気分のムラが激しいのはなぜ?

さっきまで楽しいと感じていたのに、急にイライラしてきたり、悲しくなって涙が出てきたり、自分の気持ちにアップダウンを感じることはありませんか? そしてそれらがコントロールできなかったり、どうしてそれが起きるのか自分でもわからなかったりすると、さらに精神的に追い込まれることにもなります。 あなたにとって良いこと、嫌なことが混在する日々の生活の中では、気分にムラがあることは自然なことです。 色々な出来事に私たちの気持ちは影響を受けているのです。 ただし、あまりに極端に気持ちが変化したり、いつもと違った気分の浮き沈みで行動が振り回されている場合、生活や人との関わりにも悪影響がでてきます。 そういう時には、どうしていつも以上に気分にムラがあるのか、まずその理由を知ることが大切です。 理由を知ることで、それぞれに合ったやり方で対処していくことができます。 ◎ 生活の変化によるストレス 例えば引っ越しや転職、結婚や大切な人との別れなど、普段の生活に変化があると、多かれ少なかれストレスを感じます。 その変化がワクワクするものであっても不安に感じるものであっても、です。 新しい生活を始めることで、いつもと違う気を張ったり慣れないことが多く思い通りにいかなかったりと、精神的な負担がかかるものです。 新しいことに挑戦していこう、楽しみだ、と前向きに思う反面、上手くいくかな、失敗したらどうしよう、などの不安な気持ちがより顕著に出る生活が変わる場面では気分のムラが激しくなることが考えられます。 ◎ 慢性的なストレス 自分で感情をコントロールしようと思っていても、ストレスになる原因に上手く対処できていないと、やはりそれらによって感情は揺さぶられます。 ストレスがあるところに、さらにストレスを感じる事が起きたり、その状況が長い間続いたりすると、より気持ちは不安定になり、感情をコントロールすることはなおのこと難しくなります。 気持ちが明るくなることがあったとしても、ストレスの原因になるものを解決できずにいると、そのせいでまたイライラしたり不安になったり、気持ちの浮き沈みが起こるのは不思議ではありません。 ◎ 精神的な問題 躁うつ病やうつ病などの気分障害や、境界線パーソナリティ障害、アルコール・薬物依存症などの精神的な病気に、激しい気分の浮き沈みがみられることがあります。 躁うつ病の症状には、気分が異常に高揚している躁病エピソードと、反対に何に対してもやる気を失い気分が極度に落ち込むうつ病エピソードがあり、その気分のムラは非常に激しいです。 うつ病の症状に躁病エピソードはありませんが、持続的に落ち込んでいる状態の中で、昨日は少し気分が良かったのに今日は悲しくてベッドから出られない、などの気分の浮き沈みがあります。 境界線パーソナリティ障害は、環境の変化や人との離別を極端に恐れ、そうなるかもしれないと感じたたけで、人が変わったように相手に対する態度を変える特徴があります。 自分の思うように一緒にいてくれる人には、初めの頃は良く接するものの、その相手が十分に自分のことを思っていないと感じると、相手に突然怒りを向けるなどの激しい感情の変化がみられます。 アルコール・薬物依存症では、お酒や薬の影響で気分が激しく高揚したり、またそれらが手に入らない時に禁断症状で異常にイライラしたりどうしようもなく不安になったりと、気分のアップダウンが起こります。 ◎ ホルモンの変化 私たちの気持ちを揺さぶる原因はストレスや精神的な問題だけでなく、体の変化にもあります。 子どもから青年の体に成長していく思春期は、気持ちを前向きにしてくれるセロトニンというホルモンの分泌が他のどの年代よりも少ない時期だと言われています。 その為、イライラすることが多く、怒りっぽくなってしまいます。 女性の場合、エストロゲンという女性ホルモンの変化が起こる月経前や出産後、閉経後、更年期などの時期に気持ちの浮き沈みが起こりやすくなります。 エストロゲンは幸せホルモンのセロトニンの分泌を促す役割をしており、上記に挙げた時期はエストロゲンが減少する為、気持ちが落ち込みやすくなるのです。 男性の場合、アンドロポーズと呼ばれる男性更年期に男性ホルモンのテストステロンが減少することで、イライラや癇癪などを特徴とした気持ちの浮き沈みが起こります。 ◎ ダイエット(栄養不足) バランスの悪い食生活は私たちのメンタルヘルスにもマイナスの影響を与えてしまいます。 食べ物と精神面は関係ないだろう、とツッコンでいる方もいるかもしれません。 でも、食べ物が私たちの脳を動かす源であり、記憶力や認知力、そして感情のコントロールに関わっているのです。 そして、体をつくる上でも必要な栄養素はあり、それらが不足すると力がわいてこず、病気にさえなり得ます。 体の不調があるとそれはやはり精神的に辛くなる原因であり、気持ちも沈んでしまいます。 例えば、ダイエットなどで過度な糖質制限をして低血糖になってしまったら、血糖値を上げようとアドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。 そしてそれらが必要以上に分泌された場合、イライラしたり怒りっぽくなったりします。 ナショナル・カウンシル・フォー・メンタル・ウェルビーイングによると、亜鉛、鉄分、ビタミンB、マグネシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸の栄養不足によって、不機嫌やエネルギー不足の原因になるそうです。 食生活が私たちの気分に影響することを知り、バランス良く食べるようにしましょう。 ◎ 寝不足 睡眠不足や睡眠の質が悪い日が続くと、私たちの気分はマイナスの影響を受けます。 それは、睡眠を適切にとることによって機能する前頭葉の働きが鈍くなってしまうことにあります。 前頭葉は、感情の処理を行う偏桃体を見張る役目をしていて、過度に感情的にならないように抑制をしています。 その前頭葉の働きが鈍くなってしまうと、偏桃体の抑制も鈍くなり、ストレスに対する感情の反応も強く出てしまうことになります。 そのため睡眠不足になると、感情的になりやすくなるのです。 気分にムラがあるのは様々な理由があります。 まずその理由を知って、できるだけその気分に振り回されないようにして余計なストレスを減らしましょう。

