SNSはメンタルヘルスに良いのか悪いのか?

Facebook、Instagram、TikTok、Twitter この中で知っている言葉ひとつでもありましたか? 知ってて当たり前、と思われる方がほとんどだと思います。 そうです、これらは多くの人が利用している、もしくはしたことのある人気のソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSの名前ですよね。 SNSは誰かとコミュニケーションをとるツールとして今では世界中の人口の約半分の人たちが利用しています。 それはそれは便利で役に立つツールです。 世界中の人たちと一瞬で繋がれるし、遠く離れた家族や友人の様子がわかり、世の中で何が起きているのかすぐに把握でき、社会問題や自分が大切だと思うことを主張することができます。 誰かと繋がっていると感じられるし、辛い時は誰かのコメントで元気が出たりする。 企業なら自分たちの商品を低コストで大きく広める事も出来ます。 この時代、SNSは私たちの生活から切り離すことはできないと思います。 ただ、便利で楽しい面がある一方で、やはりマイナスな面もあります。 最近では私たちの精神的な健康に対する問題もよく言われています。 SNSを利用することと不安症とうつ病の症状は関連性がある、と多くの研究で報告されています。 海外に旅行で楽しんでいる写真、友人たちの仲良さそうな写真、恋人と幸せそうに寄り添っている写真など、あなたがいいな、と思うイメージを見ると、自分への物足りなささを実感してしまいます。 それらの写真が全て現実ではない、良いところだけを見せようとしているだけだとわかっていてもやはり「私はダメだな、みんなみたいに輝いてないな」などと自分に足りていないものに目をやってしまったりします。 その結果、落ち込んで自信をなくしたり、将来への不安をつのらせてもおかしくありません。 ネット上のいじめや誹謗中傷などもニュースでよく耳にするのではないでしょうか。 また、特に10代の若者に多いと言われていますが、SNSを常にチェックしていないと落ち着かない、とSNSに依存してしまうこともあります。 英語でFOMO(Fear Of Missing Out)、「取り残されることへの恐怖」ともいいますが、 友人たちがどんなことをしているのか、流行に乗り遅れていないだろうかという不安から常に人の投稿が気になってしまうのが、そのひとつの理由です。 もうひとつの理由として、自分の投稿したものに対して、「いいね」やリツイートなどの良い反応をみると、私たちの脳は幸せホルモンのドーパミンを分泌します。 そして、またその幸福感を得たくて、頻繁に投稿しようとそのことばかり考えてしまう。 その結果、やらなければいけないことを怠ったり、睡眠時間を削って物事に集中できなかったり、と毎日の生活に支障が出てきます。 SNSを利用することでいち早く役立つ情報を得ることができ私たちの人間関係も大きく広がります。 ただ、利用する際、どのようなマイナスな面があるのかを理解しておくことは、精神的に辛くならない為に大切なことです。 その上で、どのようなことに気をつければいいのかを具体的にみていきましょう。 ◎実際に人と会う時間をつくる・増やす。 SNSをして過ごしている時間の方が誰かと実際に会っている時間より多くなっていませんか? コロナの影響で今までは中々人と会い辛い期間が続いていましたが、感染症法上での位置づけが変わり、今後はまた以前のように気にせず人と会えます。 私たちは人と実際に会うことでオンライン上で交流するよりもはるかに多くの情報を得ることができます。 その情報は例えば非言語コミュニケーションで、相手の姿勢や手のしぐさ、細かい表情などから相手の言いたいことをより正確に感じ取ることができます。 その結果、コミュニケーションもスムーズになり、お互いの信頼関係も深まりやすくなります。 さらに、握手やハグなどのスキンシップは人間同士の絆を深める愛情ホルモンのオキシトシンの分泌を促します。 オキシトシンは不安な気持ちやストレスを軽減させてくれるホルモンでもあります。 実際に大切な人と会うことで、その関係性を深めるために、そして絆の強い関係を持っているありがたさとそれによる幸せな気持ちを感じるために、実際に人と会う時間を意識してみませんか。 ◎人と比べない。 誰かの「輝いている」投稿を見て、自分には足りないところを顕著に感じてしまう。 そして、自分はダメだと深みにハマっていってしまう。 人と比べる行為は自然なことですが、自分を蔑んでしまうのならその無意味な行為を止めましょう。 私たちはみんな違います。 比べることはできません。 だから無意味なんです。 物足りなさを感じるのならその正体は何なのか探ってみてください。 友達と楽しそうにしている投稿を見てため息が出るのなら、深い人間関係を欲しているのかもしれません。 ゴージャスな食事をしている写真を見て嫉妬心を感じるのなら、今の経済状況に不満があるのでしょう。 誰かの投稿と自分を比べて落ち込み続けるのではなく、その物足りなさを埋めるためにどうすれば良いのか考える方がいいと私は思います。 そうすることで、実際に行動し今の物足りない自分から抜け出すことができるのではないでしょうか。 ◎睡眠の質に気をつける。 睡眠の質は体の健康にはもちろん、心の健康にも深く関係しています。 寝る前にスマホを見てたらもうこんな時間、ということはよくあると思います。 SNSはその人の嗜好や興味のありそうなものを過去の履歴と紐づけて表示するので、エンドレスに見てしまい、止めることが難しい人も多いと思います。 でも寝る時間はちゃんと確保しましょう。Continue reading “SNSはメンタルヘルスに良いのか悪いのか?”

