先延ばしの習慣を変える5つの方法。

学生時代、試験前になるといつもはやらない部屋のそうじや食器の片づけをしたりして、勉強を後回しにしていた記憶はありませんか?

また、今やらなければいけない仕事を締め切りギリギリまで始めず、直前になってどうしていいかわからなくなっていませんか?

何かを先延ばしにすることは、おそらく私たち全員が経験のあることだと思います。

その理由として多く言われているのは、時間の使い方が上手くできていないこと、面倒くさがりの性格、があります。

しかし、やらなければいけないことを慢性的に先延ばしにする原因には、感情面が関わっていると、多くの心理学者たちが提唱しています。

例えば、やらなければいけない課題を完成できなかったらどうしようという不安、責任が重くてその課題をやることを楽しめない(辛い)、そんなことをやって意味があるのかという疑問、などのマイナスな感情がその行動を遅らせます。

そして、そのマイナスな感情に上手く対応できないと、別のことをして気持ちを上げようとします。

その結果、やらなければいけないことを先延ばしにしてしまうということです。

課題を先延ばしにすることは自分が不快な気持ちにならないようにする守備行為ですが、それは長く続きません。

やらなければならないことができていない状況は、それをして不快な気持ちになるよりもストレスがかかります。

そして、その課題をしていない自分に対して恥ずかしいとか情けない気持ちになります。

イギリスのデュラム大学心理学科の教授フーシャ・シロワ博士によると、慢性的に先延ばしにする行為はうつ病不安症、ストレスと強く関わっていると報告しています。

さらに、免疫低下にもつながり先延ばしの習慣がない人よりも体調を崩しやすいのだそうです。

1997年にアメリカの心理科学という専門誌でダイアン・タイスとロイ・バウマイスターが報告した研究で、論文の提出期限に遅れて提出した学生たちは、その期限までもしくは期限当日に提出した学生たちよりはるかにその出来は悪かったそうです。

課題を先延ばしにすることで、終わらせなければいけないプレッシャーやストレス、時間の余裕のなさから、その質はどうしても悪くなってしまう、ということです。

多くの研究でも言われているように、物事を先延ばしにする習慣は精神的にも身体的にも、そして仕事や学業にもマイナスの影響があります。

もしあなたが先延ばしによって苦しんでいるなら、その習慣を変えて無駄なストレスを減らしませんか。

具体的に何をすれば、今ある課題を今から始めることができるのか見ていきましょう。

 先延ばしにする原因を知る。

面倒だから、時間が足りない、などの理由で先延ばしにしているのなら、モチベーションを上げる方法を見つける、もしくは時間の使い方を学ぶことが大切です。

でももし先延ばしの原因が感情面にあるのなら、それが一体何か探ってみてください。

原因を見つけてそれを対処することで、先延ばしグセを減らすことができます。

例えば、周りの過度な期待があり失敗することが恐いという不安から、中々始めることができない、としましょう。

ではどうしてあなたは失敗することがそんなに恐いのでしょうか。

もちろん失敗することは、恥ずかしい、悔しいなどの不快な気持ちになることもあり、それが恐くて避けたくなるのは自然なことです。

でも失敗は当たり前にあるもので、過度に恐怖を感じているならその原因があるはずです。

それが何なのかを理解することは、それに対処するためにどうすればいいのかを考えることにつながります。

過去の辛い経験によって自己肯定感が低い自信が持てない周りに評価されるのが恐いなど、感情面での原因を探ってみてください。

そして、その原因がわかったら、まずそれを解決するためにできることをしていきましょう。

 やらなかった後の自分の気持ちやその状況を想像してみる。

研究でも報告されているように、先延ばしにして思うように課題をこなすことができなかったり、できてもその出来が悪いと、余計にストレスを感じることになります。

他のことをして先延ばしにしてその時のストレスは減らすことができても、それはその時だけのもの。

その課題をしなかった後悔や自分に対する嫌悪感がふくらみ、結果が良くなくてさらに自信をなくしてしまい、次の課題もやりたくない、避けたい、という気持ちから再び先延ばしにしてしまう、という悪循環になってしまいます。