ストレスマネージメント~あなたの対処方法はどのタイプ?~

ストレスを感じた時、私たちは何かしらの方法でその影響を軽くしようとします。 それは大きく分けて二つの対処法があります。 一つ目は、気持ちに目を向けた対処法。 二つ目は、問題解決に目を向けた対処法。 まず、気持ちに目を向けた対処法。 これは、ストレスによる感情の変化をできるだけ抑えてコントロールする方法です。 例えば、仕事がうまくいかないときカラオケで歌ってモヤモヤを発散させたり、週に1回ヨガに行って心身をスッキリさせたり、好きな場所に出かけてリフレッシュさせたり、気持ちを落ち着かせようとする行動でストレスに対処します。 二つ目の問題解決に目を向けた対処法は、その名の通り、ストレスの原因になっている問題を解決しようとする方法です。 例えば、もし仕事で失敗したならその原因を探り反省して次からは同じミスを起こさないように努力をする、孤独を感じたら誰かと会う時間をつくる、など具体的にその問題に取り組む行動をしてストレスを解消する方法です。 多くの研究では、気持ちに目を向けた対処法よりも問題解決に目を向けた対処法の方が効果的であると言われています。 その理由として、気持ちを楽にする方法に、結果的にストレスを与えてしまうことがあるからです。 例を挙げると、お酒や薬などで気を紛らす、言いたい事を言わずに自分を抑える、陰で文句を言いまくる、暴飲暴食などがあります。 その場はストレスを発散もしくは軽減することができるかもしれませんが、長い目で見ると、ストレスの元になる原因は解決されることもなく、飲酒などでの疲労、自分を出せないイライラ、愚痴ばかり言って周りが離れていく、食べ過ぎで体調を崩す、など、さらにストレスを抱えることになってしまうことにもなり得ます。 その一方で、問題解決に焦点を当てた行動は、その時は踏ん張る精神が必要で、客観的に物事をみる姿勢や冷静な判断も必要になってきますが、問題を解決することでストレスをなくすことにつながります。 だからストレスの対処法としては問題解決に目を向けた対処法の方が有効だと言われているのです。 ただし、だからといって、気持ちに目を向けた対処法を無視していいわけではありません。 感情を落ち着かせずに問題解決に取り組む姿勢にもっていけるでしょうか? それに、ストレスの元になる問題を解決することは、その問題にもよりますが、魔法のように一瞬でできるわけではありません。 どうにかしようと奮闘している間も気持ちの整理やコントロールすることは必要です。 結論、問題解決に向けて何をすればいいのか考え行動しながら、気持ちへのストレスをできるだけ軽くする行動も同時にとることがストレスへのベストな対処法だと思います。 では、それぞれの対処法においてどのように取り組めばいいのか見ていきましょう。 -気持ちに目を向けた対処法- 1.ストレスを感じている時の気持ちに気付く。 まず、自分の気持ちに敏感になりましょう。 不快な気分や、いつもと違う気持ちになったら、何らかのストレスを受けているかもしれません。 ストレスにも良いものと悪いものがあり、どちらにしても気持ちを揺さぶります。 新しい生活を始めるときの緊張感やウキウキした気持ち、大切なプレゼンの前の不安で逃げたくなる気持ち、好きな人と話していてドキドキする気持ち、期日までに支払いをしなければいけないプレッシャーに押しつぶされそうな気持ち、などなど。 あなたがどのような状況でどのような気持ちになっているのか、無視せずありのままを感じてみて下さい。 2.気持ちを外に出す。 あなたがどんな気持ちになっているのか分かったら、次はそれをあなたの外に出しましょう。 文章で気持ちを書いたり、実際に声に出して、自分の目で耳で改めて理解してみてください。 そうすることで客観的に自分を見ることもでき、自分への理解が深まります。 自分の今の気持ちの状態がわかると、その気持ちに対してコントロールしやすくなります。 逆にわかっていないと、思いもよらぬ行動に出て状況が悪化してしまうこともあります。 自分の気持ちをいったん外に出して心の整理をしましょう。 3.好きなことや気持ちがリフレッシュできることをする。 気持ちに目を向けた対処法は、少しでも気分を軽くするための方法です。 あなたの好きなこと、気持ちが良くなることをしましょう。 ただし、先ほども書いたような、その場しのぎの快楽しか感じれないことは逆効果になってしまうので避けましょう。 体を使ったりマインドフルネスを意識した行動は、ストレスに強くなる効果もあるのでお勧めです。 -問題解決に目を向けた方法- 1.ストレスに感じている理由を探る。 あなたが何故ある物事に関してストレスを感じているのか、その理由を考える時間をつくってください。 大好きな人を亡くして悲しい、辛い、など考えなくてもわかることもあるかもしれません。 でも、なんかイラっとするな、不安だな、とふと感じるときなど、はっきりと理由がわからないこともあります。 ストレスを感じる場所、時間、状況などを観察して原因を断定してください。 例えば、誰かと話をしていて居心地が悪いなと感じたのなら、相手の言動やそれに対する自分自身の受け止め方、距離感、相手に対する印象や見方、などを考えてみて下さい。 そうすることで、どうしてあなたが居心地が悪いのかがみえてきます。 2.原因にむけての解決策を考え、行動する。 原因がわかったら、それに対してどうすればストレスを軽減することができるのか考えましょう。 自分ひとりで解決できなさそうなら誰かに助けを借りましょう。 目標が高すぎてプレッシャーを感じているのなら目標を小さなステップに分けてひとつひとつこなしていきましょう。 意見の食い違いでモヤモヤしているのなら、その相手としっかり話し合いましょう。 苦手な相手と無理やり一緒にいることはしなくてもいい、避けることも解決策のひとつです。 過去のブログ「ストレスマネージメント~4つのA~」でどのようにストレスに対応できるのかを4つのAから始まる方法で説明しているので、そちらも参考にしてみてください。Continue reading “ストレスマネージメント~あなたの対処方法はどのタイプ?~”