嫉妬心に打ち勝つ方法。~他人の成功編~

人は自分より優れた人をみたとき、その人を羨むことがあります。 「羨ましい」という気持ちは「自分もああいう風に成功できたらなぁ」「私もマイホームが欲しいな」という自分に足りていない要素やいつか手にしたいものを誰かが持っていることで生まれます。 それは私たち人間にとってごく自然なことで、それらを得ようとするモチベーションに転換できるので決して悪い気持ちではありません。 しかし、同じように努力しているのに中々それらを手にすることができなかったり、簡単そうに成功したり欲しいものを手にしている姿をみたりすると、「羨ましい」という気持ちはだんだんと「妬み」に変わってくることもあります。 また、過去の経験や家庭環境などから、自分に自信がない人や自己肯定感の低い人などは、「輝いている」誰かを見たら、あの人は傷ついた経験や苦労をしたことがないからああいう風に成功できるんだ、ずるい、などと思ったりもします。 嫉妬心とは、羨ましい気持ちとは違い、自分の存在が脅かされそうな恐怖や不安な気持ちからくるもので、怒りや不満などのマイナスな感情を抱いたり、それにつながる行動をとってしまいます。 その結果、自分やその対象となる相手にネガティブな影響を与えてしまいす。 日本の独立行政法人、放射線医学総合研究所の研究では、「他人の不幸は蜜の味」を脳の働きから証明しています。 妬むという感情が起きると脳内にある前部帯状回という部位が反応します。 そして、その活動が強い(=嫉妬心が強い)ほど他人の不幸に対して、快感につながるドーパミンの分泌に関連する線条体が強く反応するそうです。 つまり、嫉妬心が強いほど、嫉妬している相手に不幸なことが起きると気持ち良くなるように脳が機能しているということです。 誰かに嫉妬するということは、あなたを人の不幸を喜ぶ人間にしてしまうのです。 すごいなと思う人が失敗する姿はホッと安心感が得られますが、それを心から喜んでしまうのは少し歪んだ感情ではないでしょうか。 さらに、誰かの不幸はそれまであったその人に対する劣等感を軽減させてくれ気持ち良くしてくれる、ともその研究では言っています。 その気持ち良さを味わうために、その人が不幸になるような行動をとってしまう場合もあり、それが犯罪につながることもあります。 そして、嫉妬心をもつことは常にマイナスな感情をもっていることにもなり、その結果、うつ病や不安症など精神的な病気にも発展することもあります。 嫉妬心がでてしまうのは仕方がないときもあります。 でもその気持ちに気付いたらそれ以上強くならないように対策をとることが大切です。 では、どのような対策があるのかみていきましょう。 ◎嫉妬心があることを認める。 特定の誰かを見たらいつも嫌悪感を覚える、イライラする、などの不快な気持ちがでてきているなら、その原因が何か考えてみましょう。 それはただ嫌いな相手だからかもしれませんが、もしかするとあなたの持っていないものをその人が持っていて羨んでいるのかもしれません。 同じように行動したいけどできない自分にもどかしさを感じて、それをできている相手に自分に対する失望感をぶつけているのかもしれません。 誰かに嫉妬していると認めることは、プライドの高い人は特に、恥ずかしいことをしているようで中々難しいことです。 だけど、自分は本当はどう思っているのかを知り、素直にそれを受け止めることが心が楽になるための大切なステップです。 まずは嫉妬しているのかどうなのかを考え、そうであれば「私はあの人に嫉妬しているけどこんな風に思っても仕方がない。でもこれ以上妬まないようになんとかしよう。」と認めて深みに入っていかないようにしましょう。 ◎人と比べない。 このポイントは何度も過去に書いてきています。 嫉妬心は誰かの存在がいないと成り立たず、その人と自分を比べることで出てくる感情です。 まず、誰一人として全く同じ人生をたどっている人はいません。 性格も生まれ持ったものもあり、一つの物事に対する解釈やそれによって起こる気持ちはみんな違います。 どれだけ成功しているように見えても、幸せそうな家族がいたとしても、それはその人にしかわからない悩みやストレスもあります。 あなたがもし同じようなものに執着して求めてそれらを得たとしても、いつもその誰かと比べていたら自分を見失い、何のためにそれらを手にしてこれからどうするのかがわからなくなってしまう可能性もあります。 あなたはどんな人間になりたいのか、何を手にしたいのか、そしてそれはどうしてなのかを考えてみてください。 そして、今の状況であなたがもっているものやありがたいと思えることを探してみてください。 それらに焦点を当てることで人と比べても意味がないことに気付けるかもしれません。 ◎どうして嫉妬しているのか考える。 あなたが嫉妬している相手はあなたが欲しいものをもっています。 それは何でしょうか。 そして、どうしてそれが欲しいのでしょうか。 また、あなたとどういう関係にある人に嫉妬しているのでしょうか。 どうしてその相手に嫉妬心が芽生えてしまうのでしょうか。 お金のない環境で苦労して育ち今も苦しい状況なのでお金持ちを見ると妬んでしまう、自分より先に出世していく後輩をみて自分の存在意義に脅威を感じて出世していく人たちに嫉妬してしまう、などあなたが嫉妬する理由を考えてみてください。 原因がわかったら、そこからくるマイナスな考えを否定してください。 例えば、「あいつはきっと人をだましてお金を稼いでるに違いない。あんなにお金を持っているのに誰にもお金を貸してやらないケチな奴だ。」と嫉妬心から相手に怒りの感情がそういった思いになったとしましょう。 そこで、「私は貧乏だからお金持ちを妬んでしまう、でも彼らもきっとどこかで苦労して今いるところまで来たんだろう。だから人にお金を貸すのを拒んでしまうのかもしれない。私もお金持ちになるためにどうすればいいか考えてそれを実行しよう。きっと私にもできるはずだ。」 というように、なぜ妬んでしまうのかその理由を受け止め、ただ一つの目線で決めつけるのではなく違う方向から相手の立場を理解しようとしてみると、マイナスの考えを否定することができます。 そして欲しいものを手に入れるにはどうすればいいのかを考え始めるきっかけにもなります。 相手への怒りや自分の不甲斐なさに対する悲しみなどを常に感じている状態は精神的にとても辛いものです。 そしてそれらのマイナスの感情はあなたをその場にとどまらせてしまいます。 結果、あなたは自分の欲しいものを得られず、誰かのことを一生妬んで生きていかなければならにことになります。 嫉妬心に気付きそれを「羨ましい」気持ちに戻して、あなたが得たいものをつかむための原動力にしてください。

