損する考え方

人には考え方のクセというものがあります。

もちろん人それぞれの考えがあって、それらをちゃんと自分の意見としてもつことは大切です。

しかし、その考え方のクセの中には、自己肯定感の低下、モチベーションの低下、うつ症状、不安症、などの精神的な問題につながるものがあります。

そして、“クセ”というぐらいなので、あまりにも自然で当たり前な考え方になっていて、意識をしないと中々それに気付くことが難しいのです。

だから心が辛くなる前に(なってからでも)、自分がどんな考え方のクセがあるのかを観察・確認しましょう。

それらを知ることは、自分の感情をコントロールする助けになり、心の問題に発展するのを防いでくれ、また辛くなる考え方のクセを直すことにつながります。

まずはどんな考え方のクセがあるのか、そして自分はどんなクセを持っているのかをチェックしてみましょう。

 全か無か思考(オール・オア・ナッシング)

全か無、白か黒などで物事を判断する極端な思考パターン。

極端な二つの選択肢だけで物事を説明しようとしていて、「いつも~だ」「一生~しない」などの限定的な言葉を使う事が多い。

例えば、気になる相手をデートに誘ってみたものの断られたとしましょう。

そうすると、「僕は一生誰ともデートできないんだ。」「僕は魅力がゼロなダメ人間だ。」などと解釈してしまいます。

もしくは相手に対して、「あいつはいつもそうやって男をもてあそぶひどい奴だ。」「あんな態度では一生幸せになれないだろう。」というように考えてしまうことも。

大抵の物事はシンプルに極端な話ではなく、その間の色々な要素や理由によって成り立っています。

私は優しくないので悪い人間だ、などと決めつけるのではなく、私には短所もあるかもしれない、でも困っている人を助けたこともあるし他に良いところはたくさんある、と色々な角度から自分自身のことや物事をみることが大切です。

 過大評価・過小評価

過大評価は、自分にとってマイナスになることを重要視し過ぎて問題以上に捉えることです。

逆に過小評価は、何かすごいことをやり遂げたのに、重要視せず大したことがないように扱う考え方です。

例えば人前でスピーチをする時に、数か所舌が回らず上手く言えなかったとします。

しかし、全体的な内容はとても良く、聞いていた人たちからも、すごく良かった、という称賛の声ももらいました。

この状況に対して、過大・過小評価の考え方のクセがある人は、上手く話せなかった部分を必要以上に注視し、一生の恥だと考え、周りが良かったと言っているのはただの励ましだと解釈します。

この考え方をしていると、常にストレスを感じている状態になり、心がもちません。

一つのことだけに執着するのはやめましょう。

ミスならミスで受け止め、良いところは良いところとして素直に自分を褒めてあげてください。

 自己責任思考(パーソナライゼーション)

英語を直訳すると、“個人化”、や“自己関連付け”とも言いますが、その考え方の意味から、私は「自己責任思考」と訳します。

この考え方は、自分の周りに起こっている問題は全て自分のせいである、と思い込むことです。

例えば、上司の機嫌が悪いのは私の仕事が遅いからだ、私の友人が好きな相手にフラれたのは、私が上手く仲をとりもてなかったからだ、など本人の力ではどうしようもない事まで自分のせいにしてしまいます。

何でもかんでも自分の責任だと思い上がらないようにしましょう。

状況を全て把握しコントロールする力は私たちにははありません。

自分を責める事で不必要に心がしんどくなってしまいます。

 早合点思考

ほんの少しの情報だけで自分の思い込みから結論を出してしまう考え方。

その結論は間違っている事が多く、そのせいで嫌な思いをしたり、相手を傷つけてしまうことがあります。

例えば、あなたの恋人が異性の人と二人きりで楽しそうに歩いていたとしましょう。

恋人があまりに楽しそうにしている姿を見たあなたは、二人は浮気をしている、と判断します。

そして、あなたは傷つき、ただ友人と一緒にいただけの恋人が何を言っても言い訳にしか聞こえず、別れてしまいます。

少し誇張されているように聞こえるかもしれませんが、なくはない話だと思います。

少しの情報だけで決めつけて損するのは自分です。

間違った思い込みで不要なストレスを抱えるのはやめましょう。

 感情理論づけ

なんとなくそんな気がする、女の勘は当たる、気持ちがざわざわするから嫌なことが起きる、など気持ちがそうだから現実に起きているもしくはこれから起こる、と決めつける考え方。

例えば、「今日は嫌なことがあった。まだもっと嫌なことが起こりそう。」と不安になったり、「この職場にいると心が重くなる。この会社では悪い事が行われているに違いない。」など。

心のざわつきを信じ込むことで、そのざわつきを証明できる物事を探し出し(それが実際に関係なかったとしても)、自分の予想が正しかったとしようとします。

その為、物事のマイナス面に敏感になり、常に不安な状態になりストレスをためてしまいます。

気持ちで判断する事は必要な時もありますが、気持ちがそうだからと即座に行動したり、気持ちに頼りすぎて根拠なく物事を予想する事はやめておきましょう。

 レッテル貼り思考

私は覚えが遅いから、要領が悪いから、人見知りだから、など自分自身に固定のラベルを貼っていませんか?

もちろん、自分の性格を把握するのは大切です。

しかし、その性格があるから何をしてもダメなんだという考え方は、あなたの可能性を自らがつぶしていることに気付いてください。

自分はこうだからと決めつけてしまうと、やれることにも挑戦しなくなり、私はできない奴だ、と自分の好きではない性格をより顕著に感じてしまうことになります。

人には短所も長所もあります。

絶対にどちらもあるのです。

自分が嫌なだと思う短所ばかりに目をやらず、できること、良いところのラベルもどんどん貼っていきましょう。

 「~するべきだ」思考

人は常に優しくあるべきだ、私はみんなから愛されるべきだ、子どもは親の言う事を絶対的に聞くべきだ、などのルールを決め周りの人たちや自分自身に押し付ける考え方。

もちろん、それが常に悪いわけではなく、こうあるべきだ、という考えを持つことは時に必要かもしれません。

しかし、この考え方は柔軟性に欠け、自分の思うルールに反することが起きると、感情的に反応してしまう事が多く、思い通りにならないことにストレスが溜まり、周りの人たちへの態度も自己中心的なものになることがあります。

つまり八つ当たりですね。

~すべきだ、と一つの選択肢にだけとらわれず、他にも色々な考え方があり、~する方がいいが、今回はこういうやり方でもありだ、などと柔軟に言い替えることで心が楽になります。

◎ 自己中心判断思考(マインドリーディング)

人の心を勝手に予想して決めつける思考パターン。

例えば、「私の上司は私に厳しすぎる。私がブスだからだ。」「あの人は僕のことをよく睨む。頭の悪い僕のことを見下げているんだ。」など、特に根拠もないのに自分の勝手な思い込みから人の気持ちを判断してしまう考え方。

勝手に決めつける事は相手にとっても失礼なことで、自分自身もただ辛い思いをすることになる良くない考え方です。

自分目線で勝手に判断するのはやめましょう。

これらの考え方のクセ、どれかあなたに当てはまりましたか?

あなたが辛い時、悩んでいる時、あなたがどのように考えているのかを振り返ってみてください。

考え方を見直すことで、心が軽くなるかもしれません。