承認欲求って何?強くなり過ぎたときの対処法。

「承認欲求」という言葉、聞いたことあると思います。 承認欲求には、自分で自分を認めたい「自己承認欲求」と自分以外の誰かに求める「他者承認欲求」があります。 今回は「他者承認欲求」について書いていきたいと思います。 「他者承認欲求」とは、すごい人だと思われたい、人から好かれたい、褒められたい、など人に認められたいという欲求で、人間であれば誰しも自然にもっているものです。 人からすごいと思われたり、褒められる行為は、私たちの気持ちを良くしてくれます。 自分の行動を改めて肯定でき、自信につながります。 さらに自分の価値を上げてくれる原料になり、精神的な安心感も得ることができます。 ただし、人から認められたいというその気持ちが強過ぎてしまうと、常に周りから注目されないと気が済まなくなったり、認めてほしいあまり相手を喜ばせることばかりに気をとられて自分の意見を無視してしまったりします。 そうすると、人の意見に頼らないと自分で物事を判断できなくなったり、逆に少しでも自分と異なる意見があれば侮辱されたと感じ腹を立てたり、感情のコントロールも難しくなってしまいます。 私を褒めて、認めて、注目して、というような行動は行き過ぎると、周りの人たちが疲れてしまうことにも。 その為、バランスをとることが大切です。 自然にわいてくるその欲求は必要なものでもあり、消すことはできません。 ということを認めた上で、承認欲求をコントロールする方法をみていきましょう。 ◎ 原因を知る。 承認欲求が強くなってしまうのには理由があります。 まず、その人が生まれ育った環境。 私たちが生きる社会の多くには、成功することが何よりも褒められることで失敗は良くない、という作り上げられた文化があります。 そういった環境で育つと、成功しない限り周りから認められる経験を得ることが難しくなり、欲求が満たされないまま成長してしまいます。 さらに、成功体験がないと自分は何もできないダメな奴だと自分の価値を下げることにもつながります。 何かを達成することは素晴らしいことですが、成功者を称え、失敗した者を批判の対象にするのは生きにくい世の中だと私は思います。 だから、成功や達成が合格、失敗や逃げが不合格、と決めつける考え方を見直しましょう。 結果よりもその過程に注目しましょう。 そこから私たちは学んで成長していくのです(ありきたりな言葉ですが事実です)。 そうすることで、成功したから認められる、失敗したから認められない、という安易な考えを捨てることができます。 次に、自己肯定感が低いことが承認欲求の強さにつながります。 成功を重視する傾向から親や周りの大人たちに認められた経験がない、虐待やネグレクトを受けて過酷な幼少生活を過ごした、など自分を肯定的にみる機会を得られなかったら、自己肯定感は育まれません。 また、大人になってからでも、自分以外の周りの同期は出世をしている、誰と付き合っても上手くいかない、人からバカにされた、などの経験で自己評価は低くなり自分自身を否定的に捉えてしまうこともあります。 自己肯定感が低いと自分の意見や性格、容姿などに自信がなくなり、不安な気持ちを常に抱えている状態になります。 その不安な気持ちを少しでも軽くするために、周りに認めてもらう必要があるのです。 もしあなたがすることやあなたの意見を常に誰かに認めてもらっていないと不安になるのであれば、その原因を探ってみて下さい。 まず原因を知ることで自分の行動を知り、それに対処する構えができ、認めてほしいという気持ちを和らげることにもつながっていきます。 ◎ 自分自身を認めてあげる。 誰かに認めてもらおうとする人たちには共通点があります。 それは、自分で自分を認めてあげていないところです。 自分を認めてあげれていなければ、いつまでも他人の評価に左右され、自分の価値を見出せない状態が続きます。 自分のことを一番わかってあげられるのは誰でもない自分です。 弱いところもあるかもしれませんが、得意なことや好きになれるところは必ずあります。 わからなければ、あなたが周りの人たちに褒めてほしい、認めてほしいと思うことは何かを考えてください。 それをまずあなたが最初に認めてあげてください。 自分を認め、自分ができたことを褒めてあげることができれば、周りの人たちの意見はあまり気にならなくなります。 批判されたらもちろん傷つくこともありますが、あなたがしっかりあなたの気持ちを支えることができていれば、そのダメージは軽くすむでしょう。 ◎ 自分はどうしたいのかを考える。 誰かの意見に合わせて自分を認めてもらうことは、批判されるかもしれない自分の意見を主張するより簡単です。 いえ、簡単な気がするだけで、実は後で辛くなってきます。 周りが喜ぶようなことをしていい関係をつくったとしてもそれは表面的なもので、あなた自身が心から喜べるような関係はつくれません。 なぜなら、相手もあなたが心を開ききっていないことを感じます。 そして相手も同じように、あなたに心を許すことを避けるでしょう。 本来の自分ではない自分を見せ続け、自分自身をもだますことになり、ストレスも蓄積させていきます。 認めてもらいたいという欲求は私たちを強く動かします。 でも、自分の価値観や意見、どうしたいのかはちゃんと考えましょう。 そして、あなたが関わる人全員に認めてもらうのは不可能だと頭に入れておきましょう。 承認欲求が強いと、人からの目線での素晴らしい成功、名誉、地位、などを目標としてしまい、あなた自身が本当はどうしたいのかという考えを置き去りにしてしまいます。 その結果、どれだけ人から素晴らしいと言われても、どこか心が満たされない部分が必ず出てきます。 承認欲求はモチベーションに変えたり、自信につなげたりとうまく利用することができます。 ただ、もしあなたがそれを人に強く求め過ぎていたら、なぜそうなってしまうのかを考え、自分を知って、まずあなたがあなた自身が認めてあげましょう。

メンタルヘルスの問題を抱えた人をケアするときのセルフケアの方法

前回のブログで「メンタルヘルスの問題を抱える人をサポートするには?」について書きました。 今回は、そのサポートする人がどのようにしてストレスを溜めないようにするのかを見ていきたいと思います。 精神的に辛い思いをしている人はもちろんですが、周りでその人と関わったり、支える人も正直言ってしんどいです。 ストレスめちゃくちゃ溜まります。 相手に良くなってほしいという気持ちがあるから、元気になれそうな色々な提案をしたり、できるだけひとりにさせないように自分の時間を割いたりします。 でも、相手は、そんなことできないとネガティブな反応ばかりしたり、あなたはいいよね、と攻撃的に八つ当たりしてきたり、あなたの期待と同じ方向に進まないことが多々あります。 もちろん相手はわざとやっているわけではありません。 心に余裕がなく、周りも自分自身も客観的に見ることができなくなっています。 そのことを理解した上でも、ケアする側としては思い通りにいかないことが多いので辛いです。 そういう状況が長く続いてしまうと、ケアする側もイライラや落ち込み、不安な気持ち、眠れないなどの症状から、精神的に壊れてしまうことだってあります。 そうならないためにケアをする人にもケアが必要なのです。 どのようにセルフケアを行えばいいのでしょうか。 ◎ 自分の不調に敏感になる。 誰かのために動いているとき、自分のことを忘れがちです。 もしあなたが常にイライラしたり、気分にムラがあったり、いつもできていることが何故かできなかったり、無力感を感じるなど、いつもと違う感覚があったら、それはあなたの体や心が不調を訴えているときです。 そんなときは、あなたのための時間を優先してください。 相手を思いやるのと同じように、あなた自身を思いやってあげることは大切です。 そうでなければあなたも相手も共倒れです。 体調や心の不調に敏感になって、悪化させないようにしてください。 ◎ 自分のための時間をつくる。 誰かのためを思って時間を割くことは素晴らしいことです。 でも、それが自分のやりたいこと、やるべきことの妨げになったとき、当然ですがストレスの元となります。 さらに、こんなにも時間をとってあげているのに、私のエネルギーを犠牲にしているのに、と相手に対して怒りを感じたり、押しつけがましくなってしまうことにもなります。 人は、自分のニーズが満たされて初めて心に余裕ができ、相手を思いやることができるのだと思います。 あなたがやるべきこと、やりたいことにはちゃんと時間をとりましょう。 ◎ 完璧でなくていい。 相手の辛さを全て受け止め、私が全部何とかしないと、という考えをもっているのなら、それはとっとと捨ててください。 これは、メンタルヘルスの問題を抱える人を支えるときだけでなく、例えば子育てや介護など誰かのケアをするときも同様です。 相手の要望を全て満たす完璧なお世話をすることは不可能です。 私のせいで彼、彼女はいつまでも苦しんでいる、と自分を責めたり、自分の不十分さに自信を失ったり、完璧を目指せば目指すほどあなた自身を追い詰めてしまいます。 全てこなすことは無理だ、だって人間だもの、と自分に言い聞かせましょう。 誰かの力をかりましょう。 やれることだけに集中しましょう。 ◎ 周りに助けを求める。 精神的に辛い思いをしている人は孤独感を強く感じています。 でも、その人のケアをしている人も同じように孤独感を経験しています。 相手と一番近い関係にいるのは自分だから、相手が助けを求めているのは自分だけだから、誰かに相談してその人を巻き込みたくない、と誰にも相談できずにいる人も少なくないと思います。 だけど、助けは求めましょう。 精神的な問題は特に、治ったといえるラインがとても曖昧です。 良くなったと思えば次の日にはものすごく落ち込んでいたり、その人が日々経験する状況によって気分のムラもあり、それらは近くにいる人たちの気持ちも大きく揺さぶります。 だから、もし一人で苦しんでいるのなら、あなたの家族の誰かだったり、親戚だったり、友人だったり、話を聞いてもらいましょう。 あなたの周りの誰かがその状況を知っていると思うだけでも気持ちが楽になることがあります。 ◎ 専門家に相談する。 心の問題はとてもセンシティブで、深く関わっていない人たちからはあまり理解されないこともあります。 だからあなたが相談しても期待している反応を必ずしも得られるとは限らず、余計に苦しくなってしまう場合はあります。 家族や親戚、友人に相談しても状況が変わらない、もしくはそういう人がいないなら、あなた自身がカウンセリングを受けることをお勧めします。 話す相手が精神的な問題の専門的な知識を持っていて、あなたの考えや悩みにフォーカスしてくれるという点で、安心感がうまれ、ストレスを軽減する方法が見つかる可能性が高くなります。 あなた自身のメンタルヘルスを良い状態で維持するために専門家と話をすることもひとつの方法です。 精神的に辛い思いをしている誰かを支えているあなた自身も、相当な精神的エネルギーを使っています。 自分のケアを忘れずにあなたが壊れてしまわないようにしましょう。