失敗への恐怖を乗り越える方法。

「失敗は成功の反対ではない。失敗は成功の一部だ。」 作家のアリアナ・ハフィントンの言葉です。 彼女の言う通り、失敗すること、または思い通りにいかないことは、何かを成し遂げるためには避けられないものだと思います。 でも失敗は恐いものです。 そう感じるのはとーっても普通なことです。 でもどうして私たちは失敗が恐いのでしょうか。 それは、失敗をダメなものとして捉え、失敗することで自分が嫌な思いをすると想定するからです。 ではどうして嫌な気持ちになると思うのでしょうか。 自分の能力がここまでかと思い知らされるから? 失敗したら、自分の目標を中々達成できないことでイライラしてしまうから? 人それぞれ色々あると思いますが、大きな理由のひとつは失敗したら恥ずかしい思いをすると考えるからではないでしょうか。 私たち人間は社会的な動物で、他の人たちと仲間になり共存したいという本能をもっています。 そのため、他人に自分はどう思われているか、自然と気になってしまうのです。 だから、失敗がネガティブなものだと思っている人にとって、失敗は周りにバカにされてしまうもの=そう思われたくない=恥ずかしいもの、になってしまうのだと思います。 「こんなこともできないのか、この人はそんなに優秀じゃないんだな。」と思われているのではと考えると、穴を掘って入りたくなります。 失敗するのがダメなことだと思うのは、過去の経験や、不安症、完璧主義、受けてきた教育方針や文化などが影響しています。 過去に失敗をしてしまい、周りの大人にこっぴどく叱られたり理不尽に責められた経験などがあれば、失敗することは悪いことなんだと信じ、もう一生失敗なんてしたくないと思ってもおかしくないでしょう。 何事にも不安な気持ちを強く持ってしまう人たちは、こうなったらどうしよう、最悪の出来事が起こるかもしれない、というような思いから失敗を恐れます。 完璧主義の人は何かをする時その結果の基準を高くもち、絶対に上手くできなければいけないという考えが強く、失敗することは許せないので、やはり失敗を恐がります。 小さい頃からの教育や文化もまた失敗に対して壁をつくります。 成功することが全てで失敗は受け入れられないような極端な教えや文化の中で育ってしまうと、失敗は悪いことだと思い込んでしまうのは自然なことです。 失敗への恐れをもってしまう事情は色々ありますが、そのせいであなたの日々の生活、大きく言えばあなたの人生にマイナスの影響を与えてしまうことも少なくありません。 挑戦することを避けたり、うまくいきそうにない状況では異常に強いストレスを感じたり、自分にはできないとやらなければいけない事を後回しにしたり。 そして失敗を恐れる自分に嫌気がさす人も少なくないはずです。 もし自分にもっと自信があれば。 もし失敗を恐れることがなければ。 失敗への恐怖心を弱めるためにできることは何でしょうか? ◎失敗は悪いものではないと知る。 冒頭にも書いたように、失敗は成功の一部です。 前に進んでいれば道でつまづいたり、大きな障害にもぶつかることもあります。 でもそれは自然にあるもので全てを避けて通ることはできません。 それらがあることで私たちは嫌な思いをしたり面倒なことをしなければいけないかもしれません。 でもそれらがあることで私たちは考え、新しい知識や手段を取り入れることができ、次その問題が起きた時はスムーズに解決できるように成長しています。 そう繰り返していくうちに、だんだんと思い描いて理想の自分に近づくいていくことができるのです。 失敗とはあなたを成長させてくれるもので決して悪いものではありません。 ただただ自然に起こることで誰のせいでもありません。 そしてそれはあなたが目標に向かって進めている証拠でもあります。 失敗は受け止めれば次に進む糧にすることができることを覚えておいてください。 ◎失敗を恐れる原因が何かを探る。 どうしてあなたは失敗を恐れているのでしょうか。 失敗への恐怖心は生まれつきあるものではありません。 私たちの人生の中で学習して得られたものなのです。 なので、その原因は必ずあります。 例えば、今何をするにも絶対にうまくいくと確信できる事しかしないのは、失敗は認められない環境で育ったせいだとしましょう。 それがわかれば、失敗してもいいんだ、失敗は成功するためには必要なことなんだという理解を持ったあなたなら、過去のその固定観念を否定することができます。 また、あなたが完璧主義者で、何かをするときに、非現実的な難しい理想的な結果を求める傾向があるとしましょう。 全て上手く完璧にこなそうという気持ちはモチベーションを上げるためには良いことかもしれません。 でもその一方で、やはりそれは自分の実力や状況では上手くいかず、失敗するのではないかという恐れに変わっていき、先に進むのを躊躇する事になります。 自分がそういう傾向にある性格でそれが失敗を恐れる原因だとわかったら、結果に対する基準を少し下げてみるのもひとつの解決策です。 あなたが極度に失敗を恐れて思うように動けずにいるのなら、一度その原因を探ってみましょう。 ◎ネガティブなイメージを変える。 不安になるのは失敗するのではという気持ちが強いからではないでしょうか。 何かをしようとする時に残念な結果ばかりを想像してしまったら、そりゃやる気も萎えます。 でも、失敗もするかもしせんが、成功もするかもしれません。 それなら少しぐらい多めに成功している姿を想像してみましょう。Continue reading “失敗への恐怖を乗り越える方法。”

笑うと良いことあるの?

笑うこと、それは世界中の人たちがみんな共通してもっている能力で理解できる表現です。 「笑う門には福来る」ということわざもありますが、科学的にも笑うことは私たちの体と心の健康を向上してくれる、と数多くの研究で報告されています。 私たちは産まれて2~3か月頃を過ぎたくらいから笑い始めます。 なぜ私たちは笑うのでしょうか。 昔から色々な説がありますが、ギリシャの哲学者プラトンとトマス・ホッブズによると、対象になる人たちや状況が、個人に優越感を与えてくれる場合に笑うそうです。 例えば、自分より優れていると感じている誰かが何かに失敗したとき、ふと自分が優位にたった感覚ができ笑ってしまいます。 イギリスのコメディ番組のMR. BeansでBeansが色々と挑戦して失敗して、なんとかその場を乗り切ろうとしているシーンは、「バカだな~www」と言って笑いませんか? 人の失敗を笑うことはあまり褒められたことではないですが、この人はすごい!と思っている人でも自分と同じような失敗している姿をみたりすると、安心感でふと笑いが出てくるのです。 同じく哲学者のイマヌエル・カントは、人は緊張している状態が突然無の状態に戻ること、緊張感から思いもよらず解放されることによって起こる情動だと説いています。 つまり、こうなるだろうなと予想していたこととは違うことが起きることで人は笑うのです。 例えば、大きな会社の社長さんに初めて会う時、きっと厳格ですごいオーラがあるのだろうな、と緊張しているとしましょう。 ところがそこに現れたのは、Tシャツにジーパンを着たとてもしゃべりやすいふつう~のおじさんだったらどうでしょう? まさかの状況に思わず笑ってしまうかもしれません。 (もちろん全てが笑えるエピソードになるとは限りませんが。) いずれの説でも、笑うことで張りつめていた緊張感が緩められ、気持ちが軽くなります。 ただし、人のことを馬鹿にするようなジョークや自虐的な話はかえってストレスを与え、周りの人たちに良くない印象も与えがちだと報告されているので注意してください。 笑うことでのメリットはいくつかあります。 ◎ストレス軽減。 冗談や笑い話にすることは、物事を違う方向から見ることです。 嫌なことがあっても考え方を変えることで、実はそんなに悪いことではないのではと思えたりします。 笑うことによって起きる脳の働きからもストレスを軽減することがわかっています。 笑うとエンドルフィンという幸せホルモンの分泌が促されます。 エンドルフィンはモルヒネの約6.5倍の鎮痛効果があるとされることから「脳内麻薬」と呼ばれ、体の痛みやストレスを和らげてくれるのです。 さらに、私たちは二つの感情を同時には持てません。 笑っている時に悲しんだり怒ったりできないので、ネガティブな感情を持つ時間を減らし、リラックスする時間を増やすことでストレスを軽減することができます。 ◎人との距離が近くなる。 面白い人は「モテ」ますよね。 笑うことで私たちは安心し、親近感がわきます。 だから、あの人にまた会いたい、あの人と一緒にいたいと思うし、その相手に自然と心も開きます。 笑いは赤ちゃんの時は喜びを表して親との絆を深めるもので、大人になったら感謝の気持ちを伝えるサインだと、グリネル大学の心理学教授のジャネット・ギブソンは述べています。 笑うことには、お互いの存在を受け入れて気持ちを和らげ、お互いの心の距離を縮めてくれる効果があるということだと、私は解釈しています。 かといって、芸人級の面白いことを言う必要はないですよ。 お互いがこう言ったら相手は楽しいかな、面白いかな、って考えながら話すことが結果的に楽しくて笑える雰囲気にしてくれるのだと私は考えます。 ◎忍耐力が高まる。 オーストラリア国立大学のデイビッド・チェンとルー・ワンの研究で、おもしろ動画を観たグループの人たちは面白い要素もネガティブな要素もないニュートラルな動画を観たグループの人たちよりも、約2倍長い時間、骨の折れる課題*に取り組むことができたそうです。 この結果から、笑うことは、精神的にリラックスしてストレスを軽減するだけでなく、心にエネルギーを補充してくれ、その結果、大変な課題でも辛抱強く取り組めるものではないかと説明しています。 (*骨の折れる課題・・・10人の会社員のプロフィールを基にそれぞれの潜在能力を分析して順番に並べ、正解した人が勝ち、というものだが、プログラミング上正解することは不可能につくられている、いわゆる無理ゲー。) つまり、笑うことで、多少辛いことでも踏ん張る力をつけることができる、ということです。 意識して笑う機会をつくることは、ストレスにも強くなり、目標があればその達成まで耐え抜く力を養ってくれるといっても過言ではないのかもしれません。 ◎記憶力アップ。 面白い情報はそうでない情報より、記憶に強く残りやすいと言われています。 ニューロフィールドのアイラ・ゲルラッハはその理由をいくつか説明しています。 まず、ユーモア(冗談)を言われて理解することは、普通の会話よりも脳の働きをより多く必要とするからだそうです。 確かに、面白いと感じる話にはひねりがあり、「そういうことかwww」と理解してから笑いが出ます。 さらに、笑うことは感情をつくる部分とつながっていて、笑うことでそこも刺激されます。 つまり脳の色々なところでつながりができ、いつもより活発になることで記憶も残りやすくなるのです。 次に、私たちは普通だと思うものより面白いと思うものに興味をもつようになっています。 例えば、四足歩行で歩いている何の変哲もない犬、後ろ足だけでずっと歩いている犬、どちらの方に目を向けますか? 後ろ足だけで歩ける犬の方が面白そうじゃないですか? 四足歩行の犬の方が普通で良いのでそちらを見る、とか、好きな犬種による、とか色々と個人の意見はあると思いますが、どちらにせよ、あなたがより面白いと考える方を見ているのだと思います。 ここで言いたいのは、面白いことにより興味を持ち、そうすることで集中力が上がり、その結果、記憶にも残りやすくなるということです。 では、あなたの日々に笑いを増やすにはどうすればいいでしょうか? 誰かと過ごす時間を増やしてください。 ケネス・フィッシャーとロバート・プロヴィンの研究によると、ひとりでいるよりも誰かと一緒にいることの方が、30倍の確率で笑う傾向があるそうです。Continue reading “笑うと良いことあるの?”

