を受ける前に、絶対この精神病だ、などと決めつけるのはやめましょう。 ◎ 専門家のサポートの選択肢があることを話す。 精神的に辛い思いをしている人が見ている世界はとても狭くなっています。 ネガティブな考えに囚われて、自分だけ暗闇に取り残されたようです。 そして、最悪の選択を選ぶこともあります。 そんな時にもし少しでもその辛い状況から抜け出せる方法があればそれに挑戦したいと思うかもしれません。 その選択肢として、カウンセラーなどの専門家に相談できることを提案してみてください。 ただし、強要はダメです。 その選択肢があるということを知らせるだけです。 本人には心の準備やそのタイミングがあり、無理やり行っても効果がないことの方が多いからです。 選択肢が他にもあることを知らせるだけでも気持ちが楽になることがあります。 ◎セルフケアを怠らない。 精神的に辛い思いをしている誰かと関わるとき、あなた自身がしんどくなるのは自然です。 精神的に追い詰められているとき、周りからみたらその人は自己中心的なふるまいをしているように感じたりします。 どれだけ相手を元気づけても、気持ちを軽くする方法をあなたなりに伝えても、相手は中々実行できないので、それに付き合うのもあなたのストレスになったり、人の話に耳を傾けない頑固な人だと感じてイライラすることもあります。 さらに、マイナスな感情のパワーはとても強く周りを巻き込んでしまいます。 だから、あなたの時間、あなたのやりたいことは無視しないでください。 必ずセルフケアを忘れずに行ってください。 あなたがリラックスしたり楽しめることをして、ネガティブなパワーに圧倒されないようにケアをしてください。 次回のブログでさらに詳しく「メンタルヘルスに問題を抱える人を支える人たちのセルフケアの方法」を書きたいと思います。 あなたの大切な人が精神的に辛い時、どうにかしたいと思うのは自然で、あなたの優しさでもあります。 相手に寄り添って話を聞く、その辛い気持ちによってどんな影響があるのかを調べる、選択肢を増やす、自分のケアを忘れない、など今あなたにできることを考えてみてください。 その姿勢が相手に伝わるだけでも、相手の気持ちは少しでも軽くなるはずです。

コミュニケーション能力を高める方法。パート4。~非言語コミュニケーション~

55:38:7 これらの数字は一体何を示しているのでしょう。 それは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した、人間がコミュニケーションにおいて相手を判断する情報源の比率で、55%が視覚、38%が聴覚、そしてたったの7%が言語、という驚きの論。 しかし確かにそうなんです。 メールなど文章でやりとりをすると、相手の表情や言い方をこちらで勝手に解釈し、バイアスがかかって誤解を招くことも少なくはありません。 文字だけで相手の真意を理解しようとするからです。 私たちの会話はほとんどが目と耳で得た情報、話す言葉ではない非言語から成り立っているのです。 人と対面で話すとき、無表情かつ沈んだ声のトーンで「最近調子いいんだよね。」と言われても、あなたは信じられますか。 このようにコミュニケーションの中の非言語が、私たちが相手に対してもつ印象、もしくは相手がもつ私たちの印象に大いに影響しているのです。 非言語コミュニケーションを上手く使えるようになることは、コミュニケーション能力を高めるために最も大切なことと言っても過言ではないかもしれません。 非言語コミュニケーションには、アイコンタクト、顔の表情、姿勢、声のトーンや話す速さ、見なり、ジェスチャー、体の動かし方、などがあります。 これらはほとんどが無意識に表現され、相手に伝えられています。 それらを意識的に上手く使うことで相手に良い印象を与えたり、自分の伝えたい事を明確に伝えることができるようになります。 そのために、どのように非言語コミュニケーションを使っていけばいいのでしょうか。 ◎自分の非言語サインを観察する。 まずはあなたがどのような非言語サインを使って人とコミュニケーションをとっているのかを観察してみてください。 そしてそれらがその相手にどのように影響しているのかを考えてみましょう。 もしくは相手にどんな印象をもっているのか聞いてみましょう。 