メンタルヘルスの問題を抱える人をサポートするには?

あなたの周りに心の問題を抱えている人はいますか? それがあなたの家族や大切な人で、助けになりたいと思っているけど、どう支えていいのかわからずにいませんか。 なんとか力になりたい、という気持ちで寄り添うことができていればその人はそれだけでもきっと力強く思っているはずです。 ただ、それが押しつけがましくなっていたり、相手のパーソナルスペースを考えなかったり、と良いと思ってやっていることが、ありがた迷惑になっていることもあります。 もちろん、こうするべきだという正解はありません。 それぞれの関係性や考え方、その他にも色々な要素がある中での支え方があります。 それらを考慮した上で、今から書くポイントを参考にしてみてください。 ◎あなたの目線で良い悪いを判断しない。 自分ではない誰かの話を聞くとき、自分の価値観や考えを比べて聞くことって自然だと私は思います。 そうすることによって、この人は自分と違った考えで面白いな、逆に変だな、と感じて意見を交換できたりします。 お互いへの理解を深める点でそれは良いことだと思います。 ただ、精神的に参っている時、人はあなたのことを深く知りたいという欲求は持っていません。 あなたの意見を素直に受け止めるほどの心の余裕もありません。 むしろ、あなたがその人の気持ちに対して意見をしてしまうと、自分は情けない奴だと逆に追い詰めてしまう事にもなります。 そこから議論に発展する場合もあり、相手が心を閉ざす原因にもなりかねません。 相手を励まそうと言葉をかけることが効果的な時もありますが、まずは勇気を振り絞って話してくれている相手の話を相手の目線で聞くことに専念することで、相手はホッと安心します。 ◎アクティブリスニングを使う。 相手の目線に立って話を聞くことは大切なことだと書きました。 その姿勢をアクティブリスニングや積極的傾聴といい、相手に安心してもらえるだけでなく、あなたが相手に気持ちを話してほしいときや、相手をより深く理解する上でも効果的な方法のひとつです。 あなたが話を聞いている時、 相手の話の文脈とその話し方にギャップはないか、 相手の気持ちをいったん受け止めて聞いているか、 相手にあなたが真剣に聞いてくれていると伝わっているか、 などを確認してください。 さらに詳しくは「コミュニケーション能力を高める方法。パート2。~アクティブリスニングとは?~」を参考にしてください。 ◎ メンタルヘルスについて理解を深める。 相手が何に苦しんでいるのか、どうしてそのような症状になるのか、わかっているのとわからないのとでは、全然違います。 相手に対してあなたがどうして良いかわからないというストレスレベル、相手が理解されていると感じるレベルが違ってきます。 相手から聞いたことや、あなたが感じる相手の症状から、どういう気持ちになったり、どういう行動をとりやすくなるのか、調べてみると合点がいく瞬間があるはずです。 そしてそこからあなた自身どうすればいいのか、何も知らないときよりは動きやすくなるでしょう。 ただし、専門家に相談や診断を受ける前に、絶対この精神病だ、などと決めつけるのはやめましょう。 ◎ 専門家のサポートの選択肢があることを話す。 精神的に辛い思いをしている人が見ている世界はとても狭くなっています。 ネガティブな考えに囚われて、自分だけ暗闇に取り残されたようです。 そして、最悪の選択を選ぶこともあります。 そんな時にもし少しでもその辛い状況から抜け出せる方法があればそれに挑戦したいと思うかもしれません。 その選択肢として、カウンセラーなどの専門家に相談できることを提案してみてください。 ただし、強要はダメです。 その選択肢があるということを知らせるだけです。 本人には心の準備やそのタイミングがあり、無理やり行っても効果がないことの方が多いからです。 選択肢が他にもあることを知らせるだけでも気持ちが楽になることがあります。 ◎セルフケアを怠らない。 精神的に辛い思いをしている誰かと関わるとき、あなた自身がしんどくなるのは自然です。 精神的に追い詰められているとき、周りからみたらその人は自己中心的なふるまいをしているように感じたりします。 どれだけ相手を元気づけても、気持ちを軽くする方法をあなたなりに伝えても、相手は中々実行できないので、それに付き合うのもあなたのストレスになったり、人の話に耳を傾けない頑固な人だと感じてイライラすることもあります。 さらに、マイナスな感情のパワーはとても強く周りを巻き込んでしまいます。 だから、あなたの時間、あなたのやりたいことは無視しないでください。 必ずセルフケアを忘れずに行ってください。 あなたがリラックスしたり楽しめることをして、ネガティブなパワーに圧倒されないようにケアをしてください。 次回のブログでさらに詳しく「メンタルヘルスに問題を抱える人を支える人たちのセルフケアの方法」を書きたいと思います。 あなたの大切な人が精神的に辛い時、どうにかしたいと思うのは自然で、あなたの優しさでもあります。 相手に寄り添って話を聞く、その辛い気持ちによってどんな影響があるのかを調べる、選択肢を増やす、自分のケアを忘れない、など今あなたにできることを考えてみてください。 その姿勢が相手に伝わるだけでも、相手の気持ちは少しでも軽くなるはずです。

あなたの考えは本当に正しいのか?