だから、やらなければならないことをする時、ある程度のストレスを感じたとしても、やらなかった後の気持ちや状況、それに伴うストレスを想像してみてください。

そして、逆にやり遂げた時の自分の気持ちや状況も想像してみてください。

今始めてやれるだけやった時の自分、先延ばしにして後で苦しんでいる自分、どちらになりたいかはあなたが決めてください。

 課題の意義を見つける。

自分自身が楽しめそうにない、興味がわかないようなことは、人間誰もやりたくありません。

でもやらなければいけないことはあり、それらをいつもいつも投げ出すことはできません。

なぜなら、その結果あなたや周りの人たちが苦しむことになることも大いにあるからです。

会社で決められたレポートをいつも遅れて提出していると、昇進は望めないどころか減給処分になるかもしれません。

子どものおむつを替えてあげないとバクテリアに感染して病気になってしまうかもしれません。

協力しなければいけない場面で自分の役割だけ遅れていると、周りからの信頼をなくすかもしれません。

楽しくないことでもやらなければいけないのなら、その中でもあなたがやる意義を見つけるようにしましょう。

気が乗らないことでも、それをやることであなたにとっての成長はありませんか?

それをやることで新しい知識を得たり、知らない人と関われたり、信頼を得たり、将来の役に立つことにつながったりするかもしれません。

どうせやるなら、どうすれば楽しめるのかを考えましょう。

終わった後に自分にごほうびを用意しておくのもありです。

何か意義を見つけることは先延ばしにするクセを抑えてくれるはずです。

 大きな課題を小さな段階に分ける。

大きく複雑な課題を目の前にすると、自分にできるのかという不安でやる気をそがれることがあります。

でも、私たちはできそうなことならやろうとします。

なので、もしあなたがやろうとしている課題が、できるのか不安になるようなものだとしたら、それをできるだけ小さな段階に分けてみましょう。

例えば、あなたが学生で論文をこなすためには、いきなり文章を書き始めようとしても何をどこから書いていいのかわかりません。

まず論文全体の骨組みを考える、次にその構成の中身(ポイント)を考える、そのポイントに沿ってリサーチする、リサーチしたものをまとめていく、それらをその構成に当てはめていく、序章から書き始める、ポイント1を書く…、など論文完成まで細かく分けることで、これならできるかもという気持ちにさせてくれ作業にとりかかりやすくなります。

もしくは、一気にやろうとするのではなく時間的に分けてやってみるのもひとつです。

例えば、30分文献を読んで20分休憩、その後また30分間で読んだ文献のポイントをまとめる、そしてご飯を食べてお風呂に入る、その後30分違う文献を読む、など。

個人にもよりますが、私たちの集中力はそんなに長くは続きません。

少しずつでもやるべきことを達成するとドーパミンという幸せホルモンが分泌され、次すべきことのやる気にもつながります。

あなたの容量、あなたのペースを探ってみてください。

 自分を許す。

一度先延ばしにした結果、その自分を責めてしまうことも多々あります。

どうしてあの時ちゃんとやっておかなかったんだ、どうしてもっと早く始めなかったんだ、私はダメな奴だ、とか。

思う結果が得られなかったり恥ずかしい思いをすれば余計に自分を責め立てることはないでしょうか。

カナダのカールトン大学の教授、マイケル・ウォールらの調査によると、一度目の試験でその勉強を先延ばしにした学生のうち、その自分を許す気持ちが強い学生らは2度目の試験前の勉強を先延ばしにしない傾向がみられたそうです。

先延ばしをした自分を許せないでいると、自分に対するマイナス思考が付きまとい、どうせ上手くいかない、と次の機会があっても同じように先延ばしにしてしまいます。

自分を許してあげることで気持ちの切り替えができ、次は自分が苦しまないようにしよう、と先延ばしを抑えることができるのです。

先延ばしにしてしまったことに対して反省することは必要かもしれませんが、そういう時もあると自分を許して折り目をつけ、次に向けて気持ちをうまく切り替えていきましょう。

気が乗らないことをするには精神力が必要です。

でも先延ばしにすれば、後からくるストレスはその時より重くなってあなたを攻撃します。

少しでもその習慣を減らすために、自分自身の気持ちを理解し、あなたに合った方法を見つけましょう。

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