例えば、話をする時に心地の良い声の高さや聞き取りやすい速さで話せているのか、落ち着いて座って話しているのか、それとも周りの様子をちらちら見ながら話しているのか、など。 どのように人と会話をしているのかを知って、相手があなたと会話したくなるような非言語サインを使うように意識してみてください。 ◎真剣に相手の話を聞く。 もしくは相手の話に興味をもつことで、非言語サインも自然と前向きなものになります。 例えば、相手が話をしている時は相手の目を見る(注:じろじろ見ない)、相槌をうつ、体もしっかり相手の方を向いている、など。 そうすると相手は話を聞いてくれているあなたに対して、より心を開いて本音を話してくれます。 それは真剣に相手の話を理解しようとしているあなたにとっても、ありがたいことです。 相手が心を開いてくれれば、あなたも何をどう聞いていいのかと考えずに済み、その後のコミュニケーションはよりスムーズになります。 「積極的に聞く」という意識でコミュニケーションをとってみましょう。 ◎相手の話と非言語サインに矛盾があれば質問する。 自分のしぐさと同様に、コミュニケーションをとっている相手がどのような非言語サイン使っているのかも観察してみましょう。 そして相手の話とそのサインが一致していない場合は、相手に質問してみましょう。 「平気だと言ったけど辛そうだよ、本当に大丈夫?」と本当の気持ちを引き出すきっかけを作ってみたり、「その人に優しくされて嬉しかったんだよね?」と気持ちを確認してみたり。 そうすることで、相手も話を聞いてもらっていると感じられるし、あなた自身も相手の気持ちを知って自分の考えを整理することができます。 非言語サインは無意識に気持ちが表れていることが多く、隠すことは難しいのです。 もちろん、そっとしておきたい場合はそうしてくださいね。 ◎話す言葉と合わせて使う。 私たちの情報収集は非言語コミュニケーションが93%の割合で占めていると書きました。 でももちろん、話す言葉も大切です。 7%でも相手にメッセージを伝えるその力は強いのです。 だから、その言葉と非言語サインをうまく組み合わせて使えば、より正確に相手にあなたの言いたい事を伝えることができます。 例えば、あなたがスーパーで見た魚の値段が想像以上に高くて驚いたとしましょう。 それを近所の人に伝える時、どのように言えばその驚きを伝えられるでしょうか。 「こんなにちっちゃい魚が100g2,000円もするのよ!」 という言葉と共に、その魚がいかに小さいのかを親指と人差し指で示し、「ちっちゃい」の部分で声のボリュームを上げて話し、顔は驚いた表情にすると、表情ひとつ変えずに話すよりもあなたの伝えたいことが伝わるはずです。 ◎研究して練習する。 非言語サインは色々あります。 なので、色々な非言語サインでコミュニケーションを良くする使い方を研究してみましょう。 姿勢を伸ばして足をしっかりと地につけて話せば自信をもっているようにみえる、相手が嬉しい話をしている時は笑顔でうなずくとお互い嬉しい、相手の話すスピードに合わせて話せば心地良い、など。 もちろん、誰と話すか、どの場面で使うか、それぞれの状況によって違うと思います。 あなたにとって、これが使える!と思うものを研究し、実際に人とコミュニケーションをとる時に使ってみてください。 しっくりこなければまた違うものを使って練習して使いこなしましょう。 その中で、きっと特定の非言語サインを使った方が印象がいい、もしくはコミュニケーションが円滑になる、と思っているのに、そう言う風にできない時もあります。 それはあなたの気持ちや考えにその非言語の意思との相違があるからかもしれません。 例えば、あなたの友人が「会社で出世した!」と喜んで報告してきたとします。 あなたは冴えない表情と少し低めのトーンで「おめでとう。良かったね。」と返します。 本当は友人として嬉しいことで喜んであげたいことですが、何年も努力してるのに中々出世できないあなたにとっての複雑な気持ちが、言葉とは裏腹な非言語サインに出てしまったのです。Continue reading “コミュニケーション能力を高める方法。パート4。~非言語コミュニケーション~”

心の知能指数って何?どうすれば高められる?