私たちは自分の持っている考えを基に行動します。 子どもを幸せにするにはしっかり稼がなければいけないので仕事を何よりも優先させる、人と話すのが苦手だから人の多いイベントなどは避ける、あの人は私のことが嫌いだから私も近づかないようにする、などそれぞれの考えや価値観で日々の決断と行動が決まります。 自分の価値観を理解しそれに沿って行動することは大切です。 ただ気をつけなければならないことがあります。 それは、その考えがいつも正しいとは限らないということです。 正しい、とはそれがあなたやあなたの大切な人たちにとってプラスになるかどうか、という観点で話します。 その考えや行動があなたにとって正しいと感じることであったっとしても、実はあなたに関わる周りの人たちにとってはそれはただの思い込みであったり、根本から間違っている場合もあります。 そうであった場合、あなたの行動が空回りになったり、自分や周りを傷つけてしまうことにつながることがあります。 逆に、そのことに気付くことで行動を振り返り、状況を良くすることができます。 以前にも書きましたが、思考は事実と意見からなり、その自分の意見があたかも事実だと捉えてしまうことが多々あります。 そして、その事実でないこと(=思い込み)が現実に起こったりして、それみたことかとやっぱり自分の意見は正しい、と強く信じてしまうことがあります。 でもそれは実はあなたのその思い込みが行動に反映され、事実にさせてしまっている時があるのです。 その、自分の考えを現実化してしまう心理状態のことを自己達成的予言といいます。 何か目標があり信念をもってそれを現実化させることは素晴らしいことですが、根拠のないネガティブな思い込みを現実化させてしまおうとするのは自分自身を追い詰めてしまいます。 今回はその自己達成的予言について、そしてその対処法について書いていきたいと思います。 では、自己達成的予言がどのように起こるのかを見ていきましょう。 まず良い効果をもたらす例から。 ある病状のある患者さんに、特に有効成分が含まれていない薬を治療薬といって飲ませると、その病状が良くなったり副作用が出たりするいわゆるプラセボ効果。 これはその薬が良くしてくれるという期待と信じる思いがその効果を発揮させていると考えられています。 思考→「お医者さんが処方してくれた薬なのだから効くに違いない。」 行動→薬を飲む。 結果→「元気になってきた気がする、薬のおかげだ。」 逆にマイナス効果になってしまう例。 例えば、特定の誰かがあなたのことを良く思っていないとあなたが感じていたとしましょう。 思考→「あの人は私にだけ冷たいからきっと私のことが嫌いなのだろう。」 行動→できるだけその人を避けるようになる。嫌な態度をとってしまうこともある。 結果→相手はあなたの嫌な態度に気分を害し、あなたに近づかなくなる。 思考→「やっぱりあの人は私に対して態度が悪い。私の考えは当たっている。」 実際→相手は実は人見知りで最近知り合ったばかりのあなたに中々話しかけることができず、仲の良い友達ばかりと会話をし、それをあなたは冷たい態度をとっていると解釈した。 そこであなたもできるだけ避けていたら、相手もあなたが良く思っていないと感じ、余計に距離を置くようになる。 そこでもし、あなたの考えが「あの人と仲良くなりたいけど中々私と話してくれないな、もしかしたら初めての人は苦手なのかもしれない。」だったとしたら、あなたの行動はどうなるでしょうか? あなたが仲良くなりたいという願望をもっていて、相手の人見知りの可能性を少しでも感じたとしたら、あなたから話しかけるという行動をとるのではないでしょうか。 そうすると相手との会話がはずむかもしれません。 このように、あなたの考えで起こした行動で相手の思考と行動にも影響していることがわかります。 もちろん、行動を起こして失敗したり期待と違っていたりすることもあるかもしれません。 でも、勝手な思い込みで物事を判断したり、また、誰かの気持ちを決めつけてしまっては、あり得る可能性を見えなくしてしまったり、周りに自分の考えを押し付けてしまうことにもつながります。 あなたが家族の最善を思って仕事を優先させていたけど実は一緒にいる時間をつくることが何よりも家族の幸せだったとか、人と話すのが苦手だと思っていたけど実は特定の誰かと話すことが苦手だけだったとか、思い込みで違う行動が起こせず気付かないでいることは結構あると思います。 自分とはこういう人間でこういう考えをもっている、というスタンスは良いことですが、時に柔軟に考え方を見直すことも、人と気持ち良く関わる上でも、自分が生きやすくなるためにも大切だと私は思います。 ひとつの思考があなたの行動にどのように影響するのか理解し、そしてあなたの行動がどのようにあなたや周りの人たちに影響するのかを考えてみてください。 そして、もしあなたがなんか違うなとか不快な気持ちになるのなら、考えや行動を少し変えてみるのもひとつです。 そうすることで新しいものが見えてきて、そのモヤモヤを解消できるかもしれません。

回避行動は本当に良くないことなのか?