子育てバーンアウトとは?~5つの対処法~

どれだけ眠くても、体調がすこぶる悪くても、仕事でめちゃくちゃ忙しくても、「もうやーめた!」とできないのが子育て。 特に産まれて間もない赤ちゃん、ひとりでは何もできない状態の頃の子どもは放っておけば死んでしまいます。 成長しても大きなけがをしたり、学校で問題を起こしたり、反抗期があったり、と親たちの悩みや心配のタネは消えません。 子どもが産まれてからは、ほとんどがその子どものことを中心に考えて行動することがやはり多くなります。 自分たちのことが思うようにできないのは当たり前な世界に突入します。 それでもやはり我が子はかわいいので、その成長を見ると心が癒されストレスも軽減されます。 ところが、子育てをしていてかわいいなー幸せだなーという報われる気持ちになるような経験やポジティブな感情より、子育てによる心の負担の方が大きくなってしまった場合、子育てバーンアウトに発展する可能性があります。 ベルギーの研究者のイザベル・ロスカムとモイラ・ミコライザックは、子育てバーンアウトとは、心身的に疲労困憊している、子どもとの心の距離を感じる(愛情を注げない)、自分は親としての役割を果たせていないと感じることだと定義しています。 心身的に疲れがたまってしまうと、物事をいつも通りに考えることはできません。 そして、些細なことでもイライラします。 (月経前症候群(PMS)がある女性はさらにどうしようもなくイライラします。) しかもそのイライラをどこにもぶつけられず、どうして私はこんなんなんだと悲しくもなります。 子どもに対してもかわいいと感じる気持ちが薄れ、さらに悲しくなり、親としての自分を疑い、自分自身を強く責めてしまいます。 その結果、不安症やうつ病などに発展することも珍しくありません。 とても辛い状況です。 バーンアウトに発展してしまう傾向としては、完璧主義、周りからのサポート不足、夫もしくは妻(パートナー)からのサポート不足、人に助けを求めるのが苦手、共働き、経済的な不安などがあります。 他にもそれぞれ個人の悩みもあると思います。 それらのストレスが大変な子育てにさらに負担をかけてしまい、日々の課題を自分でコントロールできているという感覚をなくして、気持ちが追い付けなくなってしまうのです。 こんなに大変なことをこなしているのに、すごく頑張っているのに、どうしてこんな気持ちにならないといけないんだ!! と叫びたくなります。 人を育てること、当たり前にしてるように見えますが、軽い気持ちではもちろんできません。 ものすごいことなのです。 でもその分、子育てから得られるもの、心を満たしてくれるものがあるから頑張れます。 そのバランスが崩されないようにその対処法をもつ、また、崩れているなら今からとり直しましょう。 ◎ネガティブな気持ちになるのは自然なことだと知る。 子育てでイライラしたり怒ったり悲しくなったりするのは当たり前のことです。 だって今まで生きてきた環境が一瞬で変わり、やりたいことができず、どんな小さなことも最後まで終わらせれない事がたくさんあるのです。 そんなことが長い間続けば、そりゃ叫びたくもなるし泣きたくもなります。 ネガティブな感情が沸いてきたからといって、それが少し行動に出たからといって、あまり気にし過ぎることはありません。 それが人間です。 だから、こんな気持ちになるなんて親失格だ、とか思わないでください。 その感情も子育ての一部です。 ただし、もしそれらが子どもへの暴力になってしまう恐れがある、もしくは暴力をふるってしまったり、世話を放棄する(ネグレクト)ようになってしまったら、絶対にそのままにせず周りの誰か、もしくは専門家に相談してください。 それは頑張っているあなたが追い詰められているサインです。 あなたもあなたの子どももその状況から逃げ出してください。 ◎完璧主義をやめる。 親は子どもに嫌な思いをさせてはいけない、自分の子どもはこうあるべきだ、など自分の中で完璧で理想的なプランを立て子育てに挑む人も少なくないと思います。 人は完璧にはなり得ません。 そして物事は思い通りには進みません。 仮に世界の全人口の理想が思い通りに進んだとしたら、混乱し無秩序な世界になってしまい共存は不可能でしょう。 できるだけこうしたい、こうしてあげたい、という理想を持つことは大切ですが、全てはそうならないことを踏まえて柔軟に対応する姿勢をもつことはもっと大切です。 そうでないと、「完璧な親」「完璧な子ども」になれなかった時、自分や子どもを責め立ててしまうことになります。 つい大声を出して注意してしまったけど毎回そうではないしちゃんと話をすれば大丈夫、人前で泣き止ますことができなかったけど今日の機嫌の悪さはどうしようもできなかったので仕方がなかった、など思い通りにいかなかった時でもこういう事もある、こんなもんだ、というように理想と現実の間に余裕をつくっておきましょう。 完璧よりも柔軟な気持ちの対応が親も子どもも疲れずに済みます。 ◎セルフケア 子育ては褒められません。 どれだけ頑張っているのかのフィードバックももらえることも、日々の中ではほとんどないと思います。 もちろん子どもたちから「ママ、パパ、いつもありがとう。」なんて言われるとそれはもう最高のリワードですが。 でもそれもよくあることではありません。 だから、自分に対して自分がケアすることはとても大切です。 たまには、いや時々、んー毎日でも自分にご褒美をあげてください。 好きなケーキを食べる、親に子どもを預けて買い物に行く、家事をいったん放棄、友人と電話する、旅行に行く、などあなたの心が癒されることを探してやってみてください。 自分の心のケアは子どもの心のケアにもつながります。 親が余裕なくギスギスしていると子どももそれを感じ、ギスギス、イライラしてしまいます。 いつも、は難しいかもしれませんが「まずは子ども」から「まずは自分」に切り替えることも時には必要です。Continue reading “子育てバーンアウトとは?~5つの対処法~”