心の知能指数(英語でエモーショナル・インテリジェンス・クオシェントEmotional Intelligence Quotientといい EQと略される)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 IQ(Intelligent Quotient)と言えば知能指数で、その数値が高ければ高いほど「頭が良い」といわれる一種のバロメーターで、その言葉はよく耳にすると思います。 IQが高いことは良いことですが、それだけでは成功が約束されたり幸福度が高くなるわけではありません。 それはなぜなのか、昔から多くの科学者たちが研究をしてきています。 その中で出てきたのがEQ、心の知能指数です。 EQとは自分自身の感情を把握して処理でき、周りの人たちの気持ちも汲み取り、自分や彼らがどうして特定の行動をとったのかをそれぞれの気持ちから理解できる力です。 EQの提唱者の中でも有名なダニエル・ゴールマンは、EQは怒りや自尊心のなさ、不安などマイナスな感情をプラスのものに切り替え、自信をつけたり人間関係を向上させる役割をしてくれるものだと述べています。 多くの研究でもこれらは証明されていて、EQが高い人たちは: などの傾向があるそうです。 ストレスに強くなり人間関係も向上、自分の人生を明るくするためにこれらは必要なことです。 そしてEQが高い方が低い人よりも自分の目標に達成しやすくなります。 EQを高めることで現状と未来が良くなるなら高めてやりましょう。 EQは生まれ持ったものではなく、やろうとする気持ちがあれば習得できるものなので。 では、どうすれば高められるでしょうか。 ◎自己認識度を上げる。 自分の感情を把握するには、自分はどのような状況でどのような気持ちになるのか、そしてなぜそのような気持ちになるのか、を意識して分かることが必要です。 さらに、その時の自分の機嫌や雰囲気がどのように他の人たちに影響を与えるかを分かっていることも心の知能指数を高めるために大切なことです。 これらはつまり自分を知ること、自己認識度を上げることです。 自己認識度が高いと、状況を客観的にみることができ、ネガティブな気持ちを上手く切り替えれるようになります。 ただ感情を行動に出すのではなく、落ち着いて制御し、自分や周りの人たちができるだけ良い気持ちになるような行動をとろうとします。 逆にポジティブな気持ちに気付けば、それを目標に向かうモチベーションにできます。 もちろんこれは今日明日でできるような簡単なことではありません。 忍耐は必要ですが、日々意識することで必ずできるようになっていきます。 「自己認識はなぜ大切?自分をよく知る方法とは?」で具体的な方法を書いていますので参考にしてください。 ◎思考より感情が先行することを知る。 少し脳の仕組みの話をします。 私たちが受ける外からの刺激・情報は脳に送られ、それらをもとに次どういう行動をすればいいのかを決めます。 外からの情報は脳の入り口である脳幹を隔て、大脳辺縁系という感情を生み出す場所を通って、その先にある、学習したり計画を立てたりといった思考を働かせる大脳新皮質に到達します。 新皮質は脳の進化的に他の部位と比べて新しい部位であること、感情を動かす部位に情報が通るのが先であることから、どうしても考えるより感情が先に出てしまうのです。 だから感情的になってしまうのは自然なことで、気持ちを抑え込もうとするとストレスがかかってしまいます。 この脳の仕組みから見ると、EQは私たちの次の行動を決める大脳辺縁系(感情)と大脳新皮質(思考)のやりとりがいかに上手くできるか、という指標だそうです。 このことを知っているだけでも、感情がこみ上げてきても少し落ち着いてみよう、まず考えてみよう、と一息おけるかもしれません。 ◎感情的な行動と論理的な行動のリストを作る。 ひとつの物事に対して感情に動かされている反応と考えた結果の論理的な反応を一度書き出してみてください。 それらを見比べて、その状況、周りの人たち、あなた自身にとってどの反応や対応が最善なのか想像してみてください。 その判断はとっさにするべきものなのですが、普段そういう考えるクセをもっていないと中々できるものではありません。 