攻撃的な人との付き合い方

攻撃的な人とのやりとりをしたことがある方は多いのではないでしょうか。

攻撃行動、攻撃性とは、他者に対して意図を持って危害を加えようとして行う行動全般のことをいいます。

攻撃行動は色々な意味を含むカテゴリーのようなもので、例えば暴力はそれに含まれます。(*暴力…医師の治療を必要とするほどの身体的危害、または死を引き起こす可能性のある攻撃行動。)

攻撃的な人は、話しているときに常に邪魔をしたり、あなたの人格を批判したり、悪口を言ったり、評判を傷つけるような噂を流したり、あなたに向かって怒鳴ったり、などといったことをしてきます。

そういう事をされながら、コミュニケーションをとるのは容易ではありません。

ストレスがたまり、気持ちがすごく疲れますよね。

では、人はなぜ攻撃的になるなのでしょうか?

攻撃性を説明する心理学の理論はたくさんあります。

私は、攻撃的な人とは、自己評価が低くまたは自信がなく、プライドが高すぎる人だと考えています。

他人に劣った人間、悪い人間だと思われそうな面を見せるのが大の苦手。

そして、そのような面が露呈しそうになると、恥ずかしい思いをしないために、あるいは「クール」な人格を保つために、その原因となりうる人と”戦う”ことを本能的に決心するのです。

これは、ジークムント・フロイトが提唱し、娘のアンナ・フロイトがさらに発展させた、防衛機制の「投影」と呼ばれるものです。

その他、有名なところでは、バンデューラの社会的学習理論などがあります。

人(主に子供)は、周りの人たちの行動をマネて学習し、それを自分の行動にします。

攻撃的な行動をすることで報われている人を見ることが多いと、そういう風になってしまうという理論です。

例えば、ある人が歩いている人たちに「道開けろや~!」と威圧的に大声で叫んでいるのを子供が見たとします。

その子供は、自分も同じようにすれば道の真ん中を歩けるのだ、と理解し、そう行動するようになります。

幼少期に攻撃性にさらされることも、大人になってからの攻撃性に影響します。

父親が母親(もしくは母親が父親)を殴るのを日常的に目撃していたり、自分自身が虐待を受けたりすると(それが身体的であれ言葉によるものであれ)、その子どもは自分の子どもやパートナーに同じことをする可能性が高いとも言われています。

また、家族というものには暴力がなく愛があるものだということや、家族間の接し方がわからないまま大人になっていきます。

もちろん、忘れてはいけないのは、虐待を経験した人たちが全員同じことをするわけではありません。

また、違う理論では、生活の中でストレスとなる出来事や慢性的なストレスを経験することで、それがフラストレーションにつながり、結果攻撃的になる、と言われています。

その人は、ストレスをうまくコントロールできず、つい誰かにあたってしまうのです。

このように、人が攻撃的な行動をとる理由はいくつも考えられます。

では、攻撃的な人と接するとき、私たちはどうしたらいいのでしょうか。

◎ 冷静さを保つ。

相手に攻撃的な行動をとられると、こちらも攻撃的な態度になってしまう事はよくあります。

自分を守るために、そのように反応するのは自然なことです。

しかし、攻撃的な態度に同じように攻撃的に対応すると、相手の攻撃心がエスカレートして状況が悪化し、結局は時間とエネルギーを浪費してしまうことになります。

深呼吸をする、1から10までゆっくり数える、怒りを抑えられないと思ったらその場を離れるなど、冷静さを保つようにしましょう。

◎ 相手に共感する。

前述したように、相手が攻撃的になる理由はいろいろと考えられます。

ですから、自分の事として受け止めないでください。

理不尽な攻撃を受けたと感じたら、「この人が攻撃的なのは大きなストレスを抱えてるせいで、本当に私を傷つけるつもりはないのだ、むしろ色々とあって大変なのだ」と考えてみましょう。

その人は、敵対的な環境の中で育ってきたので、自分の行動に攻撃性があることすら気付いていないのかもしれません。

攻撃的な人を単純に悪者として見るのではなく、いろいろな角度から見ることで、言われたこと、されたことに対して強く反応したり、深く傷つかずにすみます。

◎ アクティブリスニング(積極的傾聴法)

相手が自分の意見を聞いてもらえない、真剣に聞いてもらえない、とイライラして攻撃的になっているかもしれません。

あなたの話を聞いていますよ、と相手に伝わるように相手の話を”積極的に”聞いてみてください。

“イライラしているようですが、何が起こっているのか教えてください “など、何が原因でそのような行動をとっているのか尋ねることもできます。

言いたいことを吐き出して、聞いてもらっていると感じる事で、相手が落ち着き、その態度が和らぐことがあります。

相手は言いたいことを表現することで攻撃性を解放し、落ち着くことがあります。

◎ アサーティブ・コミュニケーション

アサーティブ・コミュニケーションとは、相手の尊厳と権利を考えながら、自分のニーズと気持ちを表現することです。

相手が人を攻撃して傷つけている事を、相手に気づかせることは時に必要です。

例えば、「あなたの意見は尊重します。その上で、私の意見も伝えてもいいですか?」「そんな言い方をされると、私は気分が悪いです、この状態のまま、あなたと会話を続けたくないです 」「どうすればお互いが納得するか考えませんか」など、冷静に伝え、相手と自分の尊厳を維持しましょう。

◎ 相手と距離を置く。

アクティブリスニングや共感、アサーティブ・コミュニケーションで理解を示そうとしても、相手が聞く耳を持たず、攻撃的な姿勢を崩さない場合は、できるだけ相手と距離を置いた方がよいでしょう。

ただただ攻撃的な人と接することでエネルギーを消費し、ストレスをためないようにしましょう。

攻撃的な人と接するのは難しいですが、自分が攻撃的な行動をとってしまう事もあるでしょう。

このように、攻撃的になる事は誰にでも起こり、その背景には様々な理由があります。

攻撃的な人にうまく対応するために、それらの理由と攻撃的な場面での対処法を知っておきましょう。

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