コミュニケーション能力を高める方法。パート4。~非言語コミュニケーション~

55:38:7 これらの数字は一体何を示しているのでしょう。 それは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した、人間がコミュニケーションにおいて相手を判断する情報源の比率で、55%が視覚、38%が聴覚、そしてたったの7%が言語、という驚きの論。 しかし確かにそうなんです。 メールなど文章でやりとりをすると、相手の表情や言い方をこちらで勝手に解釈し、バイアスがかかって誤解を招くことも少なくはありません。 文字だけで相手の真意を理解しようとするからです。 私たちの会話はほとんどが目と耳で得た情報、話す言葉ではない非言語から成り立っているのです。 人と対面で話すとき、無表情かつ沈んだ声のトーンで「最近調子いいんだよね。」と言われても、あなたは信じられますか。 このようにコミュニケーションの中の非言語が、私たちが相手に対してもつ印象、もしくは相手がもつ私たちの印象に大いに影響しているのです。 非言語コミュニケーションを上手く使えるようになることは、コミュニケーション能力を高めるために最も大切なことと言っても過言ではないかもしれません。 非言語コミュニケーションには、アイコンタクト、顔の表情、姿勢、声のトーンや話す速さ、見なり、ジェスチャー、体の動かし方、などがあります。 これらはほとんどが無意識に表現され、相手に伝えられています。 それらを意識的に上手く使うことで相手に良い印象を与えたり、自分の伝えたい事を明確に伝えることができるようになります。 そのために、どのように非言語コミュニケーションを使っていけばいいのでしょうか。 ◎自分の非言語サインを観察する。 まずはあなたがどのような非言語サインを使って人とコミュニケーションをとっているのかを観察してみてください。 そしてそれらがその相手にどのように影響しているのかを考えてみましょう。 もしくは相手にどんな印象をもっているのか聞いてみましょう。 例えば、話をする時に心地の良い声の高さや聞き取りやすい速さで話せているのか、落ち着いて座って話しているのか、それとも周りの様子をちらちら見ながら話しているのか、など。 どのように人と会話をしているのかを知って、相手があなたと会話したくなるような非言語サインを使うように意識してみてください。 ◎真剣に相手の話を聞く。 もしくは相手の話に興味をもつことで、非言語サインも自然と前向きなものになります。 例えば、相手が話をしている時は相手の目を見る(注:じろじろ見ない)、相槌をうつ、体もしっかり相手の方を向いている、など。 そうすると相手は話を聞いてくれているあなたに対して、より心を開いて本音を話してくれます。 それは真剣に相手の話を理解しようとしているあなたにとっても、ありがたいことです。 相手が心を開いてくれれば、あなたも何をどう聞いていいのかと考えずに済み、その後のコミュニケーションはよりスムーズになります。 「積極的に聞く」という意識でコミュニケーションをとってみましょう。 ◎相手の話と非言語サインに矛盾があれば質問する。 自分のしぐさと同様に、コミュニケーションをとっている相手がどのような非言語サイン使っているのかも観察してみましょう。 そして相手の話とそのサインが一致していない場合は、相手に質問してみましょう。 「平気だと言ったけど辛そうだよ、本当に大丈夫?」と本当の気持ちを引き出すきっかけを作ってみたり、「その人に優しくされて嬉しかったんだよね?」と気持ちを確認してみたり。 そうすることで、相手も話を聞いてもらっていると感じられるし、あなた自身も相手の気持ちを知って自分の考えを整理することができます。 非言語サインは無意識に気持ちが表れていることが多く、隠すことは難しいのです。 もちろん、そっとしておきたい場合はそうしてくださいね。 ◎話す言葉と合わせて使う。 私たちの情報収集は非言語コミュニケーションが93%の割合で占めていると書きました。 でももちろん、話す言葉も大切です。 7%でも相手にメッセージを伝えるその力は強いのです。 だから、その言葉と非言語サインをうまく組み合わせて使えば、より正確に相手にあなたの言いたい事を伝えることができます。 例えば、あなたがスーパーで見た魚の値段が想像以上に高くて驚いたとしましょう。 それを近所の人に伝える時、どのように言えばその驚きを伝えられるでしょうか。 「こんなにちっちゃい魚が100g2,000円もするのよ!」 という言葉と共に、その魚がいかに小さいのかを親指と人差し指で示し、「ちっちゃい」の部分で声のボリュームを上げて話し、顔は驚いた表情にすると、表情ひとつ変えずに話すよりもあなたの伝えたいことが伝わるはずです。 ◎研究して練習する。 非言語サインは色々あります。 なので、色々な非言語サインでコミュニケーションを良くする使い方を研究してみましょう。 姿勢を伸ばして足をしっかりと地につけて話せば自信をもっているようにみえる、相手が嬉しい話をしている時は笑顔でうなずくとお互い嬉しい、相手の話すスピードに合わせて話せば心地良い、など。 もちろん、誰と話すか、どの場面で使うか、それぞれの状況によって違うと思います。 あなたにとって、これが使える!と思うものを研究し、実際に人とコミュニケーションをとる時に使ってみてください。 しっくりこなければまた違うものを使って練習して使いこなしましょう。 その中で、きっと特定の非言語サインを使った方が印象がいい、もしくはコミュニケーションが円滑になる、と思っているのに、そう言う風にできない時もあります。 それはあなたの気持ちや考えにその非言語の意思との相違があるからかもしれません。 例えば、あなたの友人が「会社で出世した!」と喜んで報告してきたとします。 あなたは冴えない表情と少し低めのトーンで「おめでとう。良かったね。」と返します。 本当は友人として嬉しいことで喜んであげたいことですが、何年も努力してるのに中々出世できないあなたにとっての複雑な気持ちが、言葉とは裏腹な非言語サインに出てしまったのです。Continue reading “コミュニケーション能力を高める方法。パート4。~非言語コミュニケーション~”

心の知能指数って何?どうすれば高められる?