だから、その準備をしておくこと、ストレスのかかるような状況や責任のある判断をする場面を想定してどうするのかを事前に考えることが、いざという時にうまく対応できることにつながります。 例えば、バスで隣に座っていた知らない人があなたのお気に入りの服にコーヒーをこぼしてしまいシミをつけてしまったとします。 あなたはまず感情的にどんな反応をしますか?(その人に向かって叫ぶ、相手をにらみつける、など。) 次に、どういった反応が論理的でしょうか?(相手が謝れば、起きてしまったことは仕方がないとあきらめる、クリーニング代だけは払ってもらうように丁寧に話す、など。) 感情的反応と論理的反応を書き出したら、どちらの対処法があなたと相手にとって最善の方法か考えてみて下さい。 ここで覚えておいてほしいのは、感情的になりすぎると解決方法を見つけることは難しいのですが、あまり論理的になりすぎて感情を無視することも後々のストレスになってしまいます。 あなたの感情がどうすればいいのかを教えてくれるときもあります。 感情と論理のバランスをとった上での行動をとることが大切です。 ◎アクティブリスニングを練習する。 人の気持ちを汲むことは意識していないとできません。 そしてそれはその習慣がなければ簡単ではないし、気が張って疲れてしまうこともあります。 だけどそうすることで、相手が何を思っているのかをちゃんと理解しようという姿勢ができ、その結果、信頼できる人間関係を築くことができます。 そして周りに人が集まってきます。 ひとりが好きだから人は集まってこなくていいよ、と思う人もいるかもしれません。 が、それはそれは少し違います。Continue reading “心の知能指数って何?どうすれば高められる?”

コミュニケーション能力を高める方法。パート2。~アクティブリスニングとは?~

アクティブリスニングとは日本語で積極的傾聴といい、カール・ロジャーズとリチャード・ファーソンが提唱した言葉で、「相手が伝えていることを、相手の立場に立ってわかろうとすること」と定義されています。 これは、話し手の経験をその人の視点から理解しようとし、さらにそれを相手に伝えることで、話し手が耳を傾けられ理解されていると感じられるようにするコミュニケーションスタイルです。 少しわかりにくいかもしれませんが、この後に詳しく説明していきます。 ロジャーズとファーソンによると、アクティブリスニングは、自分自身や他人に対する態度を変えることなので、個人の人格を変えるのに最も効果的であるとしています。 また、この特別な方法で話を聞いてもらった人は、感情をコントロールできやすくなり、物事に対して守りに入る姿勢が減り積極的になるそうです。 アクティブリスニングのスキルを身につけることは、相手だけでなく自分自身にもメリットがあります。 人は接した人の振るまいと同じことをする傾向があります。 例えば、誰かがあなたに笑いかけるとあなたもそのように返すことがありませんか? 誰かが怒っていたらあなたもイライラしてきたりしませんか? 同じように、相手の話をちゃんと聞くことで、その人もあなたの話をちゃんと聞こうとしてくれる可能性が高いです。 その結果、お互いが気持ち良くコミュニケーションがとれ、さらに相手への理解が深まってより良い関係を築くことができるのです。 アクティブリスニング、試してみる価値がありそうですね。 では、どのようにアクティブリスニングを実践するのでしょうか。 次のことを頭に入れて会話をしてみてください。 1. 話し手の総合的な意味を聞き取る。 ロジャーズとファーソンによれば、メッセージには、「内容」と「内容の根底にある感情や態度」の2つの要素があるそうです。 たとえば、夫があなたに、”お風呂掃除、終わったよ “と言ったとき、あるいは “めちゃ汚かった風呂の掃除がやっと終わったよ~ “と言ったとき。 あなたは、前者の表現に対して、「まだ違うところの掃除もしてくれそうだな」と感じ、別の部屋の掃除をお願いするかもしれません。 一方、後者の表現では、夫は掃除にとても疲れていて、これ以上家事をしたくないのかなと、次の掃除を頼むのをためらうかもしれません。 このように、話し手がどう表現するか、聞き手がどう受け止めるかによって、内容は同じでもメッセージの意味が違ってくるのです。 