親しい関係に対する不安と上手く付き合う方法

誰かと関係を築いているとき、あの人は本当に私のことを想ってくれているのだろうか、この人とこのまま一緒にいていいのだろうか、私がいなくてもあの人はあまり寂しそうじゃなかったな、という風にあなたは不安を感じたことはあるでしょうか?

人と深く付き合おうとすると、こういった不安な気持ちになるのは自然なことです。

人間は人から拒まれたり、物事が上手くいかないことに恐怖を感じます。

傷つくのは痛いことで、できるだけ避けようとするのが人間としての本能なのです。

だから、多少の不安は一時的なものであれば自然なことで、逆にそれらは私たちを成長させ、精神的にも強くしてくれます。

でも、頻繁に辛くなったり、いつもいつも不安な気持ちでいっぱい、ということになれば話は別です。

その状態ではあなたにも相手にもストレスがかかり、関係性も不健全なものになってしまいます。

もしあなたに思い当たる節があるなら、今もっている関係で次のような行動をしているかチェックしてみてください。

  • 相手に自分のことをどう思っているか何度も聞いてしまう。
  • 私なんて相手にふさわしくないとどこかで感じている。
  • 相手が自分と一緒にいるのは相手にとって都合がいいからで好きなわけではない、と思うことが多い。
  • いつかフラれてしまうのではないかといつもびくびくしている。
  • 食べ物や音楽などの好みが合わないら相手とは実際のところ合わないのではないかと思っている。
  • 相手の自分に対する些細な行動や言葉を自分のマイナス面のことをほのめかしているように捉えてしまう。
  • 相手の機嫌を損ねてけんかになったり嫌な雰囲気にならないように自分の意見はあまり言わないようにしている。
  • 関係を深めていく前にいつも相手と別れてしまう。
  • 相手といることに喜びを感じる時間よりも不安な気持ちで過ごす時間の方が多い。

いくつチェックがついたから、というようなテストではありません。

ただ、ひとつでも当てはまり今の関係性に不安ばかりを感じていて日々の生活にも影響が出たり心が辛いのなら、少し立ち止まって不安を軽くするためにできることをしましょう。

原因を知る。

深い関係を築く上で過度な不安を感じてしまうのはそうなってしまう原因があります。

子どものときに親やお世話してくれた大人から受けたネグレクトや虐待、周りから愛されていると感じることができなかった環境、それらによって形成される親への愛着、自己肯定感が低い、拒否されることへの恐怖、全てをコントロールしないと落ち着かない、過去に恋愛関係で予期せずフラれたり浮気されたことのある経験、など人によって様々な理由で今の不安な気持ちを起こさせています。

しかし、これらは潜在的で本人は気付いていないことも多くあります。

あなたがどうしてそんなに不安になってしまうのか、もし考えたことがないのなら、一度振り返ってみてください。

原因を知ることで自分自身への理解を高められ、今の関係性を客観的にみることができます。

客観的にみてみると、ぐるぐると同じ議論を頭の中で繰り返すことを止め、新しい角度から関係性を捉えることができ、不安を解消する方法にたどり着くことが大いにあります。

辛い過去があってまたそれを掘り返すのは勇気のいることですが、それらが原因で今のあなたをジャマしているのなら今後もジャマをし続けます。

あなたのペースで考える時間をつくってみてください。

相手に正直に気持ちを打ち明ける。

嫌いになってほしくないから、良い雰囲気を壊したくないから、と相手の顔色をうかがってあなたの気持ちを抑えていませんか?

それは相手があなたの気持ちを無視しているのではなく、あなた自身があなたを無視していることに気付きましょう。

深い関係をつくるということは、あなたの意見を無理に抑えて相手の機嫌をとることではありません。

あなたが気持ち良くあなたの思うことを相手に伝えることができ、相手もそれをわかろうとすること、そしてその逆も然りです(相手の正直な思いを心で聞くこと)。

だから、ああだこうだと考え過ぎず、正直に話しましょう。

その結果、嫌な思いをするかもしれません。

でも本当に相手を思いやっているのなら、時間をかけてでもちゃんとした会話ができるはずです。

もしそうでないのなら、その時はその関係性をどうするべきか考える時です。

素直な気持ちを伝えて嫌な圧力をかけてきたりあなたの心を踏みにじるようなことをしてくるような相手とこの先ずっと一緒にいる意味は何ですか?

また、深い関係になっていくことに不安を感じているのなら、それを相手に伝えましょう。

相手の気持ちを決めつけたり、私たちは合わないとひとりで答えを出して、話し合いもろくにせずに関係をやめるのは相手の気持ちをも無視していませんか?