結論から言います。 逃げること、避けることは必ずしも悪いことではありません。 それは過度にストレスを抱えないための対策にもなるからです。 ただし、その避け方が上手くできていないと、逆に精神的に良くない結果をもたらすことになります。 まず、回避することとはどういうことなのでしょうか。 自分にとって不快なことが起きそう、きっと嫌な思いをするだろう、と感じる時にその状況を避けるために違う行動をする、もしくは何もしないことを言います。 先程も書きましたが、避けることは悪いことではありません。 PTSDや不安症を抱える人たちは、自分の感情を脅かす場面やきっかけになり得るものに対して特に敏感で、それらを避けようとします。 それは自分を守るため、精神的に完全に崩れてしまわないための防衛本能でもあります。 そういった症状がなくても、過去の辛い経験などが原因でもう二度と同じような辛い目にあいたくない、などの気持ちから特定の物事や人を避けることもあると思います。 ただし、避け続けることで精神的に逆効果をもたらすことも多々あります。 そこで、ストレスになりそうな状況を避ける場合、精神的にマイナスにならないようにするための条件があります。 それは、自分がなぜ避けているのかという理由、その行動による自分への影響を把握し、気持ちをコントロールできている、ということです。 人は、自分でその状況をコントロールできていると感じることで、ストレスフルな状況にも感情を落ち着かせうまく対応できるのです。 では、その状況でのコントロール感覚がないまま、ただ必死に避けようとすることがどう精神的に影響するのでしょうか。 まず、根本的な不安はいつまでも解消されることはありません。 もしあなたが人前で話すことに自信がなく、プレゼンテーションなど、とりあえずそういう状況を避けているとします。 避けることでストレスから自分を守ることはできますが、そういう状況に対して常に緊張や不安を抱え、避けることばかりにエネルギーを使い、常に心が疲れてしまうことになります。 そして挑戦することを忘れてしまいます。 完璧でなくていいのです。 少しずつ練習したりその場に自分を慣らすことでそれが自信になり、不安が軽くなっていきます。 さらに、学校や会社などでどうしてもやらなければならない場合、それを避けようとすると辞める選択しかないかもしれません。 それは自分をさらに追い詰めてしまうことにもなりかねません。 次に、避けることで人とのつながりが失われてしまう恐れがあります。 例えば、人にどう思われるのか常に気にしてしまうため、誰かとの会話を極力避けようとしていると、人との交流が途絶えてしまったり、引きこもりになってしまうこともあります。 心を許せる誰かがいること、深い関係ではない誰かとでも交流することは、ストレスを自然に軽減してくれ、生きる楽しみを増やしてくれます。 完全に孤立してしまうことは、社会で生きていくことに苦しさや辛さを感じることにつながってしまいます。 望んで孤立したい人はあまりいないのではないでしょうか。 そして、嫌な思いを避ける、あるいは少しでも気持ちを上げるために別の行動をとることで、結果的に体に害をもたらしたり、精神的に追い詰めてしまうことがあります。 例えば、過度の飲酒、薬の乱用、無防備な性行為など。 その時は気持ちを良くしてくれるかもしれませんが、その影響でやるべきことをやれずそんな自分を責め立てたり、どうしようもない状況にさらにストレスがかかり絶望したり、と気持ちが軽くなるどころか状況の悪化につながることも少なくありません。 深く考えず、ただがむしゃらに嫌なことを避けようとしている場合、これらのような精神的にマイナスなことが起こり得ます。 そこで話を戻します。 効果的に不快な状況を避ける方法、つまり自分がその状況を避ける理由と避けることによって出てくる影響を知ることが大切です。 そのために自分に問いかけてみてください。 あなたが避けようとしている状況、物事あるいは人は、あなたが精神的に成長しようとする過程のジャマになるものですか? ストレスにはいいものと悪いものがあります。 良いストレス、ユーストレスといいますが、それらは新しい環境で物事を始めようとする時に感じるものであったり、あなたのモチベーションを上げる燃料になったりします。 逆に悪いストレス、ディストレスは、会社をクビになる、大切な人を亡くす、など気持ちが辛くなるものをいいます。 それを踏まえて、あなたが避けようとしている状況で、あなたはどちらのストレスをより強く感じますか? もしディストレスしかないのであればそれは避けてもいいのではと私は思います。 もちろん乗り越えたい辛い状況、避けられない苦しい時間は誰もが経験することで、それはゆっくりでも受け止めていくしかありません。 でももし事前に避けられるのであれば、そうすればいいと思います。 逆に、少しでもユーストレスの要素があるのであれば、少し考えてみましょう。 それをこなすことでストレスを感じ、少しは嫌な思いをするかもしれないけど、その先に成長できるもしれない可能性があるのなら、避けずに挑戦してみる価値はあります。 避けることで守れるもの、挑戦することで得られる対価などを考え決断してください。 そしてもう一つ、回避方法で別の行動をとるときの自分を振り返ってみてください。 不快な気持ちを避けるためにまたは気持ちを上げるために、結果的に心身に悪影響のあることをしていませんか? その行動で不安やストレスは解消され、長期的に良い気持ちを維持することができますか? そうでないのなら、その行動を変えましょう。 誰かに気持ちを聞いてもらう、運動をする、好きな音楽を聴く、お気に入りの場所に行く、など長期的にも自分の心と体に良い影響になる行動を模索してそれと取り換えてください。 シンプルですぐにできることなら尚更良いです。 不快な気持ちになりそうな状況を避けることは自然で本能の行動でもあります。 ただし、その理由や影響も考えずひたすら避け続けることは、私たちを精神的に追い詰めることにもなり得ます。 回避行動をとるのなら、それをしっかりと把握して、自分自身の行動と感情をコントロールできるようにしましょう。

悩みと奮闘する方法。

私たちはみんな悩みます。 自分とは違う考え方の人たちと交わることでの悩み、やりたいことや叶えたいことへの壁、日々の生活のひとつひとつの判断でさえ悩みにつながります。 それはもう仕方のないことなのです。 悩みがあるからどうすればいいか考えるし、次に進む糧にもなります。 ただ、悩みに上手く対応できずにいると、精神的に落ち込んでしまい、そこから中々這い上がれなくなってしまうこともあります。 だから悩みとは闘わないといけないのです。 つまり、悩みと奮闘してうまく対処しなければいけないのです。 悩みと上手く奮闘するためにはどうすればいいのか今回はみていきたいと思います。 ◎ 問題(悩み)に焦点を置かない、解決策に焦点を置く。 いったん悩み出すと私たちはマイナスの感情に大きく揺らがされます。 自然なことです。 ただ、マイナスの感情に支配されてしまうとその問題ばかりに目を向けてしまい、どうしようどうしようと混乱してしまいます。 例えば、友人との大切な約束を忘れて相手を怒らせてしまい、「私はなんてことをしてしまったんだ、嫌われたに違いない、私はなんてダメな奴なんだ、もう許してくれないだろう」というような感情に囚われている場合、それは起きてしまったことにばかり目を向けている状況です。 もちろん、反省することは必要ですが、そのことばかりに囚われていては難しい状況を変えることはできません。 その状況を打破するには、どうすればいいのか解決方法を考えようと目線を変えることです。 怒らせてしまったならどうすれば許してもらえるのか、誤解があったならどうすればその誤解を解くことができるのか、など悩みに対する解決法を探る姿勢をとることが大切です。 焦点を解決策に向けることで、マイナスの感情に翻弄されることを極力短くすることができ、あなた自身の気持ちもその状況も良くすることができます。 ◎ 不快な気持ちを無視しない、受け入れる。 悩みがあるとき、嫌な気持ちでモヤモヤします。 不快な気持ちはできるだけ避けたいもので、無意識に抑制することもあります。 ただ、自分はどんなときにどんな気持ちになるのかを知ることは、ストレスにうまく対応するためにとても大切なことだと私は思います。 気持ちが良くないから、悩んでいること、そこに問題があることにも気付けます。 嫌な気持ちをありのまま受け止め、自分のことを深く理解することで、今後同じような状況が起きる、または起きそうなときの構え方が変わってきます。 つまり心の準備ができ、冷静に対応しやすくなるのです。 ◎ 人格を責めない、行動に責任を感じる。 何かをやらかしてしまったり、何かができなかった時、「私はこういう人間だから」と自分自身の性格を責めることありませんか? 自分の嫌いなところや弱い部分を認め、こういうところが嫌だ、こういうところを直したい、と思うことは当たり前にあることで悪いことではありません。 しかし、悩みの発端になる出来事が起きるたびに自分の人格のせいにすることは、あまり良いことだとは思いません。 性格は生まれ持ったもの、そして成長してきた環境や出逢った人間関係が複雑に絡み合ってつくられます。 それは習慣化され、根本から変えることは難しいと私は思います。 でも、あなたが起こす行動は別です。 あなたがこうしたいと思えばそうすることができます。 自分はこんな人間だから嫌な結果になってしまった、と自分自身を否定してしまうと、これからやろうとすることに対してやる前からマイナスの方向に結論づけてしまうことになります。 結果はわからないのに。 自分には弱い部分はあるけれど、今回できなかったのは事前の準備不足だったからだ、迷惑をかけてしまったのは気配りが足りなかったからだ、などそのひとつひとつの行動に対しての責任をもつことが、あなたの悩みと真剣に向き合うということではないでしょうか。 あなたはあなたという人を認めた上で、それに伴う行動をどう変えれば、悩みと闘えるのか、また解決できるのかを考えてみましょう。 悩みとの闘い方は人それぞれです。 奮闘しても奮闘しても上手くいかない場合は、その方法を振り返り違うやり方を試してみるのもありではないでしょうか。