いずれにせよ、アクティブリスニングでは、自分が言いたいことをそのまま伝えるのではなく、相手の気持ちを聞き、それを一旦認めてみましょう。 「次は寝室を掃除して。」と言うのではなく、「そんなに大変だったんだね、お疲れ様!」「もうしばらくやりたくないよね。」というように、相手の気持ちを汲んであげましょう。 このように、相手が自分のことを理解してくれていると感じることで、疲れていても、自分がやったことに価値があると感じ、次の仕事に取り組む元気がわいてくるかもしれません。 メッセージには2つの要素があることを理解し、相手が本当に伝えようとしていることは何かを注意しながら聞き、それに対して表現方法を考えることが大切です。 2.         話し手の気持ちに応える。 ロジャーズとファーソンは、メッセージの内容の重要性は時として、その根底にある感情に遠く及ばない、と述べています。 つまり、内容だけでは直接わからない感情部分がコミュニケーションを円滑にする上で一番大切なポイントとなる、ということです。 声の抑揚、姿勢、表情、手の動き、目の動き、呼吸など、非言語的なサインは、言葉以上に多くのことを教えてくれますので、相手の言葉だけでなく、非言語的なサインにも注視してみてください。 そして、話し手が本当は何を伝えたいのかを理解しようとし、それに応じてあなた自身も非言語的サインを使ったり質問をしたりして相手が気持ちを出しやすくしましょう。 3. 聞いている、ということを相手に伝える。 人は、あなたが本当に相手の話を聞いているかどうか、意識的か無意識的か、心のどこかで感じてしまいます。 耳で聞くだけでは、話を聞いていることは伝わりません。 うなずいたり、相手の目を見たり、姿勢を相手側に少し傾けるなど、非言語的なサインで聞いていることを示しましょう。 また、相手が話したことを一度あなたの言葉で言い替えて伝えてみましょう。 例えば、「彼女にフラれて落ち込んでいる」と言われたら、「信頼していた相手(=彼女)と離れる事になる(=フラれる)のはものすごく辛いね(=落ち込んでいる)、彼女に会いたいよね(=落ち込んでいる)。」と言ってあげます。 そうすると、相手は自分の気持ちをわかってくれてるんだと感じます。 もしそれが相手の意図と違っていれば、相手はちゃんとわかってもらいたくて、さらに深い部分の気持ちを話してくれるかもしれません。 そして聞き手は正しく理解することができます。 相手が自分の意見を聞いてもらえたと感じることで、嫌な気分であっても、誰かがわかってくれているんだと大きな安心感を得られます。 そういう風に大切な誰かが少しでも楽になることは嬉しいことで、聞き手側のストレスも軽くしてくれます。 あなたの話を真剣に聞いています、と相手に伝えることはアクティブリスニングの「核」であり、信頼と良好な関係を築く上で大きな役割を果たすものです。 4.オープンクエスチョンを使う。 オープンクエスチョンとは、自由に答えてもらう質問形式のことです。 (ちなみにその逆が、「はい。」「いいえ。」だけで答えてもらうクローズクエスチョンといいます。) 例えば、「どこに行ってたのですか?」「お休みの日は何をして過ごしているのですか?」「どうしてそう思われたのですか?」など相手によって答えが様々あるような質問です。 これらのような質問をすることで、あなたが相手に興味をもっていることを示し、相手はこの人はちゃんと聞いてくれている、と感じることができます。 そしてあなた自身も相手の気持ちや状況をよく理解でき、関係性を深めることにもつながります。 ロジャーズとファーソンによると、アクティブリスニングのスキルを身につけるのは簡単ではないと言っています。 それは、話し手に心から興味を持ち、その立場になって物事を見る必要がある反面、私たちは本来、自分の見たいもの、聞きたいものだけを見たり聞いたりするのに慣れているからです。 しかし、コミュニケーションを円滑にしたい、相手に心を開いてもらいたい、自分の話を聞いてもらいたい、と思うのであれば、そのスキルを身につける価値はあります。 普段の会話の中で、アクティブリスニングを実践してみましょう。Continue reading “コミュニケーション能力を高める方法。パート2。~アクティブリスニングとは?~”