心の知能指数(英語でエモーショナル・インテリジェンス・クオシェントEmotional Intelligence Quotientといい EQと略される)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 IQ(Intelligent Quotient)と言えば知能指数で、その数値が高ければ高いほど「頭が良い」といわれる一種のバロメーターで、その言葉はよく耳にすると思います。 IQが高いことは良いことですが、それだけでは成功が約束されたり幸福度が高くなるわけではありません。 それはなぜなのか、昔から多くの科学者たちが研究をしてきています。 その中で出てきたのがEQ、心の知能指数です。 EQとは自分自身の感情を把握して処理でき、周りの人たちの気持ちも汲み取り、自分や彼らがどうして特定の行動をとったのかをそれぞれの気持ちから理解できる力です。 EQの提唱者の中でも有名なダニエル・ゴールマンは、EQは怒りや自尊心のなさ、不安などマイナスな感情をプラスのものに切り替え、自信をつけたり人間関係を向上させる役割をしてくれるものだと述べています。 多くの研究でもこれらは証明されていて、EQが高い人たちは: などの傾向があるそうです。 ストレスに強くなり人間関係も向上、自分の人生を明るくするためにこれらは必要なことです。 そしてEQが高い方が低い人よりも自分の目標に達成しやすくなります。 EQを高めることで現状と未来が良くなるなら高めてやりましょう。 EQは生まれ持ったものではなく、やろうとする気持ちがあれば習得できるものなので。 では、どうすれば高められるでしょうか。 ◎自己認識度を上げる。 自分の感情を把握するには、自分はどのような状況でどのような気持ちになるのか、そしてなぜそのような気持ちになるのか、を意識して分かることが必要です。 さらに、その時の自分の機嫌や雰囲気がどのように他の人たちに影響を与えるかを分かっていることも心の知能指数を高めるために大切なことです。 これらはつまり自分を知ること、自己認識度を上げることです。 自己認識度が高いと、状況を客観的にみることができ、ネガティブな気持ちを上手く切り替えれるようになります。 ただ感情を行動に出すのではなく、落ち着いて制御し、自分や周りの人たちができるだけ良い気持ちになるような行動をとろうとします。 逆にポジティブな気持ちに気付けば、それを目標に向かうモチベーションにできます。 もちろんこれは今日明日でできるような簡単なことではありません。 忍耐は必要ですが、日々意識することで必ずできるようになっていきます。 「自己認識はなぜ大切?自分をよく知る方法とは?」で具体的な方法を書いていますので参考にしてください。 ◎思考より感情が先行することを知る。 少し脳の仕組みの話をします。 私たちが受ける外からの刺激・情報は脳に送られ、それらをもとに次どういう行動をすればいいのかを決めます。 外からの情報は脳の入り口である脳幹を隔て、大脳辺縁系という感情を生み出す場所を通って、その先にある、学習したり計画を立てたりといった思考を働かせる大脳新皮質に到達します。 新皮質は脳の進化的に他の部位と比べて新しい部位であること、感情を動かす部位に情報が通るのが先であることから、どうしても考えるより感情が先に出てしまうのです。 だから感情的になってしまうのは自然なことで、気持ちを抑え込もうとするとストレスがかかってしまいます。 この脳の仕組みから見ると、EQは私たちの次の行動を決める大脳辺縁系(感情)と大脳新皮質(思考)のやりとりがいかに上手くできるか、という指標だそうです。 このことを知っているだけでも、感情がこみ上げてきても少し落ち着いてみよう、まず考えてみよう、と一息おけるかもしれません。 ◎感情的な行動と論理的な行動のリストを作る。 ひとつの物事に対して感情に動かされている反応と考えた結果の論理的な反応を一度書き出してみてください。 それらを見比べて、その状況、周りの人たち、あなた自身にとってどの反応や対応が最善なのか想像してみてください。 その判断はとっさにするべきものなのですが、普段そういう考えるクセをもっていないと中々できるものではありません。 だから、その準備をしておくこと、ストレスのかかるような状況や責任のある判断をする場面を想定してどうするのかを事前に考えることが、いざという時にうまく対応できることにつながります。 例えば、バスで隣に座っていた知らない人があなたのお気に入りの服にコーヒーをこぼしてしまいシミをつけてしまったとします。 あなたはまず感情的にどんな反応をしますか?(その人に向かって叫ぶ、相手をにらみつける、など。) 次に、どういった反応が論理的でしょうか?(相手が謝れば、起きてしまったことは仕方がないとあきらめる、クリーニング代だけは払ってもらうように丁寧に話す、など。) 感情的反応と論理的反応を書き出したら、どちらの対処法があなたと相手にとって最善の方法か考えてみて下さい。 ここで覚えておいてほしいのは、感情的になりすぎると解決方法を見つけることは難しいのですが、あまり論理的になりすぎて感情を無視することも後々のストレスになってしまいます。 あなたの感情がどうすればいいのかを教えてくれるときもあります。 感情と論理のバランスをとった上での行動をとることが大切です。 ◎アクティブリスニングを練習する。 人の気持ちを汲むことは意識していないとできません。 そしてそれはその習慣がなければ簡単ではないし、気が張って疲れてしまうこともあります。 だけどそうすることで、相手が何を思っているのかをちゃんと理解しようという姿勢ができ、その結果、信頼できる人間関係を築くことができます。 そして周りに人が集まってきます。 ひとりが好きだから人は集まってこなくていいよ、と思う人もいるかもしれません。 が、それはそれは少し違います。Continue reading “心の知能指数って何?どうすれば高められる?”

自己認識はなぜ大切?自分をよく知る方法とは?

私たちは自分自身のことならよくわかっていると思っています。 好きなモノ、嫌いなモノ、自信のあること、苦手なこと、など自分のことなんだから知ってるに決まっている、と思っているかもしれません。 でも、私たちの見えていない部分やまだ知らない部分が実はあるのです。 そしてそれらを軽視していると、自分の判断や行動によって嫌な思いをしてストレスを感じてしまい、どうしてそうなってしまうのかわからず、さらに混乱してしまうのです。 つまり、「本当の自分」と自分の思う「自分像」にズレがあり、その結果、「自分像」を基にした行動が「本当の自分」を苦しめてしまうことになるのです。 例えば、周りに嫌われたくないので誘われたら断らないようにしているけど、本当の自分は人が大勢いるところは苦手なのでできれば行きたくない。 その結果、無理して笑って気疲れしてへとへとになってしまい、次誘われたらどうしようとビクビクしている。 こういうようなことが続くと精神的にまいってしまいます。 さらに、毎日起こる物事の中には私たちではコントロールできないことがたくさん起きています。 それらの物事に私たちは注意を向けてしまいがちです。 特に私たちにマイナスになるような出来事には。 どうしようもできないのですが、自分の状況を良くするためにどうにかできないかとそちらに集中してしまうのです。 でもやっぱりどうしようもできません。 でもまだできることはあります。 それはその状況を変えようとするのではなく、その事態の受け止め方、自分自身の気持ちや行動を変えてコントロールすることです。 「本当の自分」と「自分像」のズレを少なくするため、コントロールできる自分の中に目を向けるためには、自分を深く知り客観的に物事をみることが効果的です。 つまり、それらが自己認識を高めることの大切さです。 自己認識とは、自分の性格や価値観、物事に対する考え、強み、弱み、信じているもの、動機になるもの、どんな時にどんな気持ちになるのか、それはなぜか、などなど、自分という人間への理解度のことです。 自分を知ることは大切なのですが、忙しい毎日の中でそれらを振り返ることはほとんどしないのではないでしょうか。 知っていると思っているのでわざわざそんなことする必要もないと考えるかもしれません。 でも、冒頭でも書いたように、実は知らないところは結構あり、意識しないといつまでもわからないまま放置され、それが私たちの精神面を攻撃してくる可能性も大いにあります。 自分のことをより深く知ることで冷静に物事をみて自分の気持ちをコントロールすることができ、ストレスに強くなれます。 これこそ「自分探し」です。 しかも今その場でできます。 やってみましょう。 では、どうすればいいのか見ていきましょう。 ◎人の自分に対する意見を聞く。 「ジョハリの窓」というモデルを聞いたことがあるでしょうか? アメリカの心理学者、ジョセフ・ルフトとハリー・インガムによって、提唱されたモデルで、自己認識を高めるため、信頼度のある人間関係を築くためなどのツールとして使われています。 それによると、自分に対する知識は4つの部分から構成されています。 「開放の窓=自分も他人も知っている自分」「盲点の窓=自分は知らないが他人は知っている自分」「秘密の窓=他人は知らないが自分は知っている自分」「未知の窓=自分も他人も知らない自分」の4つがあり、その中で自分の知っている部分を大きくすることで自己認識が高まります。 まず盲点の窓、他人があなたの知っている部分を広げていきましょう。 その為に、周りの人たちの話を素直に聞くことが大切です。 「○○は優しいところあるよね」「○○って正直で嘘つけないね」「○○の先延ばしするところ直した方がいいんじゃない?」「○○は短気だね」などなど、友人や家族のあなたに対する意見に素直に耳を傾けてみてください。 良いところも出てくると思いますが、もちろん受け入れたくないマイナスなことも言われる時もあるかもしれません。 でも、人間は完璧ではありません。 良いところばかりではないし、自分では無意識で行動していて気付いていない傾向があります。 納得ができないのなら他の人たちにも聞いてみてもいいかもしれません。 素直に聞いて受け止めて自分を知ることが、本当の自分とのズレを少なくしていくのです。 ◎自分自身に質問する。 自分とはどんな人間か、を振り返ろと言われても、どうしたらいいかわからないという人もいると思います。 そんな時は次のような質問をあなた自身にしてください。 「今あなたに不安や悩みはありますか?」 「あなたにとって人と関わる上で一番大切なことは何ですか?」 「あなたは今後どんな人間になりたいですか?このまま変わらずにいたいですか?」 「今のあなたの生活の中で一番楽しいと思うことは何ですか?」 「どんなことが起きるとあなたは嫌な気持ちになりますか?」 「家族、恋愛、仕事、お金、あなた自身、この中であなたにとって一番大切なモノは何ですか?またどんな順番をつけますか?」 「あなたのすごいところはどこですか?逆に人に見せたくないところは何ですか?」 など、あなたのことに関してどんどん質問してしっかり考え答えてみてください。 そうすると今まであまり意識していなかった部分が考えとして出てきて、あなたの行動や自信が変わってきます。 ◎自分自身を振り返る時間をつくる。 毎日忙しくてわざわざそんな時間とってられない、と思うかもしれません。 でも、これはあなたの気持ちや考えを知り、整理して、明日からの行動をより良くしてくれるものです。 自分のための時間をつくって損はないです。Continue reading “自己認識はなぜ大切?自分をよく知る方法とは?”

苦しい中での希望の見つけ方

辛い時や自分ではどうしようもできないと感じる時、私たちは自らの無力さを嘆き、このままずっと辛い状況が続くのではないか、と先が見えなくなってしまう事があります。 この先、辛い気持ちが晴れることはない、私に良いことなんて起こらない、という状況は希望がない状態です。 マーケティング教授のウタパル・ドラキアによると、希望とは単純に良いことが起きる期待をもつことではなく、どんなジャマが入ったとしても、自分自身の行動によって求めているものを得たり目的の場所に到達できると考えられること、だそうです。 私たちは希望があるから先に進むことができます。 希望がなければ、何のために生きているんだ、何をやったって無駄だ、というようなマイナスの考えに圧倒されてしまいます。 結果、精神的に辛い状態になり日々の生活もままならなくなります。 逆に、ほんの少しでも希望を持てれば辛い気持ちを立て直そうとする力が湧いてきます。 辛くて身動きがとれない時に希望を見出すことはとても難しいことです。 でもそれはあなた次第なのです。 あなたがそうしようとすることで希望が見え、辛い状況から抜け出そうと行動する力になります。 それでは具体的にどうすればいいのか見ていきたいと思います。 リック・スナイダーの希望理論によると、希望は主体性(自分が目標達成できるとどれだけ信じているか)と道筋(目標達成までの現実的で妥当な道筋をたてられているか、上手くいかなかった時に代わりの道を考えられるか)二つの要素に大きく影響されているそうです。 つまり、希望を持っている人たちにははっきりとした目標、それを達成する為の道筋と必ず達成するという自信があり、さらにいくつかの代わりの道筋ももっていて難しい状況でもあきらめずに耐えることができるということです。 これらの特徴から、以下の方法が希望を見出す助けになるのではと私は考えます。 ◎過去の達成経験を思い出す。 自分が今の状況を乗り越えていける力を持っていると信じる為には、今までの達成した経験を思い出すことです。 自信を失くして「私は何も達成したことがない。大して良いことなんて起こった事はない。」と思うかもしれません。 でもそれは過去に起きた嫌な事や辛い経験が強く記憶に残っていて、実は嬉しかったことや褒められたことなどのポジティブな経験が隠されているのです。 ただ、人と比べてはいけません。 人と比べてこんなことぐらいじゃ大したことない、ではなく、あなた自身の過去と比べてでできるようになった、すごい!と思うことが大切なのです。 探してください。 必ずあります。 ◎ポジティブセルフトーク。 ストレスがかかって苦しい時、頭の中には悲観的な考えで埋め尽くされてしまいます。 それでは希望を見つけるどころか、自分をどんどん追い詰めて状況は悪化する一方です。 マイナスの考えでいっぱいになってしまった時は、一旦思考を止めましょう。 そして、それらを否定しましょう。 もしあなたが「このまま私は何も成し遂げず周りに迷惑をかけ続けるだろう。」という考えに苦しんでいるのなら、言い換えてください。 「私は周りに誇れることを達成したことはないかもしれないけど迷惑だと言われたことはない。」とまず否定し、「好きな仕事ができているし私の文句を聞いてくれる優しい友人もいる。私を支えてくれているみんなに恩返しもしたい。まだ私にはやれることがある。」というように考えを作り直してみてください。 思考は私たちの意見を自分自身に伝えています(セルフトーク)。 そしてそれがあたかも事実であるかのように私たちは強く信じてしまいます。 ネガティブなら私たちの気持ちを重く、ポジティブなら気持ちを軽くしてくれます。 どちらのセルフトークをすれば希望が見つけやすくなるかはもうおわかりだと思います。 ◎まだコントロールできていることを意識する。 辛い状況やストレスを強く感じている時、自分ではどうすることもできないと物事をコントロールする感覚をなくしてしまうことは少なくありません。 そんな時は、まだあなたができていることを意識してみてください。 例えば、歩くことができる、思ったことを話すことができる、ごはんを食べることができる、などどんな些細なことでもあなたの意思でできている事柄に気付き、まだコントロールできていると実感してください。 そうすることで、自分がまだ動ける事に気付くことができ、それが希望に繋がり難しい状況を打破する方法を見つけ出す力となります。 ◎目標達成のためには辛い時もあることを頭に入れておく。 何かをやろうとしたり、状況を変えようとする時には楽しいことばかりではありません。 わかっていても嫌な事があったり目標までの道を妨害されるようなことがあるとどうしてもくじけそうになってしまいます。 そんな時は目標までの道のりを歩いている自分をイメージしてみてください。 楽な道、険しい道、行き止まりにあったり、色々な道があります。 嫌な気持ちになることもありますが、色々な道があるのは自然な事でどうしても避けられないところもあります。 少し精神論よりですが、険しい道を経験した時の目的地で観る景色は最高にきれいで、達成感をより一層感じることができます。 もちろん疲れた時は休憩することも大切です。 あなたのペースを知り進んでいきましょう。 ◎柔軟になる。 苦しい時はそのやり方が間違っていたり、あなたにその方法が合っていないことがあります。 無理やり推し進めて過度に気持ちに負担を感じるのなら、別の方法を考えましょう。 慣れた方法をやめて違う方法に切り替えることは面倒で、上手くいくかわからないので不安でもあります。 それでも今の方法で希望が見えないなら、柔軟に別の方法を試す価値はあります。 そうすることで新しい希望が見えてくる可能性は大いにあるので。 自分だけではいい考えがでないなら周りの人たちに相談してみることも大切です。 希望をもつことで私たちは辛い状況でも耐えることができ、行きたい方向に進むことができます。Continue reading “苦しい中での希望の見つけ方”