気持ちを外に出すことは大切?

人に迷惑をかけてはいけない、周りの意見を尊重しないといけない、こんなことを言ったって仕方がない、などの理由で感情を抑え、自分の中に抱え込むことありませんか? ある程度の感情は自分の中で処理できるかもしれません。 でも、あまりに自分を抑え込んでしまうと、それがストレスになり精神的に崩れる原因になり得ます。 幼い子どもがどのように感情を表現するか想像してみてください。 子どもは言葉の意味や使い方が大人に比べて圧倒的に少ないのでうまく表現できません。 そのため、思い通りにいかないことがあると、泣いたり叫んだり物に当たったりします。 これは実は大人にも当てはまることがあります。 上手く自分の気持ちを言葉で表現できなかったり、押し殺したりしていると、それがイライラになります。 そして、そのイライラが蓄積された結果、自分や人を傷つけたり、物を壊したり、行き場のない感情を何かにぶつけようとします。 しかも、子どものそれとは違い、大人の場合、その行動は複雑で被害も大きくなります。 だから、気持ちを外に出すことは大切なのです。 上手く気持ちを表現することは、次のような精神的にプラスの効果をもたらしてくれます。 ・自分を客観視することができる。 自分の気持ちを声で発して耳で聞くことで、改めて自分がどう感じているのかを知ることができます。 私はこう思っているんだ、と改めて知ることは自分を客観視することにつながります。 客観視することは一歩引いて自分を見ることで、自分の価値観や求めているものなどを新しく知る、もしくはより深く理解することができます。 その結果、冷静に状況を観察し、感情に左右されない判断や解決法を考えることができるようになります。 ・心の知能指数、「EQ」を高められる。 EQ (Emotional Quotient)とは自分自身の感情をうまく処理でき、周りの人たちの気持ちも汲み取り、自分や周りの行動の意図をそれぞれの気持ちから理解できる能力のことをいいます。 EQが高いとストレスに対して強くなったり、良い人間関係をつくれたりする傾向があります。 EQを高めるためには自分の気持ちを理解することは必須です。 どのような状況でどのような気持ちになり、どうしてそのような気持ちになるのか。 それらを頭でわかろうとするだけでなく、言葉にして表現できるかが、本当に理解しているかの証明になります。 自分自身の感情を知って心の知能指数を高めましょう。 ・人間関係を深められる。 正直に自分の気持ちを誰かに話すことで、自分に心を許しているんだ、自分を信頼して気持ちを打ち明けてくれているんだ、と相手は感じ、あなたへの信頼感を築くきっかけにもなります。 そして、あなたが正直に話すことで、相手も正直な気持ちを話しやすくなります。 お互いが自分の気持ちをオープンに話せることは深い関係を築く上で必要で大切なことです。 ・気持ちが楽になる。 気持ちを外に出すことで、とにかく気持ちが軽くなります。 モヤモヤ考え込んでいるときの体の緊張感がスッとなくなります。 深刻に話さなくても、会話の中で軽く伝えるように誰かに話すだけでも効果があります。 こういった良い点があるにも関わらず、気持ちを閉まっておく判断をさせるのはなぜでしょう。 それは、マイナスな感情を外に出すということは弱さをみせること、外に出すことで余計に辛くなったり状況が悪化するのでは、などの思い込みがあるからです。 しかし、先ほども書いたように、気持ちを抑え込もうとすると、暴飲暴食、無防備な性行為、飲酒や薬物の乱用など、短期的な解決法に走りがちになり、後でより苦しい思いをする結果になります。 辛い気持ちを口にしたところで状況は悪くならないし、気持ちは軽くなります。 不快な気持ちを外に吐き出すことは弱さをみせることかもしれません。 でもそれは誰もが経験する感情であり、人間らしさだと思います。 いつもしっかりしていて仕事もテキパキできる人が、ふと辛い気持ちを口に出した時、あ、この人も人間なんだな、とホッとすることありませんか? 弱さを見せずに壊れてしまうより、弱さを見せてそこから元気になった方が断然良いと私は思います。 でも、普段気持ちをあまり出さない人にとって、そうすることは難しいものです。 どうすれば気持ちを言葉にしていけるのでしょうか。 ◎ 感情に名前をつける。 気持ちを自分の中だけで抑え込んでいるとき、色々な理由があるかもしれませんが、実は自分はどんな気持ちなのかわかっていないのかもしれません。 なんかモヤモヤするな、と思いながらそのまま過ごすことって意外と多かったりします。 そんなときは、あなたはどういう気持ちになっているのかを探ってみてください。 例えば、友人がいつもと違う態度で不快な気分になったら、いつもは楽しく話している友人に冷たい態度をとられた、私はそれに傷ついて悲しい、というように。 ただ、感情を説明しようとすると、ぴったり当てはまる気持ちを見つけるのが意外と難しかったりします。 その場合は、以下の気持ちを表す言葉を参考にしてあなたに合う気持ちを探してみてください。 不安 嬉しい 悲しい 恥ずかしいContinue reading “気持ちを外に出すことは大切?”

ストレスが体に与える影響とは?