今のパートナーと別れたとしても、また違う関係が始まれば同じところで行き詰る可能性が高いです。

あなたの声はあなたが外に出してあげましょう。

(※話をして身体的暴力の可能性がある場合は家族や友人、もしくは公的機関など安全なところへ避難しましょう。あなたが頑張って話をする必要はありません。)

コミュニケーション能力を高める。

自分の気持ちを言いたくても相手にうまく伝えられるか自信がない、結局相手に言いくるめられるのがオチ、というような不安もあると思います。

まして今まで常に気持ちを押し殺してきた相手に初めて本音を言うというのは相当緊張することです。

その対処法のひとつとして、コミュニケーション能力を向上させましょう。

コミュニケーション能力のひとつにアサーティブネスというものがあります。

これは日本語で“自己主張”という意味ですが、相手の意見も尊重しつつ自分の意見もちゃんと伝えるコミュニケーションのことをいいます。

アサーティブになるにはポイントがいくつかあり、それらは「コミュニケーション能力を高める方法。パート3。~アサーティブネスって何? ~」に詳しく書いているので参考にしてください。

そのポイントの中のひとつである「私は~だと思う。」という“I” statement (アイ・ステートメント)を使うことは、相手に流されてしまいそうな状況に特に大切なものです。

「私は~」と口頭に置くことで、あなたは違うかもしれませんが私はこう思います、と相手とあなたを区別でき、相手を尊重したままあなたの意見を言うことができます。

もちろん、その考えがぶれていては相手に言い負かされてしまうので、あなたがどのような気持ちを相手に伝えたいのか、しっかりと考え、揺らぐことのないようにしましょう。

そして、事前に何度も練習しましょう。

いきなり本番では緊張で言いたいことが言えない可能性があります。

ひとりでもいいし気の知れた友人に付き合ってもらってもいい。

何でも練習した方が本番は上手くいく可能性は高くなります。

ひとりでいる時間をつくってみる。

誰かと長く一緒にいるとひとりでいる機会も少なくなり、次第にひとりでいる自信がなくなり、そうなることが恐くなることがあります。

もしくは、ひとりでいることが寂しいから誰かと一緒にいる人もいるでしょう。

どちらの場合でも、相手がいないと困ってしまいます。

だから余計に相手に依存してしまい、言いたいことを抑えてまで一緒にいようとするのです。

そしてその我慢が不安になり、本当の自分もみせることができず窮屈な関係になってしまいます。

そこで、ひとりの時間をつくってみましょう。

ひとりの時間は自分を振り返る機会を与えてくれます。

ひとりでどのように時間を過ごせばいいのか、自分は何に興味があって何をしたら楽しめるのか、など人と一緒にいては中々知ることができない部分を考えられます。

そしてそれらを考え発見したとき、誰かに頼らなくてもあなた自身で時間を有意義に過ごせるようになり、あなたの気持ちに余裕がうまれます。

その結果、必死で誰かにしがみつかなくても大丈夫になるのです。

さらに、自分への理解を深めることで、あなたの人生で何がしたいのか、誰と一緒にいればそれができるのか、誰と一緒にいれば自分らしくいられるのか、より良い人間関係を選び築いていくことができます。

だから、ひとりになることは孤独になることとは別物です。

もし今、ひとりになる時間がほとんどないなら、少しでもあなた自身を深く考える時間をつくってみてください。

今の関係を楽しむ。

今の関係を楽しんでいれば将来別れがきたとしても素直に受け入れやすくなります。

もちろん辛いですが。

未来のことばかりに気をとられていては、体だけそこにある自分になってしまいます。

今を楽しめず、未来も嫌なことが起きると想定している中、どこで喜びを感じられるのでしょうか。

今の関係の中で相手と一緒にいて幸せに思う瞬間をみつけ、そのひとつひとつをしみじみ感じてみてください。

カップルセラピー

ひとりではどうすることもできない、二人になると言い合いになるばかりでちゃんと話ができない、と感じたら専門家の力を借りましょう。

カップル間や夫婦間の問題を専門にしたカウンセリングは、その道の第3者に話をすることで客観的に二人の関係を捉え問題を明らかにすることができ、改善方法を冷静に探ることができます。

大切な誰かと関係を築いていくことは、不安もありますが、それを上回る楽しさがあり、心が豊かになるものです。

いつも不安にかられ必死でその関係にしがみつくような気持ちでいたり、関係が深くなっていくことが恐いのなら、自分自身を振り返り、何がそうさせているのか、どうすればいいのかを考え、相手とも話をしてみましょう。

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