辛い過去に囚われないようにする方法(後半)

辛い過去は私たちを苦しめ悩ませます。 その辛い気持ちをどのように対処すればいいのか、前回の続きで書いていきたいと思います。 ◎ぐるぐる繰り返される考えを言い換える。 過去の経験によって自分はダメな奴だ、とか私には良いことなんてこの先起こるはずない、というような考えをもってしまうことは少なくありません。 しかし、それはほとんどの場合、事実ではありません。 あなたの意見です。 もしくは周りから言われてそうだと信じ込まされてきた他人の意見です。 そしてそれがあなたを苦しめているのなら変えましょう。 なぜなら今まで思い込んできた考えは変えることができるから。 その為にこれからもずっと苦しい思いをすることはないのです。 例えば、幼少時代、親に頑張ったことを褒められるより、もっと上を目指すようにと厳しく言われて育った経験があったとします。 そして、「私は昔からどれだけ頑張っても親に褒められたことなんて一度もない。私は出来損ないだ。この先も何をやっても上手くいかないだろう。」と自分を何もできないやつだと考えるようになります。 そして大人になって、自分にできそうにないことや新しいことに挑戦するのを避けたり、自信がなくいつもびくびくしてしまっている。 変えましょう。 まず、「私は出来損ない」「何をやっても上手くいかない」はあなたの意見だという事に気が付きましょう。 あなたに必要だった親からの「褒め」を受けることができず、そう思うようになってしまったのです。 そして、その極端な意見を少し柔軟に言い直してみましょう。 例えば「私は○○をするのが苦手だ。失敗もたくさんしてきた。でも△△をするのは好きで友達から褒められたこともある。上手くいかない時もあるけど上手くいった時もあった。私は出来損ないなんかじゃない。私にもできることはある。」というように。 さらに詳しく過去のブログ「損する考え方。」と「マイナス思考を変える4つのステップ。」に書いているので参考にしてください。 ◎注意を向ける時間軸を変える。 人はどうしてもマイナスの力に引き寄せられがちです。 そのくらいマイナスの力は強く影響力があります。 過去に辛い経験があり対処しきれていない場合、あなたはその経験に引き寄せられいつもそこに注意を向けてしまう状態になっています。 その為、ストレスがかかる状況になるとうまく行動を起こせなかったり不安になったりするのです。 だからこそ、あなたが何に注意を向けているのかを意識的に、そして定期的に確認することが大切なのです。 過去は変える事はできませんが、今現在から未来がどうなるかはあなた次第です。 今からあなたはやりたいと思うことに向かって進むこともできるし、自分が嫌だと思う部分を変えることもできます。 だから、今できることは何だろう、とか、将来こんなふうになりたい、ということにあなたの集中力を過去から先の時間軸に動かしてみてください。 そうすることで過去の経験のネガティブな影響を弱めることができます。 ◎許す。 誰かに不快なことをされて傷つけられた経験で悔しい思いや憎しみが心のどこかにいつもある人もいるでしょう。 また、嫌なことが起きてしまったのには自分にも責任がある、と自分を責めている人もいるでしょう。 後悔や責任を感じることは、私たちが成長するために多少は必要なのかもしれません。 しかし、過度に誰かを恨み続けることや自分を責め続けることは自分自身の大きなストレスになり精神面に悪い影響をもたらします。 そこで自分のために「許す」行為をしましょう。 「許す」ことで辛い過去の経験から自由になれます。 もちろん、魔法のようにすぐに、というわけにはいきませんが。 注意してほしいのは、許すことは相手のしたことを大目に見たり仲を修復するものではありません。 「許し」はあなたの怒りや憎しみを外に出すのを助け、あなたの気持ちの負担を軽くしてくれるものです。 詳しく「あなたを傷つけた相手を許す方法」に書いているのでぜひ参考にしてください。 ◎感謝する。 多くの研究で、感謝することは私たちの精神面に良い効果をもたらしてくれると証明されています。 アブディ・グンゴール、マーク・ヤングとスティーブン・シボらによる研究では、感謝することは辛い経験による精神的な苦痛を軽減してくれる上に幸福度も上げてくれると報告しています。 過去の辛い経験によって失ったもの、その経験がなければ今得られていたもの、などを考えると、感謝だなんてできない、と思うかもしれません。 でも、その経験があったからこそ得れたもの、その経験があったにも関わらず今まで頑張ってこれた自分、そして今あなたの周りにあるもの、を考えてみてください。 ないものや辛い気持ちばかりに目をやるとどうしてもその過去の経験に戻り、頭の中でまた同じように経験してしまい辛くなってしまいます。 辛い中で感謝することは容易ではありません。 でもそうする努力をすることはあなたの今の状況を違う角度からみることができます。 そして、それによって実は良いこともあるんだと気付きやすくなります。 それはあなたの気持ちを軽くしてくれ、さらに感謝することが習慣化されれば、今の状況を楽しめるようになるはずです。 過去の辛い経験を乗り越えることは簡単なことではありません。 どれだけ方法を言われたところで一人ではどうしようもない時もあります。 そんな時は信頼できる家族や友人、または専門家に相談してください。 辛い経験によってあなたの今後がさらに辛くなってしまうのは防ぐべきだと私は思います。 そして、その一歩を踏み出せるのはあなただけなのです。