前回、ストレスと痛みの関係について書きました。 ストレスは体の様々な部位で痛みを感じる原因となり、心と体が密接につながっていることがわかりました。 今回は、ストレスが私たちの体に与える影響を見ていきたいと思います。 前回のブログでも書きましたが、アメリカ心理学会によると、慢性的な精神的ストレスは、筋骨格系、呼吸器系、心血管系、消化器系、神経系、生殖器系、内分泌系に影響するそうです。 ◎ 筋骨格系 ストレスを感じると、私たちの筋肉は緊張でこわばります。 これは、あなたにとっての脅威から身を守るために自然となる攻防体制です。 少しの間の緊張感であれば問題ないのですが、慢性的に体がこわばっているとリラックスすることができず、首や肩に力が入り頭痛や腰痛に発展してしまいます。 ◎ 呼吸器系 ストレスを感じると呼吸が早くなったり、酸素が足りないような上手く呼吸ができない感覚に陥る時ありませんか? それらは「闘争・逃走反応」といって自分を守るために闘う、もしくは逃げる準備をしていて、その為に酸素がいつも以上に必要になるからです。 ストレスが一時的に弱まり落ち着きを取り戻すと、私たちの体もリラックスしようと働き、呼吸も通常通りに戻ります。 しかし、元々ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(以前は慢性気管支炎と呼ばれていた)などの呼吸器系の病気を持っている人たちがストレスを感じると、その病状が悪化する可能性が高いと言われています。 そういった症状を持っていなくても、呼吸が苦しい、このままでは倒れてしまうかもしれないという感覚はパニック障害を引き起こすことがあります。 パニック障害はその時だけでなく、特に呼吸に問題がないときでも「次にパニックになったらどうしよう」「息ができなくなったらどうしよう」など不安な気持ちでさらにストレスを抱えてしまうことにもなります。 ◎ 心血管系 びっくりするようなことや、一時的にプレッシャーを感じるような急性のストレスは心臓の鼓動を速くし、心臓の筋肉をぎゅっと引き締めます。 そして、その心臓の働きを支えるために血液の量が増える一方で、コルチゾールなどのストレスホルモンにより血管は収縮するので、一時的ですが血圧が高くなってしまいます。 例えば、運転中に人が急に飛び出してきて急ブレーキを踏んだとき、仕事の締め切りがギリギリで間に合うのかわからないと感じるとき、など。 そういったチャレンジングな出来事が過ぎると、バクバクしていた心臓は正常の速さに戻り、血圧も元に戻ります。 しかし、慢性的なストレスになると、そういった状態が繰り返されることになり、高血圧、心臓発作、脳卒中の危険性が高まると言われています。 ◎ 消化器系 ストレスを受けると消化器系と脳の伝達がうまくいかなくなり、痛みや膨満感、その他の不快な症状が現れることがあります。 消化器系は「第二の脳」と呼ばれるほど、脳と密接な関係にあります。 消化器系の臓器には数百万もの細菌が住んでおり、それらは体の健康、そして脳(=心)の健康に影響を与えるのです。 インド、ハイデラバードで消化器専門医を務めるラフル・ドゥバッカによると、それらの細菌が変化しバランスが崩れたり、消化器官内での炎症、消化器官と脳との伝達経路で起こる何らかの障害などが、私たちの心にもダメージを与えるそうです。 さらにそれが不安症やうつ病に発展することもあるそうです。 消化器官の不調が心に影響を与えるように、精神的なストレスも消化器官にマイナスの影響を与えます。 例えば、通常バリアとして機能している腸の壁の粘膜に穴が開いてしまい、腸内にある未消化の食べ物や毒素が血管に漏れてしまうリーキーガット症候群という症状を引き起こすこともあります。 (※ストレス以外にも過度の飲酒、栄養素の欠如などその原因は他にもあります。) リーキーガット症候群の症状として、膨満感、腹痛、気分のムラ、元気が出ない、肌の不調、などがあり、さらに心に負担をかけてしまいます。 このように、消化器系は心の健康と深くつながっており、お互いに影響し合いやすい関係と言えます。 ◎ 神経系 私たちの自律神経は交感神経と副交感神経に分かれています。 ストレスを感じるようなことが起きると、交感神経は体内のエネルギーを分散させ、ストレスや脅威に対して闘うため、もしくはそれらから逃げるための「闘争・逃走反応」の準備をします。 その過程で分泌されるアドレナリンとコルチゾールの働きで鼓動が速くなったり、腕や足の血管の拡張や血糖値の上昇などが起き、緊急事態(=ストレス)に対応しようとするのです。 ストレスや脅威を感じる状況がおさまると、副交感神経が体をリラックスさせ通常の体の状態に戻してくれます。 ただし、長い期間繰り返されるようなストレス、つまり処理できないストレスを常に感じていると、自律神経もストレス反応を繰り返すことになり、体は疲れ切ってしまいます。 そしてその体の疲れは気持ちも弱くしてしまうことになり、ストレスへの対応がさらに難しくなります。 ◎ 生殖器系 アメリカ心理学会によると、前年にストレスを感じる出来事を2つ以上経験した男性の精子は、ストレスを感じる出来事がなかった人たちのそれよりも、生命力が弱く、その大きさや形が正常なものが少ないのだそうです。 女性の場合、ストレスによって、月一度の月経が無くなったり、そのサイクルが毎回違うなどの月経不順を起こしたり、月経前症候群の症状がいつもよりひどくなることがあります。 また、受精する力、妊娠中の健康、産後環境への適応などにストレスはマイナスの影響を及ぼすそうです。 ◎ 内分泌系 ストレスを感じたとき、内分泌系はグルココルチコイドという副腎皮質ホルモンの分泌を促します。 その中の一つのコルチゾールというホルモンは、ストレスホルモンと呼ばれ、ストレスに負けないように体内のエネルギーをつくる役割をします。 コルチゾールは視床下部と下垂体と副腎皮質系の3か所がコミュニケーションをとって分泌され、ストレスに対応しようとます。 そして、その働きによって体中のストレス症状が引き起こされるのです。 この記事でもふれた、筋肉の緊張、「闘争・逃走反応」、血管の収縮、生殖器への影響など、体全体のストレスによる症状にそのホルモン分泌が関わっています。 また、コルチゾールには抗炎症作用があり、外からの細菌やウイルスを排除する免疫機能が引き起こす熱や腫れなどの炎症を抑える働きをしてくれます。 このように、コルチゾールは私たちの体には欠かせないものなのですが、その分泌量が常に高い状態になってしまうと、ストレス症状が続くことになり、体に負担がかかってしまうことになります。 インドにあるカウベリー病院の情報によると、ストレス状態が数日で終わるならまた元の健康状態に戻してくれますが、数週間以上の長い間ストレスを感じ続けるとコルチゾールの分泌が過多になり、倦怠感、免疫系の病気、うつ病などに発展する可能性があるそうです。 精神的ストレスの影響は体のあらゆる部分でみられます。 あなたが感じる体の異変は精神的なものが原因かもしれません。 体がいつもと違う不快な状態が長く続くと、それが心の疲れにもつながることになり、悪循環をもたらしてしまいます。Continue reading “ストレスが体に与